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黒見様の異世界無双(2)

前回のあらすじ

異世界に転生した黒見が、バルバドス帝国でも最強クラスの冒険者であるミドノ・インペラーヴェに出会い、南部地方の都市「テールノン」に向かった。冒険者になることを決意した黒見は帝都の冒険者ギルドへと向かい試験を受け、無事に冒険者になってテールノンに帰ってきた。ミドノが家を持ちたいということで、黒見一行は家探しを始めた。

第七章 魔族と料理と黒見様と


第一幕

ミドノに連れられて、黒見様一行は家を売っている人の元を尋ねた。ミドノの知り合いのようだ。ミドノが紹介すると言った。

「紹介するよ。僕の友人、ウェイリス、職業は不動産屋」

ウェイリスは一層の鄭重さを持って

「ご紹介に預かりました。ウェイリスです。」

といった。黒見は事情を説明し、

「家は今どのくらい売りに出されているのですか?」

と聞いた。ウェイリスは

「今は20〜25戸ほどです。」

と答えた。ミドノも黒見も、報酬は持っていたし、そこそこのものが買えそうであった。売りに出されている家を見ていっていると、街の外れにある家についた。黒見は

「この家は売りに出されているのですか?」

と尋ねると、ウェイリスは

「人は住んでいませんが、魔物が住み着いているとか言う噂があって、冒険者ギルドに依頼を出したのですが、クエストを受けた冒険者が一向に帰ってこないのです。」

と、困ったように話した。黒見は家探しの他に用事がなかったため、

「じゃあ、その家の中にいるっていう魔物を討伐したらその家を自分のものにしても良い?」

と尋ねるとウェイリスは

「良いですが、気をつけてくださいね。」

と心配そうだった。


第二幕

黒見様一行が家を見終わる頃にはもう夜になっていた。ミドノが

「クエストを受けに行くのは明日にしましょうか、もう暗いですし。」

といった。黒見も

「それが妥当だろう。」

と、宿を取る準備をしていた。ふとミドノに気になっていたことを尋ねることにした。

「ミドノって大食いなのか?」

ミドノは、

「まあそうですけど、、?」

と答える。黒見は帝都であったことをまだ信じきれいていない様子であった。宿も決まり、そろそろ夕飯にすることにした。

「ミドノはなにか食べたいものがあるか?」

と黒見様が尋ねるとミドノは

「黒見様料理はできますか?できることなら黒見様の手料理を食べてみたいです。」

と答えた。

「じゃあ、料理作ってみるか。食材はあまりないから買ってくるとして、、」

黒見は目線をミドノの方に向けた。

「買ってきて、ここに書いたもの」

ミドノは四の五の言わずというように買い物に行かされた。

ミドノが買い物から戻ると黒見様は鍋に色々なものを入れて煮込んでいた。ミドノが

「買ってきましたよ。」

というと、黒見は

「それを全部4分の1くらいの大きさにして鍋に入れておいて。」

といった。ミドノが言われたとおりにし、暫く経つとカレーのようなものができた。黒見はこれで2日は持つだろうと思っていたが。10分ほどで終わった。ミドノと黒見が床についた頃、魔窟の森では魔物が一箇所に集結していた。


第三幕

黒見一行は昨日見た家に住み着いた魔物の排除に取り掛かった。家は4階建てくらいの大きさがある。意外と大きい家で、住むには問題なさそうであった。家に入るとすぐに大きな部屋に出た。部屋の中には10〜20ほどのドアがあり、ドアはそれぞれ違う色、形fをしていた。黒見様が、

「1つ1つ開けていくのは面倒だから、二手に分かれて端から開けていってみよう。」

と提案した。ミドノは

「良いけど、僕の方向感覚は皆無だよ?」

と自慢げにいった。

黒見様が、ちょうど真ん中のドアを開けた頃、ミドノは部屋の中をさまよっていた。

「あれ?、、、僕は、どこから来たんだっけ?」

ミドノは黒見様が開いたドアの前に立って

「ここを一つ一つ確かめれば良いのか、、、」

とつぶやく。黒見様はその頃にはすべてのドアを開けきって

「ミドノーーどこだーー?」

と叫んだ。ミドノは、黒見様が開けたドアの方から来た。

「はい、、ここに。」

そう話すや否や黒見様は

「本当に方向感覚が無いな。ミドノは」

と苦笑いしながら言った。家の中を結構歩いたが魔物は一匹も見つからない。すると、呻き声が聞こえた。黒見様が近づくとミドノだった。黒見様が

「なんでお前がここにいる?」

といった。ミドノが

「なんでとはどういう意味ですか?」

と聞くと黒見様は

「僕の進行方向にミドノがいることだ。相当のことがない限り僕が追い越していく人を見過ごすことはないはずだが、、、」

といった。その時、笑い声が聞こえた。天井の梁の上に何かがいる。


第四幕

黒見が梁の上にいる魔物に話しかける。

「お前は誰だ?幻術でも使えるのか?」

「俺の名前はウェイリス・アルベルト、魔王軍第三隊隊長だ。」

梁の上にいたのは魔族であった。

ミドノが顔を青くしながら

「ウェイリス、、、ウェイリスなのか?」

と尋ねた。魔族は小さくうなずき、

「お前たちをこの館に連れ出したのは俺である。そしてここが貴様らの墓場である。」

といって脅した。魔族は、体力、魔力が人間の数百倍ほどある。だが、黒見からしたらそれはどんぐりの背比べであった。

ウェイリスと名乗った魔族は

「悪いが、お前と話している時間はない。」

と言い放ったと同時に、魔法の詠唱を始めた

「天と地とが引き裂かれし力を我が身、、、、、」

と、詠唱が止まった。正確には止められた。黒見が魔法を止めている。そして魔法が完全に力を失うと黒見が話し始めた。

「これは超級魔法アブサルートキャンセラーという魔法で、相手の魔法がなにかわかった時点で、その魔法の効力をなくすことができる能力だ。」

黒見は続けた。

「まさか、勝手に攻撃しておきながら反撃を受けないと思っていないだろうな?」

笑っている。黒見が笑いながら言っている。黒見が背中にかけていた剣を抜いた。

「氷系統魔神剣 レアス、この剣は魔神剣と呼ばれる最強クラスの剣の一つだ。そして、特殊能力もある。」

ここまで言って、黒見は深く息を吸った。

「特殊能力発動 超級魔法 {アブソリュートゼロ}」

そういった瞬間、相手が凍った。さすが魔族というところだろうか。この攻撃をギリギリでしのぎ、氷を破壊した。と、その瞬間だった。

ミドノが左手を天に向けた。

「超級魔法 ロキ」

詠唱と共に炎の渦が巻き起こり、ウェイリスは消え去った。


第五章

黒見はミドノに

「友人を倒してよかったのか?」

と尋ねると、ミドノは

「魔族は人類に甚大な被害を起こしますし、もとからそこまで仲が良かったわけでもありませんし」

と答えた。何かをこらえているようだった。結局、館の中に魔物はいなかった。ギルドにクエストが終わったことを報告した。そして、その家は今後どうするのか尋ねると、職員の人は

