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魔獣カード大会狂騒曲 #3

 ぼくとケインの部屋に兄貴が泊っていることになっているので実体化してケインと同じベッドで寝ている。

 早朝窓を叩く音に目覚めると、魔術具の鳩がいた。

 誰だ、こんな早朝に!

 窓を開けて冷たい空気が入り込むと、ケインも目覚めた。

 兄貴はもとより横になっているだけで寝ていない。

 手紙はミーアからで、女子寮の美術部員たちが映写の魔術具の噂を聞きつけて、初級魔法学校の決勝出場者の似顔絵を描いたから使ってほしいというものだった。

「キャンバスに書いた油彩画でも、紙に書いた水彩画でもOHPの魔術具では使えないよね」

 眠そうな目をこすりながらケインが言った。

「透明な素材じゃないと無理だし、魔獣カードに使った素材では絵具がのらないよ」

 ぼくも無理だとハッキリ言った。

「映写機の噂を聞きつけて、興奮して寝ないで描いたじゃないのかな」

 兄貴は美術部員の苦労を思いやった。

「カードに使った素材に予備はあるんだったら、精霊言語で刻印できないかな?」

 ケインが提案した。

「出来ないことは無いかもしれないけれど歪む可能性も否定できないよ」

「まだ時間もある事だから、その絵を見せてもらってから考えようか?」

 談話室で話をしようと返信を書いて鳩の魔術具を飛ばした。

 早朝に女の子と会うんだ。

 まずは朝風呂に入ろう。

 ぼくたちは身支度をしてから談話室に向った。


 談話室にやって来たのはミーアと美術部員と思われる三人の女の子だった。

 女の子たちもお風呂に入ったようで、美術部員は目の下にクマを作っていたがこざっぱりとしていた。

 見せてもらった絵は水彩画だった。

 透明な魔獣カード用のシートを見せて絵具がのらないことを説明すると、三人はがっくりと肩を落とした。

「よく似ているし、とてもいい絵だから使えるのなら使いたいよ。ぼくたちが魔力のペンで模写したら歪んでしまうかもしれないけど、試してみてもいいかな?」

「「「お願いします!」」」

 ぼくの提案に三人は目に輝きを取りもどして頷いた。

 ぼくたちが朝食の時間までに試してみることを約束すると、ミーアは三人に朝食の時間まで仮眠するように説得した。

 決勝戦ギリギリまで寝ていてほしいけれど、仕上がりの合否を彼女たちに判定してもらいたいのだ。


 ぼくたちは寮の研究室で預かった彼女たちの絵の前でどうしようかと考えた。

 精霊言語で刻み付けるためには絵を正確に頭の中に描かなければならないのだが、書いた人の絵を歪めてしまうのではないか、とか、似顔絵本人の顔が浮かんだりするのでなかなか難しかった。

