司祭も王族も皇族も
魔獣たちが補助に入っているので、寄宿舎生と辺境伯領出身者たちのオムライスもふっくらと仕上がった。
踊ることに意味があるのか?と突っ込みたくなるところだが精霊たちが大喜びするし、月白さんと従者ワイルドが満足そうに頷いているからこれでいいのだろう。
どのオムライスを食べ比べても、ふわとろの仕上がりで文句なく美味しかった。
ハルトおじさんと第三皇子はすべてのオムライスを食べ比べて、首を傾げた。
「どのオムライスも文句なく美味しいが、カイルたちのオムライスは喉越しよく、口の中から消えた後も旨味が残り、幸福感が湧き上がる」
ハルトおじさんの独特な感想に第三皇子は頷いた。
「そうなんだ。味の違いはそこまで感じないのだが、心まで満たされる感覚になる」
「精霊たちの祝福が多いからでしょうかね」
第五皇子がぼくたちを見てそう言うと、ハルトおじさんと第三皇子は顔を見合わせた。
「祝詞を唱える人物が踊る方が精霊たちからの祝福が多いのかもしれない。スライムたちを貸してくれないかい?」
第三皇子はスライムたちから踊りを教わり、次は自分が踊る、と言い出した。
「闇の神役は殿下がなさりますか、では、私は光の神役を……」
ハルトおじさんは言いかけた途中で強烈な視線を感じて振り返ると、第三皇子夫人が配役に不満があることを目で訴えていた。
「闇の神をラインハルト殿下がなさって、光の神の役を私がするのはどうでしょう?」
第三皇子が提案すると第三皇子夫人の視線が和らいだ。
次期皇太子を目指さない第三皇子は、聖典の始めの章である闇の神役をやらない方がいいということだろうか?
“……ご主人様。第三皇子夫人はアドニスを迎え入れるにあたって、この機会に第三皇子が乙女心を理解するために女神のご加護を賜りたいと考えたようです”
ともすればすぐ無神経な言動をする第三皇子に、思春期の入り口に差し掛かっている娘を受け入れるために女神のご加護を授かってほしい、という意図が第三皇子夫人にあったようだ。
第三皇子夫人の圧から開放されたハルトおじさんが、それがいい、と口を動かした瞬間、みぃちゃんとみゃぁちゃんが右前足で挙手をした。
「ああ、ごめんごめん。ガンガイル王国の舞姫たちの存在を忘れていた。光と闇の神の役はみぃちゃんとみゃぁちゃんに任せよう」
踊りの名手の存在を忘れていた、とハルトおじさんが言うと皇子たちは顎を引いて二匹の猫を見た。
「可愛らしい容姿から想像もつかないかもしれないが、この二匹はガンガイル王国でも珍しい新種の山猫の遺児だったのですよ。その魔力量もさることながら芸達者で洗礼式の踊りを完璧に踊れるうえ、カイルたちに付き添って聖典も読み込んでいるはずです」
ハルトおじさんの説明に二匹は真顔で頷き、光と闇の神の踊りを踊り始めた。
ミーアが気まずそうに自分の猫を見ると、踊りたくない、とミーアの猫は首を横に振っていた。
できの悪い弟じゃないのよ、とミーアが自分の猫を抱きしめると、自分はシャイだからそんなことはできない、とミーアの猫はミーアの胸に顔を埋めた。
普通の猫として生きる選択肢もあっていいんだよ、とみぃちゃんとみゃぁちゃんがミーアの猫にニャーミャーと語りかけた。
第三皇子夫人はみぃちゃんとみゃぁちゃんを優しい目で見て頷いている。
「聖猫に光と闇の神を担当してもらい、使役者が補佐につくのですね。でしたら私は火の神で……、いや、土の神の役でお願いします」
第三皇子は妻の表情を気にして土の神の役を選んだ。
ぼくとケインはみぃちゃんとみゃぁちゃんの使役者ということで闇の神と光の神、ハルトおじさんが火の神、第三皇子の護衛が空の神、ジェイ叔父さんが風の神、教会関係者から大司祭が立候補して水の神、眷属神の役を司祭たちが担当する事に決まった。