「今後どうするとかもないですからね、、」

といった。黒見が

「そういえば、キミの名前は?」

というと、職員の人は

「ルーシーです。」

と答え、続けて

「あの家、今後どうしましょう?使い道も決まってませんし。」

するとミドノが

「じゃ貰ってもいいですか?」

と食い気味に尋ねた。ルーシーは

「まあ、良いですよ。」

といってくれた。こうして黒見様一行はマイホームを手に入れたのである。といっても中はまだ古いままなので、ミドノと黒見でリフォームをすることとした。ミドノが

「とりあえず中身をくり抜いてしまいますね。」

といって、館の外枠と柱を残して壁や床をすべて取っ払った。黒見はとても驚いた様子だった。なぜなら、最上階と3階は柱が繋がっていなかったためである。構造上とんでもない欠陥である。ミドノに

「これ、大丈夫なのか?」

と黒見が尋ねると、ミドノは

「じゃあ、4階爆破しますか、、、」

といった。それと同時に4階が吹き飛んだ。そして、ミドノの能力である、物質の操作で壁や床を作り、家具などもおいて、リフォームが終了した。


第八章 調査と孤児と黒見様と


第一幕

リフォームも終わりやることがなくなった頃、ベルルーグ北部では魔族の被害が増加していた。そのため、バルバドス帝国内に5箇所ある冒険者ギルドのギルドマスターは帝都のギルドに集められた。

「今日集まっていただいたのは他でもない。北部地域の魔族の被害の対策である。」

「早速会議に移る。なにか意見がある人はいるか?」

帝都のギルドマスターが呼びかけても誰も意見を述べない。北部地域の被害が甚大でどこから話したら良いかすらわからないのである。やがて南部テールノンのギルドマスターが話しだした。

「ギルドでは強い冒険者を把握しているのでしょう?その人たちから何人かを北部の調査に向かわせたらどうでしょう?」

この案以外に意見がなかったため、この案が可決された。翌日、黒見、ミドノに招集がかかった。ルーシーは

「あなた方に北部地域の魔族被害の実態調査の依頼を受けていただきたいのです。」

といった。黒見とミドノはしばらく悩んだ後、

「依頼を受けるよ。魔族の被害を見てみぬふりはできないからな。」

と伝え、依頼を受けることにした。


第二幕

黒見一行がテールノンを出発して1日が経った。北部地域に向かうには帝都を経由するのが一番早いため、まず帝都に向かうことにした黒見一行はちょうど帝都とテールノンの中央位にいた。ミドノは

「そろそろおなかもすきましたし、ご飯にしますか。」

といった。気づけば太陽はちょうど真上にあった。黒見は

「そうだな。これだけ歩けばおなかもすくな。」

と言いながら苦笑いをして、魔物狩りを始めた。魔物の肉もおいしいものもある。森の中にはキノコなども生えていて、ちょっとした料理位なら簡単に作ることができた。ミドノは森へキノコ狩りに、黒見は山へ魔物狩りに向かった。ミドノがキノコを取り終えて、帰路についた時であった。何か音が聞こえる。「誰かが戦っているのか?」

ミドノは慎重に音の鳴る方へと近づく。すると、冒険者パーティーが盗賊に襲われていた。盗賊は相当な数だ。ミドノが近づくと冒険者の一人と目が合った。それは、帝都に行く道であった冒険者らしき人と酷似していた。ミドノは冒険者に話しかけた。

「これはどういう状況ですか?」

冒険者は、

「森で一時的に休憩していたら盗賊が現れて、、、」

といった。ミドノは話を聞き、

「とりあえず撃退しようか。」

といった。

「超級魔法 大地の呻き」

ミドノの詠唱とともに大地が割れてマグマが噴出した。冒険者が唖然としている中、ミドノは軽く自己紹介をした。

「ミドノ・インペラ―ヴェです。以後お見知りおきを。」

そしてミドノは尋ねた。

「皆さんの名前は何ですか?」

冒険者パーティーの人達は背の順で並び、低い人から自己紹介をした。一番背が高いのは帝都の道にいた人のようだ。

「ローエン・アンペルトです。」

「ファルクス・ロンテールです。」

「エリス・ウィークスです。」

「アルフィナ・インプスです。」

ミドノは、アルフィナに話しかけた。

「出身は?」

「アイリスペルダムです。」

「年齢は?」

「17歳です。」

ここまで聞いたときにミドノは思った。ヴァルハラが滅び、住んでいた村が滅ぼされて、ミドノが普通の冒険者として冒険しだしたのはここ20年くらいのことで、その前は孤児院の副院長を務めていた。ミドノはその頃にとある少年にあったことが印象に残っている。


第三幕

ミドノが孤児院の副院長だったころ、バルバドス帝国では食糧不足が深刻化して、孤児が増えていた。そのためミドノは直接食糧不足の現場に行って孤児を保護しようと考えたのであった。ミドノが食糧不足のひどい諸島部につくと、何人かの人が子どもの周りに集まっていた。

「大丈夫か?しっかりしろ!」

と叫んだ少年の目線の先には瘦せこけた小さな子どもがいた。ミドノがその少年に

「この子はどうしたんだ?この子の名前は?」

と尋ねると、少年は

「こいつの名前はアルフィナと言います。2年前くらいにここに越してきました。こいつにはもともと父親がいないのですが、母親がこの食糧不足の中で死んでしまって、、、、」

少年は息詰まってしまった。ミドノが、

「グレートヒール」

という詠唱とともにアルフィナに回復魔法をかけたミドノは、アルフィナの近くにいた少年に、

「僕はバルバドス帝国本土の孤児院で副院長をしているんだけど、そこに連れて行って手当てしてもいいかな?グレートヒールは一時的なものにしかならないから、、。」

と尋ねた。少年は

「アルフィナを助けてくれるならそれで良いです。ただ、絶対にもう一度、元気になったアルフィナと会わせてください。」

といった。少年の目からは涙がこぼれていた。少年とアルフィナは仲が良いのだろう。ミドノは絶対に直さなければならないという責任を感じた。


第四幕

幸いアルフィナは2週間ほどですっかり元気になり、もう普通の生活ができるようになっていた。ミドノがアルフィナに

「キミは今後どうやって生活していくの?」

と尋ねると予想外の答えが返ってきた。

「事務職に就いて、しっかりと稼いで、しっかりと暮らしたいです。」

最近のガキはチャンバラとかをして将来は絶対にすんごい人になるみたいな、超絶的な夢見者しかいないと思っていたミドノにとっては、地球が滅ぶよりもビッグニュースかもしれない。ミドノが

「上手く聞こえなかったからもう一回言ってくれる?」

と尋ねると、少年は

「事務系の職業に就いて、しっかりと稼いで、しっかりとした生活をしたいですね。」

と笑いながら言っていた。アルフィナの目には希望が灯っていた。その後アルフィナはミドノの手によって諸島部に送られて、無事に少年と再会することが出来たそうで、でもミドノはその時、

