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閑話#13ー2 公爵子息三男の開眼

 海に行くメンバーにアレックスが本気で割り込んできた。

 王家に忠誠を誓う騎士団長の息子が、王太子が後援している勉強会の講師に勧められるって、どう考えてもカイルの動きの内情視察だろ。

 父上が後押しするという事は、王家の思惑を探れという事なのだろう。

 カイルはこともあろうに犬と猫が認めたら連れて行くと言うのだ。

 ああ。カイルが大人の食い物にされる未来しか思い浮かばない。

 犬と猫はカイルの両側に座り、アレックスを査定でもしているかのようにじっと見つめた。

 審判の時をアレックスが動揺しながら待つという奇妙な時間が続いた。

 犬が顎を少し引くと、猫がアレックスの前まで歩み出て、ミャアと一声鳴いた。

「ああ。みぃちゃんが認めてくれたよ。これでぼくも参加資格があるよね」

 アレックス、何かが違う。

 みぃちゃんはすぐに向きを変えると、しっぽでアレックスの足元を一発叩いた。

 認められたわけではない。

 ただの召し使いに認定されただけだろうな。


 海に行く前日、父上と夕餉を共にした。

 母上は友人と観劇に出かけている。

「カイルは素材採取をしながら、のんびり向かうと言っていました。途中オーレンハイム卿の御子息の領主館に一泊します」

「ふむ。オーレンハイム卿は夏場に辺境伯領に滞在しているから、辺境伯派に見られておるが、中立派だ。楽しんできたらいい」

「今回の目的地の港町の領主は辺境伯寮の大審判以後、一切社交の場に出てきていないようですが、大丈夫でしょうか?」

 メイン料理のカモ肉のローストを切る手を止めて、父上が左口角を少し上げた。

「あれは気にせんでいい。小心者のコバエだ。目先の利益に真っ先に飛びつく癖に、引き際を心得ていない。航海の神の祠の管理者の癖に、泥船に乗っていることに気がついても降りれないのだ。息子は王太子派の傘下に入ることを望んでいる。ラインハルト殿下とアレックスが親しくしているのを見るだけで大混乱を起こすだろう。一興にもならないだろうが、少々きな臭い噂もある。我が家の調査員も派遣してあるから窮地に立つことはないはずだ。好きなことをして楽しみなさい」

 父上はカモ肉を口に入れると右斜め下に視線をわずかばかりそらした。

 何かを思い出した時の仕草だ。

「どうかされましたか?」

「いや、なに。チャーシュー麺を思い出しただけだ。おっさんたちが人目も気にせず美味いものを食べるというのはいいものだ。海で美味しいものをたくさん食べたらいい」

 ぼくも思わず笑みがこぼれた。

 偉いおじさんたちが無言でラーメンを啜るだけなのに、なぜか笑えてくる。

「もう少し、少年らしくそうやって笑ったらいい。男三兄弟の中でお前が一番手のかからない子だった。それはお前が賢くていい子だからだと私は単純に考えていた」

 ぼくは父上に信頼されていたのか?

 顔が赤くなりそうになるのをこらえるために顎を引いて呼吸を整える。

 うまく気持ちを抑えられたことに安堵し、右口角が上がってしまった。

「そう。その顔だ。素材採取の実習で猪の群れに襲われたが全員無傷と一報が入った時に、『あり得ない』と呟いたやつがいた。ああ、そうだ。魔香の主犯だよ」

 主犯は三大公爵家の両家だったのだ。

 猪に入れ替えたやつと、魔香を焚いたやつ。

「整腸剤だと言い張って自白剤を使って、洗いざらい吐かせた。その時に、お前に二度と会えなかった可能性に気がついたのに、思い出せるお前の顔が、今の笑い顔だけだったのだ。入学式の日に学校生活を楽しんだらいいと言ったのは本心からだった。だが、あの時もお前は少し微笑んだだけだった」

 それはぼくが思い出す父上の笑顔だ。

 ぼくが期待されていない子どもだと誰が言ったのだろう?

