小悪魔な兄
「ごめん。少し言い過ぎたかも。けど、本当に引っ越した方が
いいと思うよ?」
「何で?」
今にも、捨てられそうな子犬の目をして、聞いてきた。
可愛い//
「こうやって、押しかけられたり、サイン求められたりとか。
大変なんだからね。それに、お兄ちゃんも、大変でしょ?」
あんまり可愛いといじめたくなっちゃうからねw
まぁ、いつものことか。
「ごめん。…じゃあ、少し考えてみようかな。」
「やっとかー。じゃあ、私も手伝うね!」
それで、早く引っ越させる!
「まさか、一緒に住もうと…//?」
何で。
「ない!いちいちうるさいし、状況変わんないじゃん。それに…」
美琴がいなきゃ、今みたいな生活耐えられない。
「それに?」 「何でもない。早く決めてよね?」
「あっ、うん。…ねぇ、今度学校行っていい?」
どうしたんだろ。いつもなら、そういうの嫌がるのに。
「だめ。疲れちゃうよ?」
「俺のこと気使ってくれてんだ。」
何で、そうなるか。
ストレートに言うと、傷つくし。
遠まわしに言うと、勘違いするし。
どうしろって言うの?
…まぁ、お兄ちゃん悪くないけど。
とりあえず「たまには、いい妹なんでね。」と話をあわせてみる。
すると「由香大好きー。」って言いながら、
顔スリスリしてきて…//
「もう私子供じゃないの//!」
「由香は、大きくなっても、いつでも子供なの。」
何親みたいな事言ってんの。
2人の親ばかでさえ、めんどくさいのにー。
「意味わかんない!親ばかは、2人だけで、充分だよ。」
「んー。じゃあ、どうすればいい?」
興味深々に、聞いてくる。
「普通に、兄弟っぽくしてくれれば。」
「それが、わかんないんだって!」
わかんない。だから、あんなんだったの…かな?
「あんま仲良くない感じ?」
まぁ、納得する訳もなく
「由香は、そんなにお兄ちゃんのこと嫌い?」
と言ってきた。
自慢の兄では、ある。
けど、一般人だった方が、もっとよかった。
サインとか、記者に困らないで済んだし。
普通に、暮らせた。
「別に。お兄ちゃんが、芸能人だから、疲れるだけだし。」
「じゃあ、やめよっかな?」
そんな軽くて、いいの?
「あのさ。そんな簡単に、言わないの。マネージャーさんだって
スケジュール調整しなきゃ、いけないだから。」
「ごめん。けど、由香と長くいれないしさ。」
「てか、何でそんな構ってくるの?いきなりさ。」
「だって、由香かわいいんだもん!」
いや、可愛い顔したって、済む問題じゃ…//
しょうがない、許す//
「宿題やってくる。」
照れてるのを見せたくなくて、言ってるのに
「じゃあ、教えてあげる。」
なんて。もう!意地悪。