「最近の若者は事務職にも興味あるのか、、、」

という事で頭の中がいっぱいだった。そして、今ミドノの目の前に、あの時助けたアルフィナがいるのである。アルフィナが

「あの時、僕を助けてくれたのはミドノ様で間違いないのですか?」

と尋ねた。ミドノが

「諸島部にいた孤児なら助けたぞ?お前、将来事務職に就きたいって言ってなかったか?」

と尋ね返すとアルフィナは

「自分、、、馬鹿すぎて、、、」

と小さな声でぼそっと呟いた。場の空気は最悪である。アルフィナの二つ隣にいたファルクスが場の空気をかき消すように、

「じゃあ、ミドノ様は僕のことも覚えていますか?」

と問うとミドノが

「お前、、、、、、、?誰だっけ?」

と答えた。ファルクスの精神的ダメージは計り知れないものだった。ミドノはさらに追い打ちをかけるように

「そもそも、、お前の名前ってなんだっけ?」

と言い放った。ファルクスは立つ気力もなくなり、軟体動物のようになってしまった。アルフィナが

「僕が倒れてた時に隣にいた人ですよ。名前はファルクスです。」

といった。ミドノが

「そういえばそうかも、、、。」

と答えた。ミドノは更に

「そんなことはどうでもいいんだけど、」

と続けた。軟体動物と化したファルクスが、

「どうでもよくはないだろ!」

と叫んでいるのをよそ眼に、ミドノは

「君たちはどこに向かってるの?盗賊に狙われてるなら護衛とかするよ?」

とアルフィナをよほど心配しているようだった。アルフィナは、

「自分たちは今、サンレシホエルンに向かっています。護衛していただけるのはありがたいのですが、あなた方は何処へ向かっているのですか?」

と、ミドノに気を使った様子だった。ミドノは

「北部地域に魔族の被害の調査に行くとこだけど?」

と返すと、アルフィナは

「奇遇ですね。私もです。」

といった。ミドノはこのパーティーと一緒に黒見のもとに戻ってサンレシホエルンまで一緒に行ってもいいか許可を取ることにした。


第五幕

黒見に合流する途中、アルフィナはミドノに

「その、今使えている黒見様?ってどんな人なんだ?」

と尋ねた。ミドノは

「優しい人だよ。とても──」

と答えた。ミドノ一行は小さな沢についた。すると対岸から大きな魔物がやってくる。パーティーの人たちは警戒していたがミドノが

「大丈夫だと思うよ。」

というと皆安心したような感じがした。対岸から来たのは、食物連鎖の王となった黒見だった。黒見が

「結構な量の食料を確保したよ。、、、そちらの方々は?」

とミドノに尋ねると、ミドノは

「僕の昔の知り合いとその仲間だよ。さ、自己紹介して。」

といった。一通りの自己紹介が終わり、黒見一行は人数が増えて魔族の調査に向かった。パーティーにいたエリスが料理を作ってくれた。エリスが

「うちの母が良く作ってくれたの」

と言って、魔物の肉を使ってスピラフィシュの穀菜煮込み風を作ってくれた。スピラフィッシュは魔物の肉になっていた。黒見、ミドノはおいしそうに食べているが、パーティーの冒険者一同は複雑そうだった。黒見が

「何かあったのか?」

とアルフィナに尋ねると、アルフィナは

「自分ら、もうこれで10日連続スピラフィシュの穀菜煮込み風なんです。」

と泣きそうになりながら言った。黒見は同情するしかなかった。黒見はエリスに

「明日からは僕が料理を作りますよ。」

といった。エリスは

「良いですよ、戦闘でもろくに成果が出せないような人間はこういうのが仕事ですから、」

と言ったが、黒見が勢いでごり押した。

その夜黒見が料理を作りながら、元居た世界の歌を口ずさむ。

「かごめかごめ籠の中の鳥は、いついつでやる、夜明けの晩に鶴と亀と滑った。うしろの正面だあれ。」

アルフィナが、

「ごきげんだな。」

と、笑いながら言った。料理が完成した。魔物の肉を野菜と一緒に煮込んだ簡単なものだったが、冒険者パーティーの人たちは美味しそうに食べていた。


第九章  迷宮と黒竜と黒見様と


第一幕

数日が経過して無事にサンレシホエルンにつくことができた。ローエンが

「魔族は強力ですから、先に装備を整えてしまったほうが良いかもしれませんね。」

といった。ミドノは

「僕は大丈夫。物質の創造はできるから最悪装備は作ることができる。」

という。黒見は、

「なんか色々スキルもあるから自分もやってみようかな?」

といった。黒見が

「神具創造」

と言いながら、右手を地面につけた。すると、黒見の前に防具のようなものができた。これにはミドノもびっくりである。こうして全員分の装備を揃えた黒見は、魔族の調査を本格的に考えだした。アルフィナが、

「魔族ってダンジョンに多いイメージを持つので、そういったところで異変がないか確認するのが良いかもしれないですね。」

といった。黒見一行はサンレシホエルンのダンジョンを探すため、サンレシホエルンの冒険者ギルドを訪れた。ミドノが

「このあたりで大きなダンジョンってどこにありますか?」

と尋ねると、職員の人は

「それなら黒竜の巣窟はどうでしょうか?規模もありますし、比較的歯ごたえのある仕事だと思いますよ。」

といった。黒見が

「その洞窟はどこにあるんだ?」

と尋ねると、職員は

「この都市には鉱山があります。その鉱山に行けばわかると思います。相当な規模なので。」

といった。黒見一行は黒竜の巣窟に向かうことにした。


第二幕

黒見一行は職員が言っていた鉱山についた。すると、山の中腹に大きな穴が空いていて、その周りだけ植物が生えていないことがわかった。黒見が

「多分あれだよな?」

というと、他の人もうなずいた。どうやらあれで間違いなさそうだ。黒見一行は洞窟に入っていった。洞窟の中は外よりも涼しく、とても暗い。だが、比較的天井高があり、動きやすかった。ミドノが、

「この洞窟の壁面は魔鉱石でできているのでしょうか?魔力が充満していますね、、、。」

といった。確かにこの洞窟の壁面はやけに尖っている。エリスが

「光魔法使えるので、明るくしますね。」

といい、

「シャイニングスペース」

と詠唱し、洞窟全体が明るくなった。洞窟の中は魔鉱石でいっぱいであった。だが、皆落ち込んだ様子だった。

「魔鉱石があっても、とれないからな、、、」

とアルフィナがつぶやく。黒見が、

「どういう意味だ?」

と尋ねると、エリスが

「そのままの意味です。固いんです。魔鉱石って。」

といった。黒見が、

「試しに、、、」

と、フルスイングの右ストレートをかますと、一部がポロっと落ちた。皆、とても驚いたような顔をしている。ミドノが、

「自分もやってみます。」

と言って、かかとを落としたが、まったくびくともしない。ローエンが

「ざっくりとってきましょー」

といった。黒見が、

「超級魔法 ラグナロックセレスティ」

と言った途端、黒色の衝撃波のようなものが四方八方に飛び散って、大量の魔鉱石を砕いた。結局、冒険者パーティー軍団に、魔石の回収とギルドへの運搬をやってもらい、黒見とミドノは先にダンジョンの中に行った。


