閑話#13ー1 公爵子息三男の所感
辺境伯寮の大審判以降、カイルへの勧誘がえげつないほど増えた。
寮生たちが一丸となって撃退していると報告書に上がってきている。
カイル自身は、研究所を覗いては一言助言をすることはあるが、どこかに所属する気はないようだ。
そんな中、光と闇の魔法陣の学習が特別に許された。
ラウンドール公爵家も学校に圧力をかけたが、辺境伯領主は資格のある生徒全員が受講できるように根回しをして、影響力の圧倒的強さを見せつけた。
受講日はカイルを取り込もうとする見学者が大勢いたが、魔法陣をあっさりと全員が描き上げて、残りの時間を見学者を交えて魔法陣談議に花を咲かせることになった。
カイルが関わると和やかに時が進む。
講義の時間が終わるとカイルは、玉切れがー、と叫びながら逃げだしていくので、父上を含めたおっさんたちが追いかけていく姿は滑稽な姿をさらした。
ぼくだって身体強化まで使って必死についていった。
「味噌ラーメン、ニンニクマシマシ、焦がしネギ油は後乗せで」
謎の呪文に屋台のおじさんは、あいよ、と答える。
「醤油チャーチュー、焦がしネギ油後乗せ」
ボリスも謎の注文をする。
なんだかわからないが、これは試してみるしかない。
「おじさん。お勧めは何だい?」
「醬油チャーシューだね。替え玉もあるが、スープ好きで二杯食べていくやつもいる。そんなんだから、醤油大盛りチャーシューがお勧めだね」
何のことだかさっぱりわからなかったが、ボリスより豪華そうだからそれにした。
「客じゃないならさっさと帰りな」
追い払われそうになった偉いおじさんたちは、ぼくと同じものを注文すると、テーブルと椅子の増設を指示されていた。
屋台のおじさんは全ての客を平等に扱うようで、食後に客が自分で食べたテーブルを拭いていくのがここでのマナーのようだった。
偉いおじさんたちがカイルを勧誘しようと、あの手この手で語り掛けるが、屋台のおじさんの一喝で黙らせられた。
カイルのラーメンが屋台のおじさんの仕掛けで燃え上がると強烈なニンニク臭があたりに広がった。
猛烈な香りだが、瞬時にお腹が鳴るくらいに美味しそうなにおいだ。
カイルは一口味わっては、うんうん、と頷いている。
ボリスはたまらずニンニクを追加注文した。
香りだけでは我慢はできなくなったのだろう。
ボリスのどんぶりより一回り大きなどんぶりに煮豚が花びらのように盛り付けられていた。
この注文で大正解だった。
まずはカイルの真似をしてスープを味わった。
スープの熱さに驚いたが、脂と醤油の旨味にそれどころではない。
箸は素材採取のお弁当の時に見て、カッコよく持てるように練習しておいて良かった。
麺を啜るのは初めてだったけど、カイルの口元を観察したから我ながらうまくできた。
父上はフォークで苦戦していたが、作法は気にせずズルズルと啜ることにしたようだ。
屋外で食べるから美味しいのか、カイルの食べるものはみんな美味しいのか。
大盛りはぼくには多すぎたけど、食べる手を止めることが出来なかった。
もちもち、つるつるとした麺、そしてこのいつまでも熱さを失わない旨味の塊のようなスープ。
この味を求めてみんなが走ってくるわけだ。
ぼくらの後から来た客は、玉切れだと断られていた。
ああ、カイルが焦っていた玉切れって…そういうことなんだな。
屋台のおじさんは大盛りを注文させることで、他の客を断る口実を心得ていたのか!
