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山賀秀明短編集

結婚主義国家:双極磁石

作者: 山賀 秀明
掲載日:2026/04/22

結婚主義国家というノベルゲームの世界観を使った小説です。

こういうのも二次創作になるのかしら

「ごめんなさい。……あたし別の人と結婚することにしたの。」


 彼女は、そう言って足早に立ち去った。


 この国では18歳までに結婚しなければならない。結婚ができなければ社会不適合者として処刑される。つまり死ぬ。

 けれど、そんな人はめったにいない。女性だって結婚しなければ死んでしまう。だから、男女とも交際が認められる年齢になれば、それほど時間をかけずにつがいになる。

 付き合いたてならともかく長く付き合って振られるなんてそんなに多くはない。

 しかし、僕の身には起こってしまった。しかも、18歳まで残り3か月。

 僕は3か月以内に新しい結婚相手を探さなければならない。



「はぁ……、なかなかいい相手は見つからないものだな」


 夕暮れの公園でブランコに座る。あれから一ヶ月。結婚相手を探して走り回り何人かの相手は見つかった。しかし、いい人は居なかった。選り好みなんてしている余裕はないのかもしれない。でも、最低限の幸せが保証される相手じゃないと結婚なんてしたくない。


「「はぁ」」


 もう一度、大きなため息をつくと、まるでタイミングを合わせたかのように、ため息が聞こえた。声の主を探すと、いつの間にか隣のブランコに女性が座っていた。その女性は同じように顔をあげて僕を見つけると、ツリ目を更に釣り上がらせて睨む。


「なんだよ」

「いや別に……」


 反射的に目をそらす。僕が苦手とする強気な女性だ。こういうタイプは正直関わりたくない。僕はおしとやかな女性が好みなんだ。


 そう思い、早くこの場を離れようと立ち上がると、腕を掴まれた。


「なんで逃げるんだよ?」

「いえ……逃げるなんてとんでもない。ただちょっと用事を思い出しまして……」

「なあ、少し話を聞いてくれないか?」


 このタイプの女は大体そうだ。人のことなど考えずに自分の事ばかり優先する。しかたない、優しい僕が聞いてあげることにしよう。決して怖いからではないぞ。


「わかりました。少しなら聞きます」


 ブランコに座り直すと、固く握りしめていた手を離してくれた。それにしても、なんと言う握力だ。腕が赤くなりジンジンと痺れている。

 彼女はウエーブのかかった茶色いロングヘアをかき上げて、一息つくと話し始める。


「実はよ。俺はあと3ヶ月で18なんだけどよ。まだ、相手が見つからねーんだ」


 どうやら僕と似たような境遇らしい。人のことは言えないが今になって焦ってると言うことだろう。


「今まで彼氏も作らないで遊んでいたのかい? 今さら焦ってもなかなかいい人は見つからないよ」


 なんせ、僕がそうなんだ。こんな、乱暴な男女なんて誰も付き合いたがらないだろう。


「俺にだって彼氏はいたさ。かっこよくって強くて……理想の男だった。強引だったけど、そこも大好きだったから一生懸命尽くしたんだぜ。それなのに、一ヶ月前に振られちまった……」


 一ヶ月前……。まさか、ここまで同じ境遇の人がいるなんて思わなかった。


「お前はどうなんだ?」

「え?」

「お前は彼女がいるのかって聞いてんだよ」

「いない」

「いいのか? 見た感じ同い年だろ?」

「君と同じだよ……」

「へ?」

「一ヶ月前に振られたんだ」

「ギャッハッ、一ヶ月前に振られたって? この時期に振られるなんて相当の不幸だな。ギャハハハ」


 腹を抱えて笑い出した。こいつは見た目と同じでバカなのか?


「君も同じだろ」

「ヒーヒーヒーッ。そっ、そう言えばそうだったな」


 なおも苦しそうに腹を抱えながら体をよじっている。


「……もう落ち着いたか?」

「ああ、まさか、俺と同じ目にあってるヤツがいるなんてな」


 笑いすぎて出た目尻の涙を拭いながら、興味深げに俺をみる。


「なあ、どっちが先に相手を見つけるか勝負しねーか?」


 この女は突然何を言い出すんだ?