第三幕

ダンジョンに入った途端、ダンジョンの入り口が閉まった。どう努力してもあかない。ミドノたちは先を急ぐことにした。黒見が、

「僕がさっき魔鉱石を壊したときに、タイムマニピュレイトっていう能力を手に入れたんだけど、どんなものか知ってる?」

とミドノに尋ねた。ミドノは、

「知らないです。聞いたことも、、、」

といった。そうこうしていると、奥の方から魔物の声がする。ざっと200〜300のゴブリンやゴブリンの上位種であるテールゴブリンがいた。ミドノが、

「片付けます。」

といったのと同時に、まわりに大きな火の玉が9000〜100000出てきて、ゴブリンを殲滅した。ミドノが

「これだけのゴブリンがいるなら、もっと強い魔物もいるはず、、、油断しないで行きますかね。」

といった。黒見様も気を引き締めてダンジョンを攻略していった。その頃パーティーの冒険者たちは、ダンジョンの扉が閉まっているのを見て、

「加勢のしようがねえ、、」

「中で何が起こってるのかもわからねえ、」

「皆さん無事でしょうか?」

「おなかすいた。」

と話していた。その頃ミドノは、洞窟内で空を飛んでいた。結界魔法の応用だそうだ。黒見が

「まるで鳥だな。」

といった。ミドノがそうやって探索しているうちに、ダンジョンの第二層に来た。ミドノが、

「この層には魔物はいなさそうですよ。」

といった時、ミドノは周囲を魔物に囲まれた。黒見が、

「仕方ないか。」

というと、右手を天高く突き出し、

「タイムマニピュレイト」

といった。その途端、洞窟の中から景色が変わり、真っ白な世界に飛ばされた。その世界には、砂時計がある。ミドノが

「これは、、、一体?」

というと、黒見は

「タイムマニピュレイトの能力で、砂時計の砂が落ちきるまでに僕を倒さないと敵が弱体化するんだって。」

と自慢げに言った。ミドノが、

「何秒くらいで落ちきるのですか?」

と尋ねると黒見は

「27.2秒だよ。自分で調節できるらしくて、長いと1日、短いと0.2秒だよ。重複もできるから、強い相手も随分弱体化できると思う。この世界の中で僕が倒されても、元の世界とは対応してないから死なないし、必要魔力量も24だし、結構強いね。」

と笑いながら言った。つまり、黒見を最短0.2秒で倒さなければならないということである。


第四幕

タイムマニピュレイトが始まって、10秒ほどが経過した。ミドノが、

「元の世界と対応してないなら、ここで魔法を使えばよいのでは無いのですか?」

と尋ねると、黒見は

「魔法の練習としては良いけど、実際相手にダメージが入っても、これが解けたら元通りだから、、、」

と言った。その後約10秒ほど経過し、タイムマニピュレイトが終わった。相手には、大量の弱体化バフがついて、ろくに動けない様子であった。ミドノが、

「あまり強そうな相手ではありませんし、最悪素通りでもいいと思いますが、」

と言った。黒見は

「いくら弱いと入っても魔物ではあるし、デバフだって無限に続くわけじゃない。デバフの中には毒とかもあるから、そのうち死んじゃうと思うけど、念には念を入れてトドメさしたほうが良いと思う。」

と言った。ミドノは

「じゃあ、行きますね、、、」

と言って

「超級魔法 海洋の怒り」

と詠唱した。魔物には大量の水の針が突き刺さっていた。そうこうしているうちに、ダンジョンの最深部にたどり着いた。黒見が

「ダンジョンが大きいから、探索系のダンジョンだったのかな?全くボスがいないな、、、」

と少し疑問に思いながらつぶやく。ミドノが

「それはないと思います。探索系にしては小さいので。」

と黒見の考えを否定した。ミドノは、ダンジョンの中での油断はマジで危険だということを知っていたのである。すると、洞窟の中に突如大きな扉が出現した。ミドノと黒見は同時に

「これ絶対ここボスいるじゃん!」

「これは、、ボスですかね。」

と言った。そして、黒見もミドノもこわばった表情で

「魔法戦闘に切り替えるか、、」

「バフを出来るだけかけておきます。」

と言った。異様なオーラである。相当なプレッシャーを感じる。


第五幕

黒見一行がボスのいるであろう部屋を、扉の隙間から覗くと、中には70体ほどの魔族がいた。黒見が、

「これは、まずいな、、、」

というと、ミドノは

「これが街に出てくると厄介どころの話ではなくなりますからね、、、」

と言った。黒見が、

「僕が相手をひきつけるから、ミドノはできるだけ多くの魔族を倒してくれ。」

と言った。それと同時に、黒見一行は魔族のいる部屋の中に駆け込んだ。黒見が魔族を引き付けると、ミドノは弓で魔族を15〜20体ほど倒した。ミドノが

「きりがないですが、どうするんですか?」

と焦りながら聞いてきた。黒見は

「まあまあ、待ちなさんな。」

というと、

「タイムマニピュレイト」

を発動した。ミドノが

「黒見様だけで、沢山の魔族を相手するつもりですか?」

と意味がわからないように言っているが、黒見はそのまま無視して氷系統魔神剣 レアスを取り出すと

「特殊能力発動 超級魔法 アブリュートゼロ」

と言った。黒見は、制限時間を30秒にした。タイムマニピュレイトは、展開時間が長いほど、相手への効果が高いのである。魔族はアブリュートゼロの影響で動けないようだった。そして、アブリュートゼロなどの相手が動けなくなる魔法を連発し、黒見は30秒間乗り切った。タイムマニピュレイトが解けると、魔族は体がしびれているようだった。ミドノが、

「これはどういうことですか?麻痺なんて使えるのですか?」

と尋ねると、黒見は

「簡単に説明すると、タイムマニピュレイトを展開している時間で、相手につけられる バフが変わるの。そして、そのバフは自分の意志で変えられる。魔族は毒に強いイメージがあるから、麻痺にしてみたってこと。」

と言った。魔族の一人が

「貴様何をした!?」

と言った。黒見は

「タイムマニピュレイトだよ。」

と言った。魔族は訳がわからないようだった。ミドノが、

「トドメってさしますか?」

と尋ねると、黒見は

「色々魔法を試したいから、僕がやるよ。」

と言った。黒見は、色々な魔法を発動しだした。

「超級魔法 プァラレシス、超級魔法 パルサーマグネティスモ、超級魔法 エワポーラーティオ、超級魔法 カロルイムプルスス」

その瞬間、瞬く光と主に、強力な磁力と強い衝撃波が起こった。そして、光がなくなったときには、魔族は完全に蒸発していた。ダンジョンの中にいた魔族を殲滅した黒見にミドノは尋ねた。

