表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

アク代官

作者: 鬼崎
掲載日:2026/08/03

「お代官さま、また幕府の把握していない鉱山から大量に銀を手掘り出す算段がついたそうで。おめでとうございます」

「ふっふっふ越後屋よありがとう。これもお主が闇灰党やみばいとうとかいう金に困って悪事に手を染めた者たちを仲介してくれたおかげよ。今後もよろしく頼むぞ」

ぐつぐつと煮える鍋を和やかに囲みながらまったく和やかでない会話を繰り広げるこの二人、分かりやすく悪代官とそれに協力する悪い商人であった。

両者はあちこちの山を独自の方法で調べまくり各種鉱山を見つけるとその土地を格安かつ無関係の第三者名義ですぐに入手、幕府の捜査が入らぬよう細心の注意を払いながら違法採掘してそこから発生する利益でうはうは儲けていた。

これには最近世間巷を騒がせている金の為なら倫理だなんだは投げ捨てる悪党 闇灰党なる輩どもも関わっていて実際今もこの報告兼懇親会の場も数十人の闇灰党の者たちに警備を固めさせていた。

無論、そもそも悪事をしていることを嗅ぎつけられるヘマなどしていない……と関係者一同思っていたのが世の中そんなに甘くない。

ダダダダダ!!と騒がしく駆ける音が遠くから近づいてきたかと思うとバン!と無遠慮に襖が開き悪代官と越後屋の四つの目がそちらに向く。

立っている強面の男は刀を握りしめたまましかしガタガタとすっかり青ざめきった顔で

「て、敵襲……」

とだけやっとのことで告げるとその場に倒れ勢いで転がり縁側から落ちてしまった。

なんだと?!ともっとしっかり話させようとどちらからともなく男に駆け寄った二人はだがそこにたった今までたしかにいたはずの男の姿を見つけることはできなかった。

縁側の下にただ落ちていたのは片手で握れるほどの大きさの小さく透明な板。そしてそこにはどういう技術か消えた男の姿がそのままばっちり描かれている。

「これはなんだ?い、いや今はそれよりも敵襲だと?」

「者ども出あえ出あえ!!侵入した賊を決して生きて帰すな!!」

堂に入った悪党っぷりで口角泡飛ばし指示を飛ばす越後屋、だが駆けつけてきたのはたった十人ほどの闇灰党の者立ちだけ。数倍はいたはずの面子の残りはどこにいったのか?

「すまんがお前たちの仲間はもう動けなくさせてもらった。素直に投降することをすすめるぞ」

『!!だ、誰だ!!』

怯えをなんとか振り払い強気に放った声をしかし何ら気にせずゆっくりとそして堂々と現れたのは帯刀した一人の男。その顔に悪代官は見覚えがあった。

「あ?き、貴様はたしか……」

「ほぉ覚えていたとは意外だな。そう、俺も貴様と同じ代官よ」

代官は抜刀し構え

「貴様らの悪事、事実から証拠までたしかに確認した。もう言い逃れはできん」

「だ、黙れ!!斬れ!切り伏せてしまえ!!」

越後屋の声に闇灰党の者たちが一斉に代官に飛びかかった。

全方位からの同時攻撃。回避も防御も不可能なはずの猛攻にだが代官はふん!と気合いを入れ

「はぁっ!!」

刀を地面に突き刺した。

次の瞬間そこを中心に薄緑色の光が円形に波紋を描くように広がりそれにぶつかった闇灰党の者たちは一人残らず

ぽんぽんぽぽーん

さっき見た、本人が描かれた透明な板に変化して地面に落ちて散らばった。

まったく理解できない光景で現象に悪代官も越後屋も

『え……?』

の一音しかもう発せない。その間にもう代官は近づいてきて

「俺はアク代官と呼ばれていてな」

刀の切っ先を二人に向け

「悪党をアクリルスタンドに変える力をもっているのだ」

まっすぐ光線状に放たれた緑の波動をもろに浴び、悪代官も越後屋も一切抵抗できぬままアクリルスタンドへと姿を変えた。動けず声を出すことも出来ず、しかし意識はしっかりと保ったまま。

「公式の沙汰が決まるまでそのまま過ごすといい。連れて行け」

いつの間にか影のように立っていた数人の忍者らしき者たちがアクリルスタンド化した悪党たちを回収していく。全ての回収がつつがなく完了するのを見届けて、アク代官もその場をあとにした。


五分とかからずずっかり静かになった懇親会の部屋の中

「アク代官……こいつぁなかなかに手強そうな好敵手が出現したかもしれねぇなぁ」

煮えたぎった鍋の中からぬわりと出てきた灰汁あく代官は不敵な笑みを浮かべるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