 家庭教師のせいではない。

 彼が来る前から、誰にも期待されていないことは薄々わかっていた。

 おとなしいという評価だって、兄たちのように庭の蟻の巣に魔力を注いで女王蟻を巨大化させたり、磨き上げた廊下に油を薄く塗ったり、なんてことをしなかったからだ。

 兄たちはどんなに馬鹿なことをしても許され、評価されるのに、何もしないぼくは兄のような悪ふざけはしないという評価があるだけにすぎない。

 馬鹿なことをしないように指導してくれた家庭教師が間違っているはずはない。

 ぼくが評価されないのはまだ何もなし得ていないからだと思うことで心を保っていた。

 なのに、父上は何も言わなかっただけで、ぼくを評価していてくれたのだ……。

「高位貴族の子息として問題のない振る舞いが出来ることは当たり前だ。上の息子がハズレだった時お前にお鉢が回ってくる。だが、まだ子どものうちにあいつらをハズレという訳には行かない。だからこそ屋敷のものたちが『おまえがよく頑張っている』と言い出しにくい環境になっている、と指摘されたのだ。…気がつかなくて済まなかった」

 胸がぐっと熱くなるのに、口角を真横に伸ばすしかできなかった。

 (マイナス)の評価にならないように、そればかりに気を遣ってきたぼくには、この父上の言葉さえどこか評価の対象になっている気がして、カイルの前のように素直に笑えない。

 そんなぼくを見て口角を真横にしている父上が静かに語りだした。

 自分は三大公爵家の長男として生まれ、幼少期から一族を背負っていくための重責を家庭教師から徹底的に仕込まれた。

 政敵に命を狙われたことも数知れず、王家と姉の婚姻関係の根回しにも失敗したこと。

 領地経営は兄弟に任せて、宮中でそこそこの実績を出せたこと、そこから自分の子どもたちも同じように教育すれば安泰だと考えていたことを話してくれた。

 現実には、自分の長男は自分が興味のある研究には後先考えず実行する傾向があるのに侍従たちに止める力量はなく、自分自身がそんな子ども時代を過ごしたかったという願望があったため、家人たちに忖度されてしまったこと。

 次男はやってはいけないの限界値を探ることで、奇妙な兄より注目を引こうとしていたことを率直に語ってくれた。

「お前が私に性格が一番似ていた。好きなことを追求しながら義務を果たせる人物になれると漠然と信じていた。それはお前が三男だから、それほど重圧を気にせずやりたいことをやれる立場だからなんだ」

 そこから父上は自分が名家の長男としての重圧の中で、魔法学校時代に実用的でもない、他人から見たら馬鹿なような魔術具を作るのを趣味にしていたこと。

 学生時代だから時間があって無駄なことができた。

 その時間こそが、三大公爵家長男の重圧感から解放される貴重で有益な時間であったこと。

 魔獣暴走が王都まで被害を及ぼした時の学徒動員でジュエルさんの存在が明らかになった時に抱いた、どうしようもない羨望も語ってくれた。

 馬鹿みたいだと思った魔術具は需要をきちんととらえられたら、実用化できるものだったのかもしれないという、軽い悔恨と、実用化への道筋さえ見えなかった若き日の自分の不甲斐なさに泣きたくなったと同時に、笑えてきたということも。


 そして、ぼくが魔法学校に入学したら、自分のようなしがらみを気にすることなく好きなことを好きなように学んでほしいと、父上がぼくに自分が叶えられなかった夢をささやかながら託していたことを知った。

 入学式を見に行きたかったが、新入生代表ではないのに三大公爵家当主が押しかけていくわけにはいかないので、理事に名を連ねている母上に見に行かせたというのだ。

 ジュエルの養子が代表になるのは、ぼくが劣っているのではなく、社会の縮図にもまれた子どもが精いっぱいやって来た結果だから、父上はカイルとぼくを比べてはいないと言った。