「先程連発していた魔法は何だったのですか?」

黒見は、丁寧に説明した。

「超級魔法 プァラレシスは、相手の神経に直接魔力を流して、相手を麻痺させる魔法、超級魔法 パルサーマグネティスモはとても強い磁力で相手の体を引き裂いて粉々にする魔法、超級魔法 エワポーラーティオは相手の体内にある液状のもの、血液とかそういうものを蒸発させる能力、超級魔法 カロルイムプルススは熱気を帯びた魔力弾を高速で大量に発射することで、衝撃波になってるってこと。わかった?」

と言った。ミドノは

「まあ、わかったということにしておきましょう。」

と言った。そうこう言っていると、ダンジョンの出口らしき場所にたどり着いた。ミドノが

「ダンジョンコンプリーーート」

と言った。出口には冒険者パーティーの人たちがいた。その人達は黒見に

「お前と一緒に冒険したいから、パーティーを組まないか?」

と提案した。黒見は快諾し、

「パーティー名はアリウスベルでどうかな?」

と提案した。彼らもそれでいいと言ってくれたので、ローエン・アンペルト、ファルクス・ロンテール、エリス・ウィークス、アルフィナ・インプスと、黒見、ミドノは、黒見様専属冒険者パーティー

「アリウスベル」

として一緒に冒険することにした。


第十章 集落と薄命と黒見様と


第一幕

仲間が増えてから、ファルクスの寒いギャグを除いてそこまでの大きな問題もなく、宿を取ることに成功したパーティー一行は夕食の準備に取り掛かった。黒見、ミドノ以外が食材調達、黒見、ミドノが料理をすることとなった。ミドノもそれなりに料理ができるらしい。黒見が料理を始めた。

〜黒見様の簡単に作れるスピラフィシュの穀菜煮込みの作り方〜

1まず、結構たくさんの穀物たちと、野菜たちを切ります。(大きさはそこまで関係ありませんし、見た目を気にしないなら最悪包丁で叩くように切っていただいて構いません。)

2次に、スピラフィッシュを用意します。

3スピラフィッシュをさばく

 1鱗、ヒレを取る

 2頭を落とす

 3内臓を取る

 4背骨に沿うように背中側から包丁を入れる

 ※完全に切れたら2つにスピラフィッシュが分かれるはず!

 5二つに別れたどちらかには背骨がついているはずだから、それを取る。

 6完成

4スピラフィッシュを適度な大きさに切る。

5スピラフィッシュを皮を下にして軽く焼く。(皮がパリッとするまで)

6鍋に具材を入れてしばらく煮込む。

7塩、胡椒、を混ぜて、しばらく煮込む。(野菜が柔らかくなってくるまで。)

8、完成。

黒見がスピラフィシュの穀菜煮込みを作っている姿を見て、仲間(ミドノを除く)はとても複雑な表情だった。

黒見が、

「できましたよー」

とみんなを呼んだ。皆、無言でスピラフィシュの穀菜煮込みを食べ続ける。アルフィナが

「どこかの誰かが作ったのと比較できないくらい美味しいな。」

と笑いながら言う。一部を除いて共感している様子だった。


第二幕

その夜、パーティー内でどうやって今後調査を進めるかを決める会議が行われた。ミドノが

「魔族の被害があった場所に行ってみるのもありかな?と、」

と言う。確かに、犯人は現場に戻ってくるとか聞いたことがある。黒見一行は、魔族の被害が多い小さな集落に向かった。その集落は、都市の少しはずれにあるため、すぐについた。アルフィナが、

「ここが、魔族の被害があった集落、、、。」

という。エリスが

「ひどい、、、これは、、」

その集落は、建物がほとんど破壊され、住民もほとんど死んでしまっているようであった。黒見が地面に落ちていたものを見て、

「これは?何だろう?」

といった。それは、小さな球体で、黒く透き通っていた。ミドノが

「わずかですが、魔力を感じますね、、」

という。ローエンが

「何でここにこんなものが、、、」

という。黒見がローエンに

「知っているのか?これが何か。」

と尋ねると、ローエンは

「前に行ったダンジョンで見たことがあります。魔族が依り代としているものです。」

といった。その途端、その球体が光りだし、中から魔族が出てきた。黒見が、素早く依り代を破壊したため、その魔族は消えたが、危ないところであった。その夜、アルフィナとエリスが二人で話していた。アルフィナが、

「エリス、好きな人でもいるのか?最近ぼんやりすることが多いが。」

といった。エリスは

「そ、そんなことない!」

と、焦ったように言っていた。アルフィナが

「じゃあ、あててあげる。君が好きなのはミドノ様でしょう?」

といった。図星だったようだ。エリスはとても照れたようにアルフィナを見ていた。エリスが

「そうよ、、別に何も悪くないでしょ!」

と言っている。アルフィナが

「ミドノ様に伝えちゃおうかな?」

とからかっている。エリスは焦っている。相当焦っている。


第三幕

その日から、エリスはミドノを見つめてボーっとしていたり、上の空だったりすることが以前より多くなった。黒見も、ミドノもそのことには気づいていたが特に気にする様子はなかった。それから、数日が経った。壊滅的だった集落は、がれきなどもずいぶん片付いて被害の全貌が見えてきた。集落の人は皆殺しにされ、集落にあった資源もほとんど無くなっていた。ミドノが

「魔族の被害は思ったよりひどい。そのため、今から黒見、ミドノ、後誰かとその他三人の二手に分かれて、調査を行おうと思う。チーム黒見様は集落外の、チームその他は集落の警戒に当たってほしい。連絡は黒見様のテレパシーで何とかする。という事で、チーム黒見様の3人目を募集したいんだけど、、、」

というと、アルフィナが

「チーム黒見様は全体的に戦闘が強い感じだから、探索系に強いエリスはどうだ?エリスはテイマーだから、魔物の使役ができると思うが?」

といった。黒見は

「エリスはそれでいいのか?」

と尋ねた。エリスは

「勿論!」

と即答した。チーム黒見が集落を出てからは、両チーム色々なことがあった一日目に、チーム黒見様は魔族の集団を発見し、壊滅。ダンジョンを3つ制圧した。チーム冒険者は集落の書物を発見し、この集落が三十年前くらいにできたこと、この村では色々な鉱石が取れることを知りました。二日目の早朝、村に7体の魔族が現れた。シンパシーで黒見が察知し、村に急いで戻ると、アルフィナ達が応戦していた。黒見が

「あー、これはひどい。」

と言いながら、魔族のうち一体を肘打ちと膝蹴りで倒して、

「アルフィナ?どういう状況?」

と聞くと、アルフィナは

「魔族が集落を襲ってきて、、?」

と答えたが、その時には魔族はいなかった。黒見が

「噛み応えもないな、、、ww」

と言った。その目に光は無かった。シンパシーを察知する少し前、エリスは

「ミドノ様、、、実は、、」

と照れくさそうに言った。ミドノが

「知ってる。僕のこと好きでしょ?」

といった。ミドノはもう感づいていたのである。エリスの顔が赤くなる。ちょうどその時にシンパシーが来たのである。皆様お気づきだろうがエリスはミドノの返事を聞けていないのである。ミドノは集落に向かう途中で、エリスに

