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短編集

オタクとリア充の狭間で

作者: 春谷公彦

 俺はオタクではない。リア充……でもない、たぶん。彼女はいない。

 え? じゃあ、リア充じゃないって決定だろって? 馬鹿言うな。

 俺が思うに、リア充を恋人の有無で決めようっていう輩はその時点でリア充だと思うんだ。彼女・彼氏がいなくとも。

 だって、人間関係もそうだけど、趣味や仕事が充実してるやつのことをリア充っていうんじゃないの? 誰だよ、恋人の話にすげ替えたの。

 たぶん、普通のリア充が恋人のいるリア充のことを妬んだんだろうね。そのうち、超美人の彼女、超イケメンの彼氏がいるやつのことだけをリア充って言い出すんじゃない? どんどん妬みがリア充の希少価値が高めていくわけだ。

 で、話を戻すけど、俺はオタクではない。

 だって、アニメとか見ないし。見たアニメって言ったらジャンプ系かエヴァくらい。エヴァって時点で周りのやつらにはオタクって見られてるんだけど、それって本当のオタクに失礼だよね。

 確かに映画は二回見に行ったけどね。もっと見に行ってる人いるでしょ、たぶん。

 それに、フィギュアとかも集めてないしね。まあ、カード入りのウエハースは買ってるけど。だって百五円だよ? いや、もうかなり買っちゃったけどね。

 そうそう、ラノベだって読まない。だから、俺はオタクじゃない。読んだラノベっていったら「キノの旅」くらい。学校の図書館にすら置いてるしね。あれ、面白いよね。

 インデックスって何? 目次? 付箋? ……へえ、ラノベなの。

 レールガンってあれでしょ? ブラックキャット。……え、違うの?


 どうでもいい話だけど、俺には妹がいる。

 俺の妹はそんなに可愛くない。ブスでもないけど。

 リア充だよ。間違いなく。彼氏もいるし。

 そうそう、俺の妹は漢字が読める。凄いでしょ? 漢検二級だって。

 リア充すぎてムカつくから、こいつの話はこの辺で。


 俺は友達が少ない。

 友達っていったら、部活かゼミくらいだからね。

 だからリア充じゃない。オタクでもないけど。少ない分深い付き合いはできてるけどね。

 部活は運動系。こう見えても。そもそも顔が見えないって? そりゃそうだ。

 で、ゼミに一人、部活の後輩に二人くらいオタクがいるんだよ。若干、彼らと一緒くたにされてる気がするんだけど、絶対、彼らには勝てない。

 この間、後輩が「HTT」ってプリントのTシャツ着てきたんだよ。俺の部活はそのコンビニでバイトしてるやつが多いから、知ってるやつは知ってたんだけど、誰もツッコまないんだよね。たぶん、みんな知らないんだよ。

 てか、やっぱりごはんはごはんであっておかずじゃないだろ。

 こんなこともあった。

 内容は忘れちゃったけど、運動系のノリで何か冗談を言ってたんだよ。何だったけかな、すげえくだらない話で、「何かやろう」みたいな話だった気がする。

 で、後輩が(さっきのやつとは別)「誰得?」って言ったんだよね。

 その場が凍った、てか、キョトンとしてたね。

「誰得って何?」

「誰が得すんの? って意味じゃない?」

「そうなの? 何それ、ネット用語?」

 みたいな感じ。やっぱみんな知らないんだね。


 で、ゼミの奴が一番強烈でさ。自他ともに認めるオタクなんだよ。それでイケメンだから腹立つよね。

 ツイッターでアニメの話ばっかりつぶやくし、日常生活で「ワロタ」とか使うなよって感じ。ボーリングでストライクとったら「チート! チート!」とかすぐ言うし。

 笑ったのが、そいつのツイッターのつぶやきで、「就活あるある 『鳴らない電話』」ってのがあって、他のゼミ生が「あるある!」ってリプライしててさ。いやいや、わかってないよね。

 でさ、そいつの悪戯か、ゼミ室の黒板に「○○(÷)」って書いてあったんだよ。○○って俺の名前ね。

 だからさ、「おい!」って軽く怒ったわけだよ。

 そいつはさ、相変わらず「ワロタ」とか言ってるんだけどさ。

 けど、何だか周りの様子がおかしくてさ。何か、暗号でも解読してるような顔だったんだよね。


 そんな感じでさ、周りにオタクがいるわけよ。

 でさ、俺ってオタクじゃないよね?

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