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10/11

西園寺 茜①

その夜。

神谷はベッドに寝転び、スマホを見つめていた。


小鳥遊さんはあの後、「ちょっとだけ元気になっちゃった」と、笑ってくれた。

そしてその後、いっしょに掃除をし、「先生も掃除してくれるんですか?」と浮葉を戸惑わせてしまった。


浮葉には悪いことをしたかな?

明日、謝っておこう。

確か……浮葉の好きな物は、苺チョコレートだったっけ?

よし、今度コンビニで買っていこう。


そんなことを神谷は内心で呟く。


それにしても。


"「はい、ぴぃーす」"


立木さんのあの水着姿が頭から離れない、神谷。


正直、精神的にきつい。

勿論、いい意味で。


あぁ、くそ。

こ、ここは、気分転換でもしないと。


頭にチラつく、立木の水着姿。

それを振り払うように、神谷はスマホの画面をスクロースしていく。

画面は、ニュース記事。


その中で、神谷は複数の記事に目がとまる。


【人気絶頂の西園寺 茜。事務所から独立。今後はソロ活動に専念か?】


【チラつく男の影? 独立はその影響?】


【もうわたしも27。独り立ちだよ独り立ち。本人談】


西園寺 茜。

神谷も知ってる、某グループのセンターを張っていた看板アイドル。

しかし近頃は、西園寺 茜はなにかと世間を騒がしている。


「へぇ。もう27歳なんだな」


何気なく呟く、神谷。


しかしそこでーー


"「わたしね、今から10年後。すっごいアイドルになるんだ。ねぇ、僕くん。もしわたしがアイドルになったら、応援してくれる?」"


"「うん!!」"


"「それでもし。結婚相手に困ったら……結婚。してほしいな」"


"「うんっ、する!!」"


"「ふふふ。約束だよ?」"


"「やくそく」"


人の行き交う、ストリート。

そこで一人で歌をうたっていた、お姉さん。

誰にも見向きもされず。相手にもされていなかった。


朧げな記憶。

それが神谷の頭に浮かぶ。


お姉さんの前で三角座りをして、拍手をして。


二人で笑顔で指切りをしてーー。


ははは。

まさかな。


笑い飛ばし、神谷は違う記事をタップする。


ありえない。

西園寺 茜があの時のお姉さんだなんて……絶対。ありえない、よな?


〜〜〜


あのファーストフード店で見た光景。

大量のハンバーガー。

それを前にあたふたしていた、あの人。


「まさか、ね。いや、でも」


とあるマンションの一室。

そこで、西園寺 茜は一人思い出していた。


「ビビッときたんだよね。うん、よし。明日、もう一回あの店にいってみよう」


そう内心で呟き、茜は小さく自分に言い聞かせるかのように頷くのであった。


〜〜〜

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