料理未経験者が多すぎる。
「味がわかっているのだから、美味しくなるように神々に祈ります!」
大司祭が神頼みの発言をすると、料理未経験者たちも頷いた。
ぼくとケインは顔を見合わせて小さくため息をついた。
王族だろうが皇族だろうが大司祭だろうがお構いなく、寮生のスライムたちはそれぞれの役の神の基本姿勢をビシビシと叩きこんでいる間、参加者たちの思考を読み取らずにぼくとケインの精霊言語だけ受け取れるように、参加者たちの体から滲み出る魔力の質を確認した。
スライムたちを肩に乗せた参加者一同が、できる、と頷いたので、ぼくたちは位置についた。
チキンライスの大皿の前にみぃちゃんとみゃぁちゃんが並ぶと二本足で立ち上がり、優雅に一礼した。
それが開始の合図となり、野太い大人の男性の声で一斉に祝詞を唱え始めると、子どもたちの時とは違う荘厳な雰囲気になった。
前足の先からしっぽの先まで凛とした仕草で踊り始めたみぃちゃんとみゃぁちゃんの後ろで、ぼくとケインは参加者たちにオムレツの作り方の映像を精霊言語で送り付けた。
参加者全員の脳裏にオムレツ完成までの手順が統一されたためなのか、みぃちゃんとみゃぁちゃんの踊りのせいなのか、出現した精霊たちが最初からクルクルと踊り始めた。
ガタガタと揺れるフライパンの音と、祝詞の進み具合からオムレツが宙を舞うタイミングになったと確認すると、ぼくたちの背後で眷属神役の司祭たちが回りながら踊りだした。
ぼくとケインも闇と光の神の踊りを始めると、精霊たちの光は強くなり周囲が見えなくなった。
祝詞と舞が終わって、精霊たちの光が終息すると、オムレツがゆっくりと着地して拍手が沸き上がった。
「今までで一番素晴らしい輝きでした!」
第二皇子が拍手をしながらぼくたちを称えたが、光を放ったのは精霊たちだ。
「踊りの出来ではなく、集団で使用した魔力量かもしれませんね」
ハルトおじさんたちの踊りはお世辞にも上手だったとは言えなかったようで、第五皇子が精霊たちの光量の違いを魔力量だと言い切った。
みぃちゃんとみゃぁちゃんが、下手くそだったというのか!と第五皇子を睨みつけると、猫たちは上手だった、と第五皇子は言い直した。
ふわとろに仕上がったオムレツにナイフを入れた教皇は、これは見事にキメの細かいオムレツだ!と絶賛した。
「次は猊下も挑戦されますか?」
月白さんの一言に教皇が頷くと、司祭たちはこぞって七大神役に立候補し始めた。
こうしてオムライス祭りは祝詞と踊りの検証の場と化していった。
スライムたちが引き続き踊りの指導を担当し、オムレツの作り方を精霊言語で指導する役割をキュアと水竜のお爺ちゃんが引き受けてくれることになった。
一日中オムライスを焼く覚悟でいた寄宿舎生たちは、緊張の糸が切れたように司祭たちの行動を呆けて見ていた。
「後は大人たちに任せて楽しみましょう。子どもが健やかに成長することを願うお祭りなのですから、子どもは楽しまなくてはいけませんわ」
オーレンハイム卿夫人が寄宿舎生たちに声を掛けると、貴婦人たちも賛同した。
「小さい子たちの遊び相手になってくださいませんか?」
孤児院長が皇子夫人たちを孤児院に案内する際に子どもたちのまとめ役になってほしい、と寄宿舎生たち言外に頼んだ。
寄宿舎生たちが頷くとぼくたちも孤児院に行くことにした。
「中二階に広い遊び場があるのですね!」
第五皇子夫人は孤児院内に子どもたちが遊べる十分な広さがあることに感嘆の声をあげた。