 社会の縮図にもまれた子ども……。

 カイルの人生は、今のぼくにも話せない国家機密が絡んでいるが、ジュエルの子どもとして幸せに暮らしてきたまっとうな子どもだ、とだけ言った。

 やはりカイルは特殊な状況の少年だったのか。

 ぼくは話題を変えるべく、父上に祠巡りで出会った少年の顛末について話した。

 ぼくは市民の魔力奉納で上位者の魔力に余裕が生まれたら経済の活性化につながるのかを父上に聞いてみた。

「それをうまく生かすことが出来れば、辺境伯領のような発展を遂げられるのだろう。海に行く旅行は楽しみながら、学びなさい。魔力と経済を結び付けて考えるようになったのはカイル少年の影響だろう?」

 ぼくは自然と笑みがこぼれた。

 カイルといると学ぶことが多い。

「はい。彼はぼくが気付かない世界を見せてくれます」

「良い友人を持ったな」

「はい」

 明日からの日々を思うと胸が高鳴る。

 こんなぼくを見て父上が微笑んだ。



 旅の道中の馬車の中では笑いっぱなしだった。

 アレックスはお馬鹿さんだけど、おかげで随分楽しく学習できた。

 平和な日常は帝国の動向次第であっけなく崩れるかもしれないという深刻な学習でさえ、こんな風に楽しく学習するから、辺境伯寮生の基礎学力が高いのだ。

 素材採取は採取場に近くなると、カイルは馬車を止めて犬と猫だけ従えてサッといなくなってしまうので、護衛の冒険者が焦っていた。

「良い採取場をひとに教えないのは、植生の調和を考えない人たちに荒らされないようにするために必要なことなんだ」

 ラインハルト殿下…ハルトおじさんが取り残されたぼくたちに言った。

「カイルは何でも知っているんだな」

 アレックスが落ち込んだように言った。

「アレックスがもの知らずなのは事実だけど、薬草に詳しいのは名薬師の孫で、素材そのものに詳しいのは稀代の魔術具発明家の息子だからなんだ」

「王立騎士団長の息子なのに、国土についてほとんど知らなかったアレックスとは大違いだな」

 マークとビンスは流れるようにスラスラとアレックスを遣り込める。

 誰それの息子という立場は生まれてきた時の運に過ぎない。

 その与えられた環境で、どう学んでいくかがぼくたちの人生を決めるのだ。

 身分や生まれ順や家柄は、その環境に生まれてなにをなす人物なのかという考察の基準の一つに過ぎないのかもしれない。

 そんなことを考えていると、カイルが犬と猫と冒険者を引き連れて戻ってきた。

「採ったど~!」

「「「「「よかったね」」」」」



 宿泊先の領主館では生徒たち六人がベッドを並べた同室だった!

