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5.観測と選択:世界を収束させる鍵

――“見る”ことと“選ぶ”ことが、現実を形づくる


「この世界は、私が見ているから存在しているのか?それとも、存在しているから私が見るのか?」


この古典的問いに、現代の物理学・哲学・認知科学は新たな光を当てている。

それは、「観測」という行為が、単なる受動的体験ではなく、世界を“収束”させ、“確定”させる能動的な働きであるという見方だ。


さらに「選択」は、複数の可能性の中から“どれを世界として見るか”を決定づける行為であり、観測と一体となって“現実のかたち”を作り出す。


本節では、「観測」と「選択」が持つ世界構造への影響力を、量子論的視点、意思決定理論、螺旋構造思考を交えて論じていく。


● 観測とは「収束」する力である


量子力学の有名な実験――「二重スリット実験」では、粒子が観測されるかどうかで振る舞いが変わる。

観測しなければ、粒子は波のように“すべての可能性”として存在し、観測すれば“ひとつの結果”として定まる。


これは、「観測者の存在」が、現実を確定させていることを示している。


この仕組みを拡張すれば、人間の意識や認知も同様に、混在する可能性の中から“ひとつの現実”を定義していると考えられる。

つまり、観測とは「未来の可能性を現在の現実へと収束させる」行為であり、**世界は“見られることでかたちになる”**という逆説的構造を持つ。


● 選択とは「分岐と統合」の連続である


日々の選択は、人生の枝を分けるだけの単純なものではない。

無限螺旋構造において、**選択とは“時間の流れそのものを巻き込みながら自己と世界を再構築する行為”**である。


・Aを選んだ自分と、Bを選んだ可能性の自分

・その両方が存在しうるマルチレイヤーな構造

・だが、選んだ瞬間に「私はAを選んだ存在」として収束する


ここにあるのは、「選択は未来を作ると同時に、過去の意味さえ書き換える」という認識である。

過去の選択は、“今”という観測点から振り返ることで意味を持ち、観測によって過去すら再構成されるのだ。


● 観測と選択の連動が「世界線」を創る


シュレーディンガーの猫は、生きても死んでもいない“重ね合わせ状態”であるが、蓋を開けた瞬間にどちらかの状態に収束する。

これは物理現象だけでなく、我々の思考、感情、行動にも同じ構造がある。


「観測(意識)」と「選択(行動)」が結びつくことで、我々は“ひとつの世界線”を歩み出す。


無限螺旋構造における時間とは、ただ過ぎ去るものではなく、**選択によって形作られ、観測によって確定される“巻き取られた流れ”**である。


この巻き取りの中心軸こそが「自己」であり、世界構造を構成する“主観の中の現実”の核となる。


● 「見ること」と「選ぶこと」は世界への関与である


世界は与えられるものではない。

世界は、「私がどう見るか」「私が何を選ぶか」によって日々“生成”されている。

つまり、**現実とは、観測と選択という二つの操作によって立ち上がる“構築的現象”**なのだ。


この理解に立てば、

・選ぶことに迷い続ける人生

・無意識に観測をスルーしてしまう日々

これらが“現実の手放し”に繋がりうることが見えてくる。


一方で、自ら観測し、自ら選ぶ人間は、世界に対して責任を持つ存在=創造する者となる。

世界は、観測する者にその形を明かし、選ぶ者にその行方を委ねる。


● 小結:「現実」とは選び取られた幻である


世界は一つではない。無数にある可能性の中から、私たちはひとつを選び、観測することで“今”を立ち上げている。

つまり、現実とは「選ばれた幻」であり、選び続けることが、唯一の真実である。


観測とは、変化を認識する力。

選択とは、構造を動かす意思。

この二つが重なった瞬間、螺旋は次の層へと進み、新たな自己と世界が生まれる。


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