「なんで、勝負なんかしなきゃならないんだ」

「勝負にすればやる気がでるじゃねーか。振られてばっかりで気分が落ち込んでるんだろ?」

「君と一緒にするな。いい相手が見つからないだけだ」

「どっちでもいいさ。とにかく勝負だ。負けた方はなんでも言うことを聞くんだからな」

「は? そんな勝負受けるわけ……」

「決まりな!」


 しかし、僕が拒否する間もなく彼女はブランコから勢いよく立ち上がると、そのまま駆け出してしまった。



 今日も相手は見つからなかった。

 頭を垂れながら歩いているといつの間にか昨日の公園にいた。どうやらいつもの癖で無意識に来てしまったらしい。

 また、あの女に見つかると面倒だ。今日は大人しく家に帰ろう。


「おー、昨日のお坊っちゃんじゃねーか」


 見つかってしまった……。元気よく腕を上げて手を振ると、ブランコから飛び降りて急いで僕の元まで駆け寄ってきた。


「調子はどうよ?」

「……ひょっとして、彼氏ができたのか?」

「は? そんな簡単にできるわけねーだろ」

「じゃあ、なんでそんなに元気なんだ?」

「勝負中だからな。見た感じお前も見つかってないみたいだし」


 ……やっぱりこいつはバカに違いない。


「しっかし、いい男ってのは、なかなか見つからないもんだな」

「そうだな」


 今までは彼女なんていつでも作られると思っていた。なんせ、同じように彼氏を探してる女なんて沢山いたからだ。

 しかし、二ヶ月前の今は違う。みんな残り物。言ってしまえば落ちこぼればかりだ。

 この一ヶ月間で色々な女性をみてきた。不潔な人、性格が悪い人、暴力的な人、極度な怠け者。正にクズばかりで、女性不信にならないのが不思議なぐらいだ。

 今までは18歳までに結婚しなければならないなんてバカな制度だと思っていた。でも、今はダメな人間をふるい落とすには正しい手段なのかもと思い始めている。

 ……残念ながら僕もグズの仲間なんだけどね。


「おい、なに落ち込んでんだよ」

「君だって散々出会ってるだろ? クズみたいな男達に」

「ああ、ここ一ヶ月で出会った男はヘドが出るようなやつばかりだった。でも、いい男に出会えるかもしれないだろ? いや、俺がこんなに魅力的なんだ。出会わないはずがない」


 バカもここまでくると尊敬できるな。


「そんなに落ち込むなよ。どっちにしろ探すしかないんだ。勝負相手がそんなんじゃ張り合いがないだろ?」

「あの勝負は本気なのか?」

「あったり前だろ。俺は負けないからな」


 彼女はイケメンの如く白い歯をキラリと光らせると、急に走り出した。


「じゃあ、また明日な」


 そして、大きく手を振りながら暗闇のなかに消えていった。



 今日もいつものように、結婚相手を探したあとの帰りに公園に寄る。


「勝負が始まってから二週間が過ぎたわけだけど、相手はみつかったのかい?」

「見つからねーよ。お前こそ見つかったのかよ?」


 力なく首を振り、答える。


「まあ、そんなに落ち込むな」


 いつものように笑顔で僕の背中を叩く。叩かれた場所からジンジンと痛みを感じる。彼女はいつもその調子だ。僕なんかは彼女探しで疲れきっているのに、いつも元気に僕に話しかけてくる。その元気は少なからず僕に力を与えていた。


「なあ、この二週間考えたんだけどさ」

「なんだよ」

「僕たち結婚しないか?」


 ずっと、考えてた。悩みに悩んだ。いい人がいないか探し回った。でも、出会うのはクズばかりだ。それなら彼女と結婚した方がましではないか?