「      ────」

と返してみた。そして、自分のつけていたネックレスをエリスにあげた。

エリスはとても嬉しそうにしている。

「このクエストが終わったら─────」


第四幕

魔族を殲滅した後、ミドノが皆を集めた。ミドノが

「集落への魔族の襲来の回数が尋常じゃない。だから、村の警備にあてる人数を増やそうと思うのだが、どうだろう?」

と皆に尋ねた。皆異論はないようだった。ミドノが

「村の警備に僕が参加しようと思ってるんだけど、、、」

というと、エリスは

「私が皆と集落を警備します。その方が連携も取れると思いますし、、、」

といった。ミドノが

「皆もそれでいいか?」

と尋ねる。誰も反論しない。翌日の早朝、黒見一行は集落の警備を皆に任せ、魔族の情報を集めるため旅だった。その数日後のことだった。ミドノが

「何でしょうか?魔族がたくさんいます。」

といった。ざっと200はいる。黒見が、

「真ん中にいるやつ相当強くない?」

といった。ミドノが、

「まわりを片付けます。」

というと、

「超級魔法 大地の呻き、海洋の怒り」

と唱えた。まわりにいた魔族は随分減ったが、それでも数がいる。黒見が

「超級魔法 轟炎の雷帝」

と詠唱すると、大量の雷とともに魔族は中央にいたものを除き消え去った。中央にいたものが

「君、つよいねえ?」

といった。ミドノが、

「君は相当強いみたいだけど?」

と尋ねると、魔族は何か言おうとした。その瞬間黒見が魔神剣総系統魔神剣 トルフィンドを取り出し

「天変地異」

と叫んだ。その途端、その魔族の体が内側から裂けて、外にめくれた。魔族は完全に消滅した。ミドノが

「あの魔族は魔幹と言って、魔族の中で、魔神、魔王、魔族四天王の次に強いそうです。北部の襲撃もこいつの仕業でしょうね。」

といった。調査は大概終了した。


第五幕

その晩、ミドノたちはエリスの提案で調査お疲れ様会を開くことになった。黒見がミドノに

「質問良い?」

といった。ミドノは少し忙しそうだったが元気よく

「勿論です。黒見様!」

といった。黒見が

「あの、野菜たちは?」

と尋ねると、チーム冒険者は目をそらした。黒見がいない間に食べ尽くしてしまったのである。アルフィナは野菜を無限に食べる、自称草食系男子なのだ。おそらく草食系男子の意味は違うが、無限ぴーまんをマジで無限に食べるタイプの人間である。黒見が

「買ってくるか、、、」

と言った直後、ミドノが

「私も行きますか?」

といった。ミドノは黒見のATMである。黒見一行がちょうどサンレシホエルンの市場についたころ、チーム冒険者は魔族に襲われていた。その魔族は

「私は四天王の3、、、、あなたたちは死ぬべきじゃないのかもしれないけど。そういう任務だから、、、、」

といった。黒見たちが買い物を終え、チーム冒険者に合流したその時であった。大きな悲鳴が聞こえる。ミドノたちは急いで悲鳴の方へ向かった。草むらを抜けると少し開けた場所に出た。と、大量の血しぶきのついた木がある。そこには誰かもわからなくなった切り刻まれた死体が4つあった。そのうちの一つにはミドノがエリスにあげたネックレスがついている。そして、その死体の下に本が落ちている。魔族特有のオーラをまとったその本には「暗殺対象リスト」と書かれていた。その本に

「暗殺対象リスト 

 ミドノ・インペラ―ヴェ 黒見トキト」

と書かれている。黒見たちは自分たちが狙われていることを初めて知った。そして、その本を見ていっても、殺された4人の名前がないのである。黒見たちは悟った。ミドノが

「つまり、この魔族は僕たちが目的だった。でも、他の人たちしかいなかったから、4人が殺された?、、、、、、」

とても澄んだ夜空だった。風が吹き抜け、鳥が囀っていた。


第十一章 追惜と戦争と黒見様と


第一幕

「とりあえず、、、埋葬はしてあげよう?」

ミドノがそう呟く。黒見が

「そうだね。野ざらしは可愛そうだし。」

と言って、黒竜の巣窟でとった魔鉱石を加工し、棺を作って、4人を丁寧に埋葬した。アルフィナには黒見の上着を、エリスにはミドノがあげたネックレスとミドノの指輪を、ローエンには黒見のマントを、ファルクスにはミドノの上着と鉄剣を一緒に埋葬した。ミドノが

「黒見様は仲間が死んだりするのは初めてでしょう?よく平静を保てますね」

と尋ねた。確かに黒見は仲間が死んだのは初めてだったし、とても悲しく、頭の中では激しい感情が渦巻いていたのに、驚くほどに冷静だった。黒見が口を開いた。

「もう、、、いい、悲しむのは、、、」

黒見が更に続ける。

「僕は、この世界で初めて明確な敵ができた。魔族、それも強い魔族。僕の仲間を殺した、、、魔族。」

黒見の目には光がなかった。ひどく絶望しているようだった。ふと黒見が

「エヴェこそエリスのことを好いていたのに、よく平静を保てるな、」

と言った。それから数時間が経っただろうか、朝日が登ってきた。ミドノが

「帰りましょう、、、テールノンに。」

と言った。黒見は小さく頷きあるき始めた。いつもよりも足取りは重く感じられる。何時間か歩いたが、まだ森を抜けない。ミドノが

「とりあえず、サンレシホエルンに一度戻りますか?」

と言った。黒見は

「そうするか、、、」

といい、サンレシホエルンに向かった。サンレシホエルンについたのはその数時間後のことだった。


第二幕

黒見たちはサンレシホエルンの宿で夜を過ごすこととした。どれだけ悲しみに明け暮れても、お腹はすくらしい。夜ご飯は外で食べることにした。悲しくなると味を感じないというような話を聞いたことがあったので黒見一行は街で一番辛い料理を提供する店を訪ねた。黒見が

「この店で一番辛い料理2つください。」

と言った。でてきたのは真っ赤なスープであった。黒見が一口食べると、猛烈な辛さと痺れが襲った。ミドノがその後に続くように食べたが、あまりの辛さに悶絶していた。その後色々あったが、そのスープを食べ終えた。宿に戻った黒見、ミドノはその夜色々なことを思った。

ミドノは自らを責めた。

「自分がいればあんな事にはならなかったのに。みんなの警護に当たるべきところだった。自分がすべきことを自覚せずに己の欲求を優先してしまった。実際あんな犠牲は本来でなかったはずだ。」