「あたいが試してみてもいいかな?」

 ぼくのスライムがそう言うと半分に分裂した。

 片方がキャロお嬢様の絵の上に広がって絵の輪郭に合わせて凹凸を作り、もう半分のスライムが魔獣カード用のシートを乗せて上に乗って広がり魔力を流した。

 ぼくのスライムが透明のシートから身を剥がすと、線画ながら寸分たがわず写し取ることに成功した。

「「「なかなか良いんじゃないかな」」」

 ぼくたちが出来に満足していると収納ポーチから声がした。

「ほほう、版画だな!」

 魔本が飛びだしてきて印刷のページを開いた。

 浮世絵やシルクスクリーンのように版を重ねたら多色刷りも出来るだろう。

 スライムたちが取り囲んで原理を理解しようと熟読した。

 学年別や団体戦の代表者は全部で十二人もいる多色刷りにするにはそれなりに時間がかかるだろう。

 亜空間に移動しようかな。

「色を付けるのなら、私の魔力を流せばいいよ。カイルと契約している魔獣同士だから上手く言うと思うよ」

 ぼくのスライムは再び二分割して原画と透明シートの間に挟まった。

 キュアがスライムに触れて魔力を流すとスライムが光り輝いた。

 ぼくのスライムが変身を解くと写し絵として完璧な仕上がりの透明シートが出来上がった。

 これで出番が無くなることが決定したみぃちゃんとみゃぁちゃんとケインとみゃぁちゃんのスライムたちが、何かやらせろ、と無言で圧を送ってきた。

 仕方がない。

 応援グッズでも作ってもらおう。

 早朝からメイ伯母さんの親族の商会に鳩の魔術具を飛ばし、大判のハンカチを寮生の人数分発注をかけた。

 屋台の準備で忙しいのにごめんなさい。


「こんな面白いことをするなら声をかけてくれてもいいのに」

 寮まで迎えに来たウィルは、寮生たちがお揃いで身に着けているスカーフを見て羨ましがった。

 白いスカーフに領のシンボルでもある不死鳥をワンポイントで印刷した簡素なものだったが、みんな不死鳥が見えるように工夫して身に着けているのでよく目立つ。

「早朝に思い付きでやっちゃったから商会の人たちに迷惑をかけちゃったよ」

「なんで早朝に思いついたんだい?」

 あっ。

 美術部員に大絶賛されたから満足していたけれど、モデルの許可を取っていない。

「どうしたの兄さん?」

「いや、やっぱり絵に描かれた本人たちが納得しなかったら使っちゃいけないんじゃないかな?」

 ケインと兄貴も賛同してくれたので、決勝戦会場で当人たちの了承を得てから祠の広場の会場で使用することにした。

「で、その絵って何なの?」

「「「みんなと一緒に見ようね」」」

 ここでウィルに駄目だしされると他の人の許可が下りにくくなりそうな気がして、ぼくたちは問題を後回しにした。


 学校まではウィルと一緒に行ったけれど、ぼくとケインと兄貴はOHPの魔術具を七大神の祠の警備を担当する騎士に引き渡す予定があったので、校門前で別れた。

 七大神の祠の会場の担当者は予想以上に増員されていた。

 三人一組の予定だった準実行委員は五人一組となり解説と実況アナウンサーも追加されていた。

 大判解説らしくなってきた。

 初級魔法学校チームには決勝進出者の似顔絵を使うかもしれない、と情報をこぼすと、火の神と土の神の祠の広場の会場の希望者が増えた。

 警備隊長は中級や上級は?と訊いたので、寮の女の子たちが徹夜で描いて、早朝から苦心して転写したものだから、と説明すると、諦めてくれた。

 一般の本大会までに魔術具を作らないとスライムたちも長時間労働させられてしまいそうだ。

 スタッフたちを送り出すと、初級魔法学校の決勝戦会場へと急いで行き、出場者たちに似顔絵のOHPシートを見せた。

 団体戦決勝進出者は従妹二人とその友人の平民女子チームで、昨日のおでんの屋台で市民たちに大喝采を受けていた三人組。対する三名は辺境伯寮生の男子三名だ。

 似顔絵を見せると両者とも使用を快諾してくれた。

 これ見よがしに首に巻いたスカーフを辺境伯領チームが従姉チームに見せびらかすので、みぃちゃんとみゃぁちゃんと肉球をプリントしたお揃いの鉢巻をぼくとケインと兄貴でプレゼントした。

「「「へっ!へ……辺境伯領の敵ですよ!!!」」」

「ぼくの従姉だから応援するよ。二チームには公平な条件で戦ってほしいからね」

「「「ああ、そうだね。正々堂々と戦うよ」」」

「「「受けて立ちます。よろしくお願いします!」」」

 可愛い女の子たちが目をそらさずにそう言うと、辺境伯領の男の子チームは顔を三人とも顔を赤らめた。

 この対決も面白そうだ。

 一年生部門は辺境伯領対決でキャロお嬢様と辺境伯寮生だ。

 キャロお嬢様はすでに寮で原画を見ていたので、まあ良く出来ていますね、と流したが対戦相手の辺境伯寮生は、カッコよく描いてくれてありがとうございます!と涙を流して喜んだ。

 描いた美術部員も泣いている。

 他の美術部員も鼻を赤くしている。もうこれは彼に原画をプレゼントしていいレベルの感動だ。

 ウィルはそのやり取りを微笑ましそうに見ていたが自分の絵を見て息をのんだ。

 ぼくもこの絵は本当によく出来ていると思った。

 冷笑の貴公子と揶揄される真っすぐな眉に右口角を上げたいつもの冷笑なのだが、瞳の輝きが爆笑している時のウィルらしい楽しそうな輝きに満ちているのだ。

「ああ、これは素晴らしい。実に……ぼくらしい。ぼくも絵を描くけれど、これほどまでに本質に迫る絵を嫌味なく描ける技量が素晴らしい!原画を買い取って絵師を囲いたいくらいだ」

 絵師を囲いこまれたら自由な絵が描けなくなりそうだから困る。

 でも書いた本人はこの大絶賛に頬を染めて涙目になっている。

 本人が良いならそれで良いのかな?