 そう結論付けた。


「は? 嫌に決まってるだろ?」

「なんでだよ! 今まであった人達より僕の方がましだろ?」

「たしかにましだ」

「だったらなんで……」

「ましなだけだ。理想にはほど遠い。前にも言ったけど、俺は元カレの様に男らしい人が好みなんだ。お前みたいなナヨナヨしたやつは嫌いなんだよ」

「ぼっ、僕だって理想はおしとやかな女性だよ。君みたいな男か女かわからないような人はお断りだ!」


 彼女は怒りかえすでもなく、呆れた顔で僕をみる。


「やっぱりそうだろ? 妥協して結婚したっていいことなんてないよ。結婚したあとも喧嘩を繰り返すだけだ」


 なんだ、急にもっともらしいこといって。

 バカの癖に。


「俺、もう帰るわ」


 彼女は気分を悪くしたらしく、トボトボと暗闇のなかに紛れていった。


 それから二週間走り回った。どうやら僕はいい相手がいなくても最悪、境遇の似ている彼女と結婚すればいいと、心のどこかで思っていたらしい。

 しかし、それができない今、死ぬ可能性は格段に上がった。そうなれば必死にならざるを得ない。

 そして、必死に探して、久しぶりに公園にきた。

 彼女は以前と違って、疲れた様に頭を垂れてブランコを漕いでいた。僕が近づくと辛そうに顔を上げる。


「君らしくないな。以前の元気な君はどこにいってしまったんだい?」

「うるせえな。最近きて無かったから病気にでもなったのかと心配してたんだぞ」


 彼女は口を尖らせて拗ねている。


「ゴメンゴメン。どうやら僕は君に甘えていたみたいだからね。最近は真剣に彼女探しをしていて、来る暇がなかったんだよ」

「甘えるって……気持ち悪いな。俺はお前を甘えさせた覚えはねーぞ」


 卒倒したようにのけ反り僕から距離をとる。


「そういう意味じゃない。いざとなれば君と結婚すればいいと余裕になってたんだ」

「おっ、俺はお前と結婚する気なんてねぇからな」

「わかってるよ。だから必死に探したんだ」


 ずっと、どうしたらいいか考えた。考え抜いた。その答えは簡単だった。年下の女性と結婚すればいい。それだけだ。

 同年代は売れ残りのクズばかり。だったらまだ余裕がある年下を探す。でも、言うほど簡単じゃない。向こうだって残り物のクズの僕と付き合う理由はない。時間も相手もたっぷりとあるんだから。

 その中に理想に近い相手がいた。おしとやかで、優しくて。僕が期限がないと訴えたら可哀想だと涙を流してくれた。


「ふっふっふっ」

「なんだよ。気持ち悪い笑いかたして。お前こそいつもの様な暗い雰囲気はどうしたんだ?」


 呆れた雰囲気の彼女に俺は得意気に言い放つ。


「実はとうとう彼女ができたんだ。結婚の約束もした」

「なんだって? まさか適当な女に妥協したんじゃないだろうな?」

「妥協なんてしてないさ。理想通りのおしとやかな女性さ」


 俺は得意気に話す。


「だから元気だったのか……」


 しかし彼女は更に元気を無くしていた。


「ん? 君だったら勝負相手でも笑顔で祝福してくれると思ったんだけどな。もしくは凄く悔しがるか」


 どちらでもない、力なく呆然とした雰囲気だ。


「あっ? ああ、もちろん祝福してるよ。おめでとう」


 平坦な言葉は、内容とは真逆だ。まったく心がこもっていない。

 よく考えたら結婚までの期限は一ヶ月を切っている。能天気な彼女のことだから気にしてないと思っていたが、さすがに堪えてるのかもしれない。朝から元気がなかったのもそのせいだろう。


「安心しろ君に彼氏が出来るまでは付き合うよ」

「は? いらねーよ。せっかく彼女ができたんだ。デートでもしてればいいだろ」

「もちろん、デートはするさ。でも君とは一ヶ月間いっしょに結婚相手を探した仲だ。いわゆる戦友ってやつだな。それに、もし結婚相手が見つからず処刑でもされてしまったら夢見が悪い。だから手伝う」