そして決意した。

「魔族の殲滅。それが僕の最優先事項だ。」

黒見も自分を責めた。

「自分ができたこともあった。今回の犠牲は死ぬべくして死んだ状況じゃなかった。今回の犠牲はいらなかったはずなのに、、、。」

そして一つ思った。

「この愚かな自分の罪償いのためにも、4人を殺した魔族は絶対に倒して見せる。そして、今後こういった犠牲を払うことはならない。」

黒見は本気で強くなることを決めた。犠牲を出さないために。夜は更け、星明りだけが街を照らす。ミドノは宿を出て、町の図書館に向かった。ミドノは本を読んでいるときが一番落ち着く。必死で平常心を取り戻そうとしたのだった。黒見は街の外れの小さな丘にいた。空を見上げて、

「強さ、、、か。」

と呟く。暫くたつと朝日が昇った。薄暗い夜は終りを迎え、新しい日が始まる。気は晴れないがテールノンに戻ることにした。


第三幕

テールノンに戻った黒見一行は街の冒険者ギルドに行き、調査の結果や途中であったことについて事細かに説明した。そのことで、魔族を撃退したということで、ギルドから表彰された。沢山の報酬をもらったため、4人の仲間たちのお墓を作ることにした。材料も結構こだわっていたし、装飾も凝ったものにした。それでもまだ、死んでしまったことを認めたくない気持ちはあるものだ。黒見たちは暫く休暇をもらうこととなった。その間、黒見は魔法の修行に、ミドノは回復魔術の強化に勤しんだ。休暇が明ける数日前、バルバドス帝国北部に隣接する中央国家アイリスペルダムとその隣国のドラームンド帝国との間で戦争が起こった。バルバドス帝国では兵士、冒険者、食べ物などの資源を中央国家アイリスペルダムに提供しようと考えていた。黒見たちにも召集がかかった。黒見一行は、その書類が来た瞬間、即座に中央国家アイリスペルダムに向かった。冒険者ギルドには黒見がシンパシーでこのことを伝え、了承された。黒見の能力で、一度サンレシホエルンに向かいそこから戦地に向かうことにした。転送魔法は魔力の消費が激しいため、あまり使いたくはなかったが、中央国家までは結構な距離があるため、途中までは魔法の力に頼ることにした。中央国家アイリスペルダムまで5時間程度でつくことができた。黒見たちは、国都である、中央都市アイリスに向かった。アイリスはベルルーグよりもずっと発展していて、たくさんの店もある。黒見一行は、この都市の冒険者ギルドへ向かった。中に入ると職員の人達が、声をかけてきた。

「あなた達は何者ですか?どこの国の人ですか?」

と尋ねてきた。戦争中ということもあって相当ピリピリしている様子だった。黒見が

「僕は黒見トキトです。こっちがミドノです。バルバドス帝国の人間です。」

と言った。職員の人はホッとしたように、

「そうでしたか、こちらへ。」

と来賓室に案内した。職員の人はいま、この国がどういう状況になっているのか説明してくれた。

「この国は現在、ドラームンド帝国と戦争をしています。我軍は1万2000人、敵国は2万3000人です。国内戦力自体はこちらのほうが上ですが、戦争に動員できる人員が少なく、こうして隣国に呼びかけていたのです。」

黒見が

「早速戦場に言ったほうが良さそうだな。」

と言った。ミドノが

「そうですね。この国とバルバドス帝国の貿易は結構大きいですね。」

と言った。職員の人に戦場となっている地域の場所を聞き、その場所に向かった。


第四幕

戦場につくと、黒見は

「あの集落みたいだな」

と呟いた。ミドノも小さくうなずく。すると、戦場に誰かがいる。その人に近づくと、

「何人?敵?味方?」

と聞かれたので

「バルバドス帝国です」

と黒見が答えた。その人は少し安心したように、

「私はエルシー・エルフィンドール、魔法戦闘特化の冒険者だよ。中央国家側の人間。他に私の仲間で一緒に行動している人が2人ほどいるんだけど。」

と言った。すると、奥の方から人影が迫ってくる。黒見が警戒していると、エルシーは

「あれは仲間、さっき言った2人、」

と言った。その人達はエルシーが他の人と一緒にいることに驚いていたが、事情を説明すると納得してくれた。その人達は自己紹介をしてくれた。

「トート・ウェーズ。魔法戦闘特化です。」

「アルエム・エルベラ。物理戦闘特化です。」

黒見は

「〇〇戦闘特化って何だ?」

と聞いた。ミドノは

「魔力にはいくつかのパターンがあって、大まかに分かれているんです。上から裏、表その下に陰、陽、その下に輝、闇と別れていて、人間は主に裏陰が多く、魔族は裏陽が多いです。明るければ明るいほど魔力が強いと思えばいいですね。で、輝は物理戦闘に、闇は魔法戦闘に特化しているんです。この2つはどっちが強いとかはありません。ちなみに僕は表陰闇です。」

と答えた。黒見が

「僕はどうなんだ?」

と聞くと、ミドノは

「手の甲に魔力を流すようにすると見えるはずですよ?」

と言った。黒見がやってみると、徐々に手の甲に魔法陣のようなものが浮かんできた。ミドノはそれを見てびっくりしている。黒見が

「魔法陣でわかるのか?」

と尋ねると、ミドノが

「上半分の模様は、魔法陣の模様が白抜きなら裏、黒線なら表。下半分の模様は、太陽のようなら陽、月のようなら陰、中央の紋章が、丸で出来ていれば輝、四角で出来ていれば闇、なのですが、、、、」

と答えた。黒見の模様は上半分は黒線で、下半分は太陽、中央の紋章は四角と丸の両方で構成されていた。ミドノが

「なにこれ?」

と言っている。戦場にいた人たちも頭にハテナが出来ている。だが、トートだけピンときたようだった。黒見が

「知っているのか?この正体を。」

とトートに尋ねると、トートは

「昔、この世界の歴史上最強と言われた冒険者の手首の紋章が、表陽輝闇だったという話を聞いたことがあります。もしかするとそれじゃ?」

と言った。ミドノも、戦場にいた人たちも、黒見自身も相当驚いていた。黒見が

「戦場って固まってたほうが良いのか?」

と聞くとエルシーは

「まあ、それと言った違いもないけど、相手は物理攻撃の人が多いから、固まったほうが良いかもね。」

と言った。黒見が

「じゃあ、一緒に行動させてもらっても、、、?」

と聞くと戦場にいた人たちは

 エルシー「ウェルカムだよー。」

 トート 「良き、まじ良き。」

 アルエム「大歓迎ぞ。」

と言ってくれた。黒見はそれらを聞き分けて、

「有難う、エルシー、ウェルカム感謝。トート、良きってなんだ?アルエム、大歓迎有難うね!」

と返した。リアル聖徳太子である。


第十二章 新顔と冒険と黒見様と


第一幕

エルシーは戦場のことについて事細かに説明してくれた。

「まず、この戦場となっているのは中央国家アイリスペルダム東部のツォールドス平原で、この地域は平地でとても見通しが良いけど、所々に深い谷や大きな穴があるの。この地域が他の地域よりも地盤がゆるくて、土の重さとかに耐えられなくなってできたとか聞いたことがある。」