 ウィルの対戦相手は辺境伯寮生でこちらもカッコよく描いてくれてありがとう、と満足してくれた。

 今日は試合数も少ないので決勝戦の開始時間は遅い。

 ハロハロは初級、中級、上級魔法学校の順に観戦することになっているので、ハロハロが見に来る時間帯に、キャロお嬢様かウィルの対戦になるように対戦時間に調整が入ることを実行委員が説明して回っていた。

 会場の入り口では辺境伯領の応援団が早くも押しかけていたが、楽器を持って応援しようとしていた楽隊の人たちが警備の騎士に、鳴り物の応援は禁止だ、と止められていた。

 学習館の頃から、イベントには音楽がつきものだった辺境伯寮生たちが、昨日は使えたのに、と文句を言っている。

「どうしても鳴り物を使って応援したいんだったら、七大神の祠の広場の会場に行こうよ」

「今日は王太子殿下がお出ましになるから、警備も厳重だし、火の神と土の神の祠の広場は辺境伯領から大人が応援に来ているからそっちも熱狂するはずだよ」

 ぼくとケインが説得に入った。

「広場の大人の状況も知りたいので、あちらに行っていただける方が居ますと助かります」

 キャロお嬢様にそう言われてしまうと、応援団も諦めた。

 楽隊はじゃんけんでメンバーを振り分けて、本会場は歌だけにして、太鼓とハンドベルは火の神と土の神の祠の会場に分散することになった。

「申し訳ありませんが、楽隊を祠の広場の会場まで強制的に送り届けていただけませんか?」

 キャロお嬢様は、彼らは今でこそ納得しているが、会場を出て歩いているうちに不満がぶり返すのではないか、と勘繰っている。

 長い付き合いの仲間たちなので、王家の威信で我らが我慢を強いられた、と気が付いたら大暴れしそうなことを察している。

 この後はおでんの屋台の準備に行きたかったのに。

「連れて歩いたらいいじゃないか。目立つ彼らを引き連れて歩けば七大神の祠の広場の会場の宣伝になるよ」

 兄貴の提案を、そうだ、そうだ、と警備の騎士たちが喜んで支持した。


 ドンドコドン。

「七大神の祠の広場で、最新の魔術具による試合の中継がありますよ!」

 チリンチリン。

「大画面の迫力ある画像で会場内以上にハッキリと対戦が見れます!」

 太鼓やベルを鳴らしながら辺境伯寮生の応援団が学校外にも会場がある事を知らせながら、構内を練り歩いている。

「朝から色々ご迷惑かけています」

 ぼくはおでんの屋台を準備していた商会の人たちに謝った。

「いえいえ。忙しいのは食品部門で、服飾部門はそこまで忙しくなかったので大丈夫でした。大奥様が大喜びですよ。一般の本大会までに応援用の製品を開発する、と息巻いていました」

 さすが大店の大奥様だ。商魂たくましい。

「食材は昨日運搬した分で足りましたか?」

 ケインが気遣いを見せた。

「七大神の広場の祠の会場は、パン類をジャニスさんのお店が請け負ってくれたから肉類をうちが担当します。海鮮は魔法学校と光と闇の神の祠の広場に限定して高価格帯で販売します」

 ハンバーガーやホットドックの屋台を下町に配置して、高級食材は裕福層が来そうな場所のみで展開するのか。

「ここは私たちで回せますから、あの人たちを広場の会場に連れて行ってください」

 昨日も手伝ってくれた準実行委員の女の子は商会に就職を希望しているので、今日も手伝ってくれる。

「ぼくたちが移動しないと、いつまでもここで鳴り物を鳴らしていそうだよ」

 ケインがそう言うと、商会の人たちが慌てて言った。

「猫とスライムを一匹ずつ貸してください!」

 みぃちゃんとみゃぁちゃんとスライムたちは、今日のシフトを事前に決めていたので、予定通りに配置についた。


 こうして、ぼくとケインと兄貴はチンドン屋を率いる香具師のように賑やかに王都を移動することになった。

「火の神の祠は遠いから空飛ぶ絨毯でいこうよ」

 人の流れは間違いなく魔法学校に向っているはずだ。

 逆らうように歩くのは時間がかかる。

 空飛ぶ絨毯は収納ポーチから取り出せるが目立つので、研究室に立ち寄る小芝居をした。

 応援団を空飛ぶ絨毯に乗せてぼくたちは火の神の祠の広場を目指した。

「宣伝にならないから低めに飛んでください!」

 応援団から高度の指定が入った。

 ますます胡散臭いチンドン屋の一行に見えるじゃないか。

おまけ ~次期公爵候補の驚嘆


 執事は頼りになった。

 ぼくが目を通すべき書類を分類し、参考資料まで揃えてくれるので、大幅に時間を短縮することが出来た。

 辺境伯領の留学生一行が通過する領の祠の視察、という名目で転移の魔法具で訪問する手筈も整えてくれた。


 王都の魔法学校に領の上位貴族が進学していない領地は貴族の祠巡りの重要性を理解していなかった。 

 ぼくの視察に迷惑そうに眉をひそめて挨拶をした領主に、ぼくは畳みかけるように、一日の祠の参拝者数を尋ねた。

 言葉に詰まった領主にさらに畳みかけて質問した。

「礼拝室での魔力奉納の量に差が出るのに気にしておられないのですか?」

 その言葉に領主は顔色を変えた。

「辺境伯領、ラウンドール公爵領、オーレンハイム卿の関係者の領地は新しい神の誕生後の豊作の継続や下降しても持ち直しています。噂ではどの領地でも貴族どころか市民も毎日祠巡りをしています」