「しかたねーな。そこまで言うなら協力させてやるよ」


 それから、デートをしてる以外の時間は彼女に付きっきりで結婚相手を探し回った。色々調べてアドバイスもした。しかし、彼女がいいと言う相手は見つからなかった。


「さっきの男なんてかなりよかったと思うんだけど、ダメなのか?」

「ああ、ダメだ……」


 ずっと、この調子だ。明らかに彼女の理想の男でもけして首を縦に振らない。それどころかやる気が無いように感じる。


「真面目にさがす気はあるのか? たまにボーっとしてるし、相手と話してるときも別のことを考えてるみたいだ」

「しっ、しかたねーだろ。複雑な気分なんだから……」

「複雑?」

「なっ、なんでもねーよ」


 ぷいっと顔をそむけた。最近は、こんな男女でも女らしい部分はあるんだなと感心することがある。


「それよりさ、どっかに遊びに行かねーか? 男探しばっかりで疲れちまったよ」

「遊んでる時間なんて無いだろ? あと二週間しか無いんだよ?」

「当事者の俺が遊びたいって言ってるんだから良いだろ」

「そうはいかないよ。僕は君に死んでほしくないんだ」

「……何でそんなに真剣になるんだよ」


 少し上目遣いになりながら俺を見てくる。口をとがらせてるが何が不満なんだ?


「言っただろ? 一緒に結婚相手を探した仲、いわゆる戦友だって」

「じゃあさ、お前は俺の結婚相手が決まったら嬉しいのか?」

「当たり前だろ。大喜びしてやるさ。なんだったらお祝いパーティーをしても良い」

「……もう良いよ」

「へ?」

「もう一緒に探さなくて良いって言ったんだ。一人で探すよ」

「どうしたんだよ? 僕、変なこと言ったか?」

「うるせーな。もう良いって言ってんだろ」


 肩を怒らせて早足で歩きだす。

 彼女を追って声をかけたが、結局無視されてしまった。



 次の日も心配になり朝早くに公園に行った。一緒に探していた時はいつもそこで待ち合わせをしていた。予想通り彼女はブランコに腰掛けていた。


「なんだよ? 来たのかよ?」

「そりゃ、昨日みたいに別れたら心配になるだろ」

「もういいんだよ」


 彼女は、ブランコを小さく揺らす。


「よくないだろ。まさか、死ぬつもりなのか?」

「ちげーよ。ただ、もう誰でもよくなっただけだ。だからさ……どっか遊びにいこうぜ」


 なんだ? よくわからないけど自暴自棄にでもなってるのか? 正直こんなに元気のない彼女なんて見たくなかった。なんとか元気にさせられないものか。


「わかったよ。じゃあ、今日は遊びにいこう」

「ホントに行ってくれるのか?」

「ああ、で? どこに行きたいんだ?」

「じゃあ、遊園地……」


 照れながら言った場所は僕の予想外だった。おかげで理解するのに数秒かかってしまった。


「ダメなのかよ?」

「いや、子供っぽい所がいいんだな」

「うるさい! いいだろ別に……好きなんだから」

「……意外とかわいいところあるんだな」

「っ! くだらないこといってないでさっさといくぞ」


 いつものように、足早に歩き出した彼女を追っかけた。

 その日は、憂さ晴らしをするかのように、さんざんつれ回された。

 その次の日も彼女は探す気は無いようだった。その代わり、遊びにいこうと言われる。仕方なく付き合うと、昨日と同じくクタクタになるまでつれ回された。

 次の日も、その次の日も……。


「今日はどこに遊びにいこうか?」


 楽しそうに場所を考えている彼女。今日も探す気はないようだ。元気を出すために一緒に遊んでいる。そして、実際に元気は出てきている。でも、探す気はない。これじゃ本末転倒だ。