孤児院長はガンガイル王国からの寄付と、教会で物販を強化したことで、孤児院の施設と生活環境が向上したことを貴婦人たちに説明した。
「では、本日のオムライス祭りのお弁当販売の収益も孤児院に活かされるのですね」
第五皇子夫人の質問に孤児院長は頷いた。
貴婦人たちが孤児院の経営について細かく質問している間、ぼくたちは孤児たちと魔獣カードで遊んだり、オムライス祭りをおままごとで再現する遊びに付き合ったりした。
ぼくの魔獣たちはオムライスにかかりきりになっていたので、モフモフ代表としてシロやミーアの猫に子どもたちが群がった。
「私が引き取る子どもたちのために、魔獣を飼育するのもいいですね」
第五皇子夫人がモフモフに癒される孤児たちを見て、何を飼育した方がいいかと孤児院長に質問した。
「どの種がいいかは明言できません。責任をもって生き物を飼う経験は子どもたちの心の発達にとてもいいと思います。犬や猫もいいのですが、教会では鶏がいるので、大きい子たちは積極的に鶏舎の掃除も手伝ってくれます。甲斐甲斐しく世話をした鶏たちがオムライス祭りに備えて卵をたくさん産み始めた時には、子どもたちだけでなく職員たちもわくわくしました」
雌鶏のコッコの話になると、祭りに合わせて雌鶏がたくさん卵を産むのですか!と皇子夫人たちは驚いた。
「子どもたちは聖鳥コッコと呼んで可愛がっています。洗礼式を終えた子どもたちはガンガイル王国留学生たちの試験農場に連れて行ってくださるので、コッコの飼料の作り方を教わっています。農業体験もさせてくださるので、将来、農夫になりたい、と言い出す子もいます」
「フフ。ガンガイル王国留学生たちの試験農場でしたら、魔術具がたくさんあるのでしょうね」
第三皇子夫人の質問に孤児院の職員たちは頷いた。
「ええ、そうです。魔法でたくさん食べ物を作りたい、と子どもたちには人気の体験学習会になっています。その他にも工房見学にも連れて行ってくださるので、子どもたちは自分の希望する職業につけるように努力しようと前向きに学習に取り組むようになったのですよ」
孤児院長の説明に皇子夫人たちは感心して聞き入った。
「子どもたちのための奨学金が設立された意義が理解できました。神学に進むほどの魔力がない子どもたちも魔法学校に通う機会があった方がいいのですね」
第二皇子夫人の発言に第三皇子夫人と第五皇子夫人が頷いた。
「魔術具に魔力を供給するだけでしたら、魔法学校に通わなくてもいいのではないのでしょうか?」
孤児たちにそこまでお金を掛けなくても、と言いたげな口調の第六皇子夫人に、貴婦人たちは微笑みながらも冷ややかな視線を向けた。
「魔術具が増えても技術者が育たなくては壊れた魔術具を使用できなくなります」
「魔術具による事故を防止する観点からも基礎魔法知識があった方がいいですわ」
第二皇子夫人と第三皇子夫人が畳みかけるように言うと、第六皇子夫人は涼しい顔で微笑み返した。
「そんなことは理解しております」
たった今知ったことをさも自分も考慮していたかのように第六皇子夫人は誤魔化した。
「まあ、両親を喪った子どもばかりでなく、一般市民の子どもたちを魔法学校に通わせやすいように手配することが私たち皇子夫人たちに求められている、とご理解してくださっていたのですね!」
第五皇子夫人は分母を大きくして帝都の奨学金制度の充実を目指すことに第六皇子夫人も賛同している、と強引に巻き込んだ。
和やかな孤児院見学の最中に、皇子夫人たちの駆け引きが突如始まったことに、孤児院の職員たちの表情がこわばった。
「……ええ、もちろんですわ」