 カイルはどこまで悪ふざけが許されるか執事と相談している。

 遊びは上限を決めておかないと惨事が起こりかねないとカイルは説明した。

 上の兄たちに足りなかったのはこの考え方だ。


 カイルは夕食までの散歩に出かけて、各所で祠を見つけては魔力奉納していた。

 ぼくたちも祠を見つけると反射的に魔力奉納をする癖がついてしまった。

 カイルは穀倉地帯の真ん中にあるこの領地で肥料の研究を依頼していたようで、領主やハルトおじさんと難しい話をしに行ってくると別室に行った。

「カイルは仕事の話を大人とできるのか!」

 アレックスは自分とカイルを比較して落ち込むことは早々にやめたようだ。

「ラーメンを最初に作ったのはカイルだよ。事業化は家族やハルトおじさんがかかわっているけど、ジュエルさんの最近の新規事業はカイルもかかわっているんじゃないのかな」

 ボリスが当たり前のように言った。

「子どもの自由な発想を事業化できるカイルの家族は凄いよね」

「カイルの発想は面白いものが多いから目が離せないよ」

 マークとビンスは帝国に行きたくないとグダグダ愚痴を言い始めた。

「帝国の研究所にジュエルさんの弟がいるから、行ったら連絡を取ってみたらいいよ」

 ボリスは二人が合格することは当然だと思っているようだ。

「「ああ。それはぜひ会ってみたい!」」

「こうやって辺境伯寮生は目的意識を持って学習の励みにするのか…」

 アレックスも気がついたという事は、いずれ馬鹿から卒業できるのかな。

 ………いや、想像できない。


 田舎料理にしては味も量も良かった夕食が終わると、お風呂の順番待ちをしている間に領主から父上への献上品を選んでほしいと言われた。

 自慢のハムがいいか、珍しい素材がいいのか、と聞かれたので、以前のぼくなら前者を選ぶが、先日の父上の話を聞いたので後者の方が喜ぶと教えた。

「ラウンドール公爵は面白い魔術具をお作りになる方でしたね」

「父の趣味をごぞんじでしたか」

「ええ。公爵の卒業制作は私の父がファンでした。着眼点が面白い魔術具を制作なさるが使用魔力量の問題で実用化できないのが残念だと言っていました」

「そうですか。ぼくは父の趣味を最近知りました」

「オーレンハイム卿ご夫婦の趣味はとても興味深いよ。拝見させてもらうといい」

 ハルトおじさんがやって来た。

「ええ。ご覧になっていただいて、是非お二人にご意見をいただきたいです」

 三階の奥の扉が向かい合う部屋に案内された。

「こちらが母の趣味の部屋です」

 扉を開けられ中に入ると、舞台の衣装や小道具に大きな役者の姿絵が所狭しと飾られていた。

「母は役者に入れ込むとその劇団ごと応援するので、次の公演の資金にするようにと、衣装や小道具を買い取って資金を提供するのです。ここにあるのはもう再演がない演目のもので、王都の館の専用の部屋におさまりきらないものを、息子の家に持ち込んでそこここに専用の部屋を作っていくのです」

「オーレンハイム卿夫人は王国の演芸会でも有数の支援者だと母から伺っておりましたが、こうやってご支援されているのですね」

「もう、息子の家にマーキングでもしているようですよ。兄弟全員の家にありますから」

「コレクションを見に行く口実で息子の家に嫁に嫌われずに滞在したいからでしょう」

 親心ですなぁ、とハルトおじさんが言うが、領主は小声で母はまだいいのです、と言った。

「好きだ、応援しようというのは構わないのです。両親は趣味に使うお金の上限を決めているので家計にも問題はありません。ただ、これは全て相手の合意があって、行き過ぎた付きまといをしなければいいのですが………」

「「と言いますと?」」

 領主は母親の趣味の部屋の扉を閉めると、向かいの部屋の扉に手をかけた。

「……こちらが父の趣味の部屋です。百聞は一見に如かず、でしょう」

 領主が扉を開けると部屋の明かりがついた。

「「………!!」」

 ぼくとハルトおじさんはこの部屋の異常さに息をのんだ。

 そこはピンクブロンドの女性の絵や人形が部屋の中を埋め尽くしていたのだ。

 少女の頃の絵や人形、少し胸が膨らんできたころ、成人してこぼれんばかりに膨らんだ乳房の女性、背中が丸くなり顔にしわが出てきた女性、杖を頼りにして歩く老女、すべてが同一人物なのだ。

「………ジェニエ…」

「そうです。父はジェニエさんの大ファンなのです。初級魔法学校で同じクラスになって以来、彼女に勝手に護衛を付けたり、図書館の閲覧室に押し掛けたり、彼女の好きな喫茶店に先回りしていたりと、王都の魔法学校時代はずっと付きまとっていたのです」

 胸がドキンと強く打った。

 人生はじめての衝撃だった。

 ………同志だ。

 ぼくの同志、いや、先人がいたのだ!