黒見は尋ねた。

「中央国軍の本拠地的なものはどこですか?」

エルシーは

「中央国東部のリベリオンって都市がそうだったんだけど、随分な被害で、、、」

と言った。黒見も

「そうか、、、」

というしかなかった。ミドノが話題を変えようと

「君たちのことはなんて呼んだら良い?」

と聞くとアルエムが

「僕達は冒険者パーティー「ルトーム」って言うから、それで読んでくれたら良いと思うよ。」

と言った。黒見一行は中央軍本拠地のリベリオンへ向かった。リベリオンへの道中、黒見とトートは情報交換をしていた。その中で、トートが

「そういえば、そちらの国で、世界トップクラスの冒険者パーティーがなくなったという話を聞きましたが、、、?」

と言った。おそらく、ローエン・アンペルト、ファルクス・ロンテール、エリス・ウィークス、アルフィナ・インプスの冒険者パーティであろう。黒見が俯きながら

「ああ、北部地方で魔族に襲われたとか、、、」

と言った。トートは

「せいぜい成仏してほしいですね。」

と言った。ミドノたちは、黒見たちと行動しながら、資源になりそうなものを収集していた。ミドノが

「これは食べられますか?」

と聞くとエルシーは

「食べられるし、回復薬にもなるよ。」

と言っていた。ミドノの目線の先にはこれと同じ植物がたくさんある。ミドノは無我夢中で薬草を集め、ざっと2kg位を持ち帰ってきた。アルエムもドン引きしていた。

第二幕

リベリオンに到着した黒見一行は、街の惨状を目の当たりにした。

「ひどいな、、完全に破壊されている、、。」

とミドノが呟く。エルシーは

「もともとこの街は交通の要所として栄えていて、時計台や協会があったのですが、、、」

と言っているものの、砲撃の影響でそんなに栄えていたようには見えない。ミドノが

「戦争中という事は、ここにえらい人たちがいるのですか?」

と尋ねると、エルシーは

「私たちは半分見捨てられてるというか、時間稼ぎ的なんだよね、、、。」

といった。黒見は無駄な犠牲を出したくない。黒見が

「敵地に突撃したらダメなのか?」

と尋ねると、他の人たちは必死で止めようとする。

「自殺行為、マジ自殺行為。」

「やめろやめろ。ホントに。」

「死ぬよ。マジで。」

「行っちゃいましょー!ミドノは応援しますよ。」

黒見が

「一緒に敵地行くよーって人?手ーあげて!」

というと、ミドノが勢い良く手を上げる。他の人たちも

「ミドノ様が行くなら、、、」

「し、心配してるんじゃないんだから。好奇心よ、好奇心!」

「まあ、どうせ死ぬだろうしww」

と黒見についてきてくれることとなった。その晩、黒見一行は敵の前線基地であるドラームンド帝国のエリテウムに向かった。


第三幕

黒見一行は2日ほどでエリテウムの近くに到着した。トートが

「なぜ突撃しないのですか?」

と聞く。エルシーが

「ビビった?ビビった?」

と足がガクガクになりながら言っている。ミドノが

「黒見様がビビるなどあり得ません。」

と反論する。黒見は

「とりあえず一旦落ち着いて。ここが敵地である以上、気づかれないに越したことはない。だから、潜入は夜に行う。それまではどこかにでも隠れておけば良い。」

と冷静であった。昼の間は森の中で資源を集めた。そして夜がやってきた。ミドノが

「黒見様、突撃の狼煙を。」

といった。道中で結構な人数にあって、突撃する人たちが100人くらいになっていた。黒見が

「狼煙は大結界発動と同時に起こす雷系統魔神剣バルエスの特殊能力、(フラッシュルークス)でいいんだよね?」

といった。ミドノが

「やっちゃってください!」

といった。黒見がバルエスを引き抜き、

「大結界 {コントラクトヒプノティズム}、 特殊能力発動 フラッシュルークス」

と叫んだ。その瞬間、地が裂け稲妻が地を這った。閃光が明け、まわりが見えるようになった直後、一斉に中央国の冒険者一同が突撃した。町の城壁は魔法で崩され、人々も、戦争関係者は抹殺した。住民は一応避難させて、被害を抑える努力をした。それでも、都市は壊滅した。ミドノも黒見も

「なんか、もうちょっとできたよなー。」

といった。その後、中央国の軍隊(本物)がエテリウムに着いて唖然としたのは言うまでもない。

第四幕

黒見一行は、中央国家アイリスペルダムの国都にいた。理由は、戦争の時の献身的な活動とのことだった。黒見が

「初めて表彰されるのが国外、、、。複雑。」

とつぶやく。ミドノも

「まあ、、、そういうときもあるでしょう。」

と慰めてくれた。中央国家の王様はどんな人だろうかと思いながら国城に向かった。ミドノが

「ちょーーーーーーーーーーーーーーーーでかいじゃないですか黒見様!やばいですよ!このでかさ!やばい!黒見様!」

と情緒不安定になっているのをよそに、トートとアルエムは雑談をしている。

「お城が大きいってことは相当儲かってるのかな?」

「まあ、それもあるけど、一番は王への信頼が厚いって所じゃない?ファンクラブみたいなのもあるし。」

「そうだね。特殊だよね。」

エルシーは黒見に話しかける努力をしている。

「今日は王様に会うんですよね?緊張とかしないんですか?」

手が震えているのは黒見でもわかった。黒見が心配そうにエルシーの手を見ながら

「大丈夫か?相当緊張してるだろww」

と言っている。エルシーもこのままだとまずいことを察知し、掌に人って書いて飲み込みまくっていた黒見は緊張で軟体動物(二代目)だし、ミドノも一生懸命本を読んで気を紛らわそうとしているが、本の向きが逆になっている。国城について王様のいる場所にたどり着いた。大きな門が軋むような音をたてて開く。扉が開きながらも、向こうの部屋から明るい光が差し込む。国に表彰される日が来たのである。

おまけ 彼女と幻覚と黒見様と

「ちょっと待って下さい!」

そういうミドノの声でエルシーは目を覚ました。ミドノが

「エルシーは僕のものです!絶対渡しません!」

という。アルエムとトートが

「いや、私のものだ!」

「私だ!」

と言っている。黒見は

「正直どうでもいいけど、エルシー起きちゃうよ?」

と言った。エルシーは寝ているふりをしながらしばらく話を聞いてみることにした。話の内容から推測できる今の状況は、ミドノ、アルエム、トートがエルシーのことを勝手に彼女だと思っている。黒見は、ミドノがエルシーと付き合っていると勘違いしている。ということである。エルシーは起きたような演技をして、

「騒がしいよ!」

と注意した。ミドノが

「エルシーは誰のことが好き?」

と聞いてきた。エルシーは

「まあ、、、、誰かといえば、、、、、ミドノ様かな?」

と言った。黒見が魔法を解除すると、そこには誰もいなかった。黒見が

「幻覚魔法ってすごいね、、、。」

と言った。その後黒見はエルシーにメッチャ叩かれた。

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