第六皇子夫人がよく考えて発言したのかどうかは定かではなかったが、この一言で第六皇子夫人は、夫が冒険者たちにガンガイル王国寮にいるアドニスの偵察を依頼した元締めだったことの連帯責任を取らせない、とオスカー寮長夫人が判断することになり、辛くも首の皮一枚で繋がったのだった。
おまけ ~とある貴人の護衛のぼやき~
自分の運命を呪ったことが何度もある。
父のような立派な軍人になることを夢見て体を鍛えて兵法を学んでいたのに、父が所属する派閥の関係から、ただ年が近い、というだけでお馬鹿皇子の護衛候補になれ、と断れない命令があった。
こんな愚痴は家族にも友人にも言えない、とわかるだけの分別が自分にあったことを、成人するまでの間に何度も悔やんだ。
口が悪ければ早々に首になってこんな変人のために命を掛けなくてもいいのに……。
第三皇子より二つ年上の自分は第三皇子護衛候補という不確かな地位のまま魔法学校を卒業後、軍属学校で将校クラスに所属し従軍しながら魔法学校時代に履修しきれなかった専攻を受講する予定だったが、二年の軍属学校時代は結局のところ第三皇子の護衛にほとんどの時間を取られてしまった。
出世街道は中途半端に舗装され、軍内での地位は保証されたも同然だったが、軍功をあげて領地を賜る道は閉ざされたも同然だった。
軍属学校を卒業してすぐ前線に送られて戦死したたり、四肢を欠損して除隊した同級生の話を聞くと、自分の進路がぬるま湯だったと感じる瞬間があるが、第三皇子はそれなりに命を狙われることも多く、辛くも命を繋げたと思うことがそれなりにあった。
第三皇子を亡き者にしてもほんの少しの期間だけ派閥に影響を与えるだけで、帝政が大きく変化するわけでこないのに、と脳裏をよぎったこともある。
不誠実な部下だと罵られようと、第三皇子は殿下とお呼びしたくらるような人徳なんてなかったのだ。
魔術具にしか興味を示さず、権利を買い取った魔術具の文献は起源を探して古文書まで読み漁る学力を持ちながら、政治にまるで興味もなく、魔法学校卒業後、帝国軍に入隊するも魔術具関連の部署におさまり、最新の魔術具を追いかけることにしかその驚異的な集中力を生かすことはなかった。
時折見せる切れた采配に政敵を刺激しては命を狙われ、私は夫人や御子たちの護衛補担当ではなかったが、夫人が毒に倒れたことも一度や二度ではなく、授かった御子は三人とも洗礼式をまで育つことなく亡くなった。
「シシリアと共に一晩過ごしたい」
第二子の死後十年近くたって授かった第三子を亡くした晩、第三皇子に中央教会に泊まり込みたい、と懇願されたが、洗礼式前の亡くなった御子のために離宮の結界から外れたところに一晩、第三皇子が滞在することを、当時の治安が悪い帝都では私は首を縦に振ることができなかった。
宮廷の皇族警護部隊も未登録の御子の葬儀のための警護計画の変更の許可が下りることはなく、シシリア姫の亡骸は一晩教会に安置された。
どれほど当時の自分の判断を悔やんでも、すり替えられたシシリア姫が受けた苦痛を考えると、悔やんでも悔やみきれない。
お馬鹿な皇子代表だった殿下が変わったのは、帝都魔獣暴発事件で七人の皇子に七大神の祠で魔力奉納させるために魔法の絨毯の上にスライムたちによって強制的に引き上げられたころから変化の兆しがあった。
あの時護衛として対応できなかったことに後悔はない。
あの時は第三皇子自らが小さいオスカー殿下の呼びかけに呼応したからだ。
……いや、正直に告白するなら、カイルのスライムの触手に手も足も出せなかった。
六人の皇子たちが一度に魔法の絨毯に乗せられたから、自分への責任の重さが軽減した安堵感があったことは認める。