「おい、いい加減にしろよ。明日が期限なんだ。今日相手が見つからないと死刑になっちゃうんだぞ」

「大丈夫だよ。俺もちゃんと調べたんだけど、結婚相談所ってのがあるらしい。まあ、ろくな相手は来ないだろうけど、そこに電話さえすれば直ぐに結婚相手を見つけてくれるんだって」

「なに言ってるんだ。それじゃ、どんな相手になるかわからないだろ!」

「だから、相手が誰でもいいって言っただろ」


 その後も一生懸命説得しようとしたが、頑として聞いてくれなかった。「誰でもいい」彼女はそればかり繰り返していた。



 期限の当日。いつものように公園に向かう。彼女は当然の様にブランコに座っていた。


「どうしたんだよ? 結婚式に行かないのか?」


 さほど興味がなさそうに聞いてくる。


「どうしたんだはこっちの台詞だ。まともに相手を探さないで……。だからな、君にお似合いの男を用意した」

「ご苦労な事だな。まあ、俺は誰でもいいからな。さっさと、紹介してくれ」

「うん。それはね。目の前にいる男。この僕だ」

「はあ? てめー! からかってるのか! お前は結婚相手いるじゃねーか」

「いや、今はいない。昨日振られた」

「マジかよ!? いや、なんでだよ!?」

「どうやら元彼女は、僕がデートに誘って来なかったのを不審に思って後をつけたらしい。それで、君と一緒にいるのを目撃されたんだ。で、浮気する様な男とは結婚できないって言われた」

「なんだよ? お前は俺に協力してくれただけだろ? 完全に誤解じゃねーか」

「ああ、でもいいんだ。僕は君と結婚することにしたから」

「はあ? 訳わかんねーよ。大体お前はおしとやかな女が好みなんじゃねーのかよ」

「ああ、その通りだ」

「意味わかんねー。まさか、同情したとかじゃねーよな? そんなんだったら絶対結婚しないからな!」

「そうじゃないよ。君と一緒にいて気づいたんだ。好みと好きになる女性は違うって事に」

「どういうことだよ……」

「ホントに君はバカだな。つまり僕は君のことが好きになっちゃったんだ。だから、結婚してくれ」

「バカはお前だ。俺は男らしいやつが好きなんだ。お前は俺みたいな女じゃなくて、可愛い子と結婚したほうがいい。今からでも遅くないだろ。彼女に誤解だって言って結婚してもらえよ」

「どうしても嫌か?」

「ああ、誰でもいいって言ったけど、お前だけは別だ。俺とお前じゃ合わなすぎる」

「しかたない……この手は使いたくなかったがな……」

「力ずくで結婚するつもりか? 言っておくが俺の方が力が強いぞ?」

「わかっている。だから言葉で従わせる。その言葉は、『君が僕のことを好きか教えてくれ』。好きだったら結婚してくれ。嫌いだったら……その時は諦める」

「なんで、そんな事言わなきゃならないんだよ……」

「君に拒否権はない」

「なんでだよ!」

「約束したじゃないか。『先に相手を見つけた方がなんでも言うことを聞く』って。今は別れてしまったけど、確かに結婚相手は君より先に見つけた。だから約束通り僕の言う事を聞いてもらう」

「……強引なやつだな」

「強引な男が好みなんだろ?」

「俺みたいながさつな女でいいのかよ?」

「君がいいんだ。君のことが好きだ。君は僕のことをどう思ってるんだい?」

「……負けたよ。俺もな……その……お前の事好きになってたんだよ……」





 一年後、婚約指輪をつけた二人は遊園地に遊びに来ていた。


「なあ、ずっと気になってたんだけどよ」

「なんだ?」

「一年前のあの日。なんで、俺が、その……好きだってわかったんだ?」

「……いや、わからなかったよ」

「えっ? じゃあ、俺がお前のこと好きじゃなかったらどうしたんだよ?」

「君と一緒だ」

「どういうことだよ?」

「君じゃないなら誰でもいいって思ったんだ」

「っ……! まったく……人のこと散々バカって言ってたけど、自分だってバカじゃないか……」


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