「それは好意を寄せる、を越えて迷惑行為だろう」

「はい。祖父母も心配して、中級学校から帝国に留学するように父に命じました」

「物理的に引き離したのだな」

「そうです。そうしたところ、父は異様な執念で、芸術的な技術を磨き上げこのようにジェニエさんを題材にした絵や彫刻を制作し始めたのです」

「「!!」」

 オーレンハイム卿の自作だったのか!!

「そ、それは、明後日の方向に進化しましたね」

「ええ。お小遣いは長期休暇に帝国から一時帰国するための費用に当てなくてはいけないので、苦肉の策で自作を始めた、と本人は言っていました」

 恋しさのあまりに自分でジェニエさんの絵を描いて切ない気持ちを慰めていたのか。

「お小遣いでは帝国から一時帰国する費用など、そう何回もできるものではないだろう」

「そこで、父は帝国で人気の役者絵や彫刻を制作して高値で販売を始めたのです」

「「………この技術なら売れる!!」」

 そうか。

 好きな人を追いかけるためには、そこまでの執念を技術力や経済力に変える胆力が必要なのか!

「祖父母は作戦変更を余儀なくされました。帝国で経済力をつけられて、行動が過激にならないか心配したのです」

「………ああ。なんとなく見えてきた」

「そうです。お見合いさせて婚約者を決めてしまえば、流石に落ち着くだろうと考えたのです」

「そこでお母上と出会われたのですね」

「二人とも意気投合して、お互いを尊敬しあうようになったのです」

「「ああああぁぁ。それはもう誰も止められない…」素晴らしいご夫婦ですね」

 ハルトおじさんと領主はお互いを一瞬見た後ぼくを凝視した。

「「こうなってはいけないのだ!!」」

 ハルトおじさんは額に手を当てて最近増えた前髪を搔きむしった。

「今までの話を聞いていたかい?明らかに異常行動で、ご両親も大変心配されて、いろいろ対策をたてていたのだよ!」

「えっ!夫婦円満の秘訣についてのお話ではなかったのですか!!」

 大人二人に残念な子でも見るような哀れな視線を向けられた。

「好きな人を応援すること自体は間違っていない、だがオーレンハイム卿は好きな人を応援する行為を越えて、明らかに異常行動なんだ」

「でも、奥様はご納得されてご結婚されたから、役者絵や彫刻や人形まで作ってもらっているのでしょう」

「役者の姿絵や人形がたくさん作られることは、人気がある証拠で公演の評判も上がり本人たちの収入増加につながるから問題ないだけで、一般人の絵姿や人形など、家族以外が所有しているなんて本人が知ったら、どれほど気味が悪いと感じるか考えてごらんなさい!」

 ハルトおじさんは“気味が悪い”に語気を強めて言った。

 そうか。

 本人に言わずに勝手に絵や人形を作って所有してはいけないのだな。

「わかりました。本人の気持ちを考えなくてはいけませんね」

「趣味は自分でコッソリ楽しむだけでも、やってはいけない一線を越えてはいけないよ」

「そうですね」

 ハルトおじさんはホッとしたように肩を落とした。

「君はまだ少年だから、これから人との適切な距離感を学んでいけば、まだ大丈夫ですよ」

 ふぅん、そういうものなんだな。

 ……適切な距離感ってなんだろう?



 枕投げは楽しい遊びだった。

 備品を壊すことなく、勉強まで盛り込んで、適度に体を動かしたのでスッキリした。

 カイルと同じ部屋で寝られるのだ。

 興奮して目がさえてしまったが、カイルの横で寝ている犬がしっぽをひと振りすると瞼が重くなって眠ってしまった。


 翌朝はみんなで合唱を披露した。

 録音したレコードは絶対に買い取ろう。

 記念写真は後日“焼き増し”してくれるとカイルが約束してくれた。

 沿道で手を振る人たちに見送られて、オーレンハイム卿のご子息の領地を後にした。

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[一言] ここでしくじったからメイ叔母さんにお鉢が回ったのか。
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