 具体的な領地名を出すと領主の顔色が変わった。

「七大神の祠巡りは王都の魔法学校で必修の講座になり、王家も祠巡りを推奨したはずです。今期の収穫量は王家の直轄領でも向上したようですよ」

 ここまで言っても領地改革が出来ないようでは、この領は衰退するだけだ。

「早速ですが祠を参拝したいので案内していただけますか?」

「我が領で魔力奉納をしていただけるのですか?」

 転移の魔法陣を使用してすぐ、他領の祠に魔力奉納に向かうぼくに領主一族が息をのむのがわかった。

「神々は帰りの魔術具の操作をできなくするほどの魔力を魔力奉納では求めてきませんよ」

 ……平民の混血児が魔力量を自慢しているのか。

 そんな嘲りが小声で聞こえてきた。

 ぼくが右眉を上げたことにぼくの隣にいた家の執事が気付いた。

 何か言いたそうに口を開こうとしたが右手で制すと、すました顔で領主の隣に立っている青年の側に近づいた。

「血の色が見えるのかい?ぼくは存在しているだけで侮られる人間なのかい?」

 真っすぐ青年の瞳を見て言った。

「息子がどうかしましたか?」

「平民の混血児が魔力量を自慢している、と言い切ったので、彼には平民と貴族では血の色が違って見えるのでしょうか?それとも中級魔法学校生のような少年期に次期公爵候補に名が挙がったことを不快にも思っているのでしょうか?」

「申し訳ございません。愚息は転移の魔法陣を一日で王都と領地間を往復できるほどの魔力が無いので公子様の行動力を理解できないのでしょう」

 領主が慌てて青年を下がらせた。

「そんなに魔力が少ないのに、まさか跡継ぎ候補ではないですよね」

「……滅相もございません」

 一人の青年の未来を潰してこの領の未来を救った気分だ。

 転移の魔法陣を一日で往復できなければ、いざという時に即座に奏上し、領地に戻って対応できないのだ。

 何でこんな青年が領主の嫡男なんだろう?

 何だか引っ掛かりを覚えたが、この視察の目的を達することに気持ちを切り替えた。


 祠巡りには案の定辺境伯領の留学生たちが立ち寄っていた。

 突然の領主一行の対応にボリスとラウンドール公爵領のサイラスが代表してあいさつした。

 今一つピンときていない領主に、クラーケン撃退の立役者の一人にして廃鉱の完全浄化に同行した今年度の初級魔法学校の卒業生代表と、ラウンドール公爵領の領主代行の子息だと紹介した。

 大げさでも何でもない事実をかいつまんで言っただけなのに領主は明らかに動揺した。

 事実の認識が甘かったのだろう。

 クラーケンも廃鉱の浄化も闇の貴公子の活躍あってのことなのに、地方では王家の威光の陰に隠れてしまっているのだろう。

「それはこれは、田舎者なので、王都でのご活躍を存じ上げていませんでした。そのような方に魔力奉納をしていただけるなんて光栄です」

 魔力たっぷりで優秀な魔法学校生に魔力を譲ってもらって、上機嫌になった領主は礼を述べた。

「旅の安全と、この地に滞在したお礼を兼ねて魔力奉納するのは当たり前です」

 ボリスたちは口々にお礼の奉納をするのは当たり前だと言った。

 そしてボリスは思いがけないことを言った。

「イザーク先輩は田舎から出てきた兄たちに優しく接してくれたと、聞いています。私からもお礼を言わせてください。ありがとうございます」

 ボリスの次兄のクリスとは同級生だったが、優しくした覚えはない。

 だが、有難いことにボリスがぼくに親切にしてくれるので、新型馬車の車内を見せてもらえた。

 ……車内に入るなりわかった。

 ここは礼拝室に似ている。

「この馬車は、ポニーの動力だけじゃなく魔力で動いているのかい?」

「さすがですね、イザーク先輩。魔力も使用しています。乗っている私たちが供給しているのです」

 ボリスがぼくを尊敬の眼差しで見つめた。

「ぼくも魔力を供給してもいいかな?」

「ありがたいです。よろしくお願いいたします」

 ぼくがそう言うと同行していた領主が、まだ魔力を使うのか、という顔をしたが、ボリスたちにはこの程度は当たり前の魔力使用量のようだ。

 ぼくは言われるがまま、フカフカの座席に座り肘掛けに手を置くと魔力が吸い出された。


 ……これは、何ということだ!


 複雑な魔法陣の重ね掛けで構造など解明まったく理解出来ないが、領地の護りの結界と同じ気配がする。

 ……もしかしてこの馬車は動く辺境伯領なのか!

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