ただ、あの時、第三皇子殿下がガンガイル王国のカイルに入れ込み始めたのは魔法の絨毯という魔術具に目が眩んだことだったとしても、その後の第三皇子殿下が帝国、いや、世界平和をもたらす大きな働きをするきっかけだったなんて、自分の脳裏には微塵も思い浮かばなかった。
その後の卒業記念パーティーや、カイルたちを追いかける旅も、自分の想定外のことだらけだった。
ハントと名のってからの第三皇子殿下は身分を取り繕ろわないのは以前からだったが、興味の対象以外にも視野が広がったのか市井の人々の仕事を評価できるようになっていた。
自身の私財を投じて奨学金制度を設立すると言い出した時は驚いたが、将来性のある魔術具の権利を買い取りそこそこ財力があった第三皇子殿下が社会奉仕に目覚めたのか、と考えた。
亡くなったシシリア姫が入れ替えられて生きているかもしれない、と知った時に慈善家として活動した実績になり教会関係者たちへの印象が変わるなんて、まったくもって想像できなかった。
カイルと親しくなった第三皇子殿下はいい影響だけでなく、護衛を振り切ろうとする、遅れて来た反抗期のような行動をとることもあった。
自分は対策として信頼おける冒険者に追跡を頼んでいた……。
だがしかし、殿下が水竜に首根っこを掴まれて教会都市から帝都に帰還するなんて、そんなことは想定外だった!
シシリア姫が生きていたとなっては、そんなことさえ些細なことでしかない、と考えてしまうほど冷静な判断ができなくなっていた。
第三皇子殿下が南方諸国の亡国の王子に出会ったらしいことも殿下の考え方に影響を与えて、蹂躙された被害者側の視点を考慮するようになっていた。
水竜や緑の一族の族長が協力してくれたおかげでシシリア姫を無事保護できた、とここまでの報告は理解できた。
最大の功労者がカイルとケインの猫だ、と聞かされても、なぜ猫が!?としか感想が出てこないじゃないか!
でも、半身を邪神の欠片に侵されて、日々、常に焼かれた状態だったシシリア姫を猫たちが目力で、精霊の浄化を信じろ!と説得したから誘拐犯だった保護者ではなく聖なる力に身を委ねた、と聞けば、自分は嗚咽を堪えて、真偽のほどはともかくとして、ただ涙を流すことしかできなかった。
猫にそんなことができるか、とそんな野暮なことはオムライス祭りの猫たちを見たら何も言えなくなる。
第三皇子殿下の無茶振りで、徹夜で聖典を読み込んでいると見かねた司祭から初級魔導士試験で出題されやすい傾向を教えてもらい、何とか自分は初級魔導士試験に合格したのに、カイルとケインの猫たちは人間語ではなかったが完璧に聖典を覚えているかのようにミャーミャー鳴いて精霊たちを躍らせたのだ!
聖獣の竜種は長寿。そんなことはだれでも知っている。
竜種以外でも、その種を超えて長寿な魔獣は神々の祝福を得て聖獣となり特別に長寿になる。
大型魔獣を駆除した時に、これは聖獣クラスだ、という比喩にもなるほど有名な話だ。
ガンガイル王国のポニーは聖馬として名を馳せている。
あの、カイルとケインが乳離れ前の子猫を保護して飛竜の幼体と一緒に飼育した猫たちが普通の猫であるはずもなくその舞は素晴らしかった。
スライムは容赦なかった。
男神の役の自分は体感もしっかりしていることもあり、スライムから触手でビシビシ叩かれることはそうなかったのだが、殿下は酷かった。
女性らしい立ち居振る舞い、回転軸のずれ、一つ一つを徹底的に指導され触手でパシンと叩かれると、触手が殿下の手足を包み込み、強制的に姿勢を直されていた。
まあ、その甲斐があって本番では大量の精霊たちから祝福されて、何とか面目を保てたんだ。




