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ぎりしゃしんわ  作者: ほめろすとかいろいろ
3/15

英雄のはじまりは、ベビーベッドから。

その夜、ぼくはベビーベッドでぐっすり眠っていた。

ミルクも飲んだし、おむつも替えてもらったし、母さんの子守唄も聞いた。

つまり、完璧な赤ちゃんライフを満喫していたわけだ。


……なのに。


「ふふふ……これで終わりね」


へーら様が、夜の闇に紛れて忍び込んできた。

手には、うねうね動く2匹の毒蛇。目が赤く光ってて、完全にアウト。


「この子がいなくなれば、ぜうすも少しは反省するでしょう」


(いや、絶対しないと思うよ!?)


毒蛇がベビーベッドに放り込まれたその瞬間――

ぼくの手が、勝手に動いた。


右手で一匹、左手で一匹。

毒蛇を、ぎゅっと握りつぶした。


「……なっ!?」


へーら様の顔が、ほんの一瞬だけ引きつった。

あれが、ぼくの“英雄物語”の始まりだった。


それからのぼくは、どんどん強くなっていった。

岩を持ち上げ、獣を倒し、困ってる人を助けて――

「英雄へらくれす」の名は、神々にも人間にも知られるようになった。


でも、強さだけじゃ守れないものもあった。


ある日、へーら様の呪いで、ぼくは一瞬だけ正気を失い、

自分の手で、大切な人たちを傷つけてしまった。


「へらくれす、あなた……自分が何をしたか、わかってるの?」


神託の巫女が、神殿の奥から現れて、ぼくをまっすぐ見つめていた。


「……えっと、寝ぼけて家壊した?」


「違うわよ! 家族を……!」


その言葉に、ぼくの心臓がギュッと縮んだ。


「……ぼく、そんなつもりじゃ……」


「わかってるわ。でも、神々の世界では“つもり”じゃ済まされないの」


そして、神託が下された。


「十二の試練を乗り越えよ。さすれば、罪は清められ、神に近づくであろう」


「……え、十二も? 3つとかじゃダメ?」


「ダメです」


完全にブラック企業の上司ムーブだった。

報酬は「罪の清算」と「神に近づく権利」。有給も出ないし、命の保証もない。


でも、やるしかなかった。

もう二度と、大切な人を傷つけたくなかったから。


こうして、ぼくの試練生活が始まった。

神話級のブラックミッション、開幕である!

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