カイルを勧誘しようとする大人たちを正論で言い負かした。
屋台のおじさんがほぼ無双状態で、学校長、研究所長、騎士団長を論破してしまうなんて痛快だ。
父上だけが辛うじて勝利した。
カイルを自宅へ招待出来た上、ぼくも海に一緒に行く機会を得たのだ。
海に行くメンバーの話をしていたら騎士団長の次男アレックスが割り込んできた。
スマートに排除しようとしたのに、カイルに断られた。
カイルは言った。
交際相手の人となりは自分で判断するものだ。
そんなことはない。
人柄は身分と生まれ順や家柄などを考慮してから判断しろ、と家庭教師が言っていた。
アレックスの実家は王家とのつながりが深い。
カイルの開発する初級魔法学校生の魔力程度で飛行できる魔術具が実用化できたら、対帝国への強力な切り札になる。
カイルは自分にどれだけの価値があるかわかっていないから、そんな無防備でいられるんだ。
ぼくが守ってあげるのは親友として当然だ。
カイルを我が家に迎えるにあたって、ぼくは柄にもなくそわそわしていた。
家庭教師は年頃のお子様らしい表情になっておられます、といつもより柔和な表情で言った。
学校に通うようになってから、家庭教師のぼくへの対応が親身になってきた気がする。
妹のエリザベスはお茶会の練習として参加する。
彼女の未来は本人の意思とは関係なくいずれ決められてしまう。
王太子の長男と同い年というだけで、父上の派閥のものたちは未来の王妃を望んでいる。
三男で期待されていないぼくより、人生の選択肢が少ない。
家柄と時流を読み続けて最も適切な男に嫁ぐのだ。
だから今は、少女時代だけでも幸せに過ごしてもらいたい。
エリザベスは我が家の光り輝く姫なのだ。
あの素材採取の関係者一同に母上が直々にお礼を言う。
こんな事態は初めてだ。
三大公爵家夫人が三男の学友程度に頭を下げるなんてことはまずない。
両親が本気でカイルを囲い込もうとしているのがわかる。
緊張したエリザベスが、舌っ足らずにならずに挨拶ができただけで、微笑ましく思える。
ぼくにはこういった練習の機会がなかったが、体裁を気にする必要のない相手と場数を踏むのはいいことだ。
カイルも気づかうように見守って、良く出来ましたとでも言うように微笑んだ。
「エリザベスは可愛いだろう」
「ぼくにも同じくらいの年の妹が居るので、会いたくなってしまいました」
……妹…。
心臓が高鳴った。
母上とカイルのやり取りを冷静に聞くふりをしながら、掌に汗がにじんだ。
…妹と結婚すれば兄弟になれるのだ。
心の声が漏れたのかもしれない。
その後カイルがなにか考え込んでいる仕草をするようになった。
そうだよな。
まだ早い。
エリザベスの婚約者が今決まってしまっては、ぼくも納得できない。
ああ。
でも、妄想は自由じゃないか。
カイルを兄上と呼べたら、そうして一生を傍らで過ごすことが出来たなら、どれほど幸せなことだろう。
お茶会での話題はカイルのペットへと移っていった。
犬も猫もとても賢く豊富な魔力に助けられた。
ぼくも初級魔獣使役師のためにふさわしい魔獣を探してもらっている。
犬がいいな。
傍らにパートナーというべき信頼できる犬が居たらと想像することもある。
お茶会の話題の中心に躍り出ようと緊張したエリザベスが舌っ足らずになる。
兄としては可愛いのだが、小さな淑女の練習としては失敗だ。
エリザベスは足の親指に力を入れて、赤面しないように耐えている。
妹のいるカイルやボリスがすぐに会話を繋いで、場を和ませる。
この二人は時折、乳母かと思うほど繊細な気遣いを見せる。
スライムの話題になったが、辺境伯領以外でスライムを使役魔獣として成功した例はない。
父上も検証したが駄目だった。
暴食の粘菌魔獣に魔力だけを与えると衰弱してしまい、食事を与えると魔力は染まらない。
思考をしないスライムと使役契約をするためには己の魔力に完全に染めるしかないのだ。
辺境伯領民はあんなにたくさんの人がスライムを使役している。
スライム育成のための手順が確立されていることは間違いない。
エリザベスは可愛いふりして、こんな重要なことを切り出してくるのだから、この話題はエリザベスの家庭教師が出した課題だろう。
母上もエリザベスの失言を咎めず、話題を膨らませる方に持っていった。
スライムがカイルの指をくぐり抜ける簡単な芸をして拍手をもらっている。
カイルのスライムがご褒美に指先からカイルの魔力をもらって、嬉しそうにその身を震わせた!
ぼくは使役する魔獣がいないので、魔獣使役師の資格はまだ取得していないが、概要を知るために受講した。
通常は契約魔獣と相互の信頼関係を元に名前を交換するのだ。
スライムに己の名を認識できる能力がないから、魔力でねじ伏せて名を刻み使役魔獣とするのだと父上たちは推測していた。
だが、実際の使役スライムは信頼関係のもとに美味しいご飯をもらい、命令に従うとご褒美に魔力をもらう。
スライムには命令すら楽しんでいる雰囲気がある。
ただの使役魔獣じゃない、このスライムはカイルの相棒だ。
カイルの魔力をもらい、カイルと生涯を共にするんだ。
……そのご褒美は羨ましい。
素材採取でのタイルの魔法で自分の魔力残量に心もとなさを感じた時に、カイルの猫がとんできて、安定した魔力を注いでいった。
あの力強く、心落ち着かせる温かい魔力が、カイルの魔力なのだ。
最高のご褒美だろう……。
話題がスライムの初期飼育に移った。
やはり専用の魔術具があった。
お茶会で情報収集を円滑に行うためには、参加者に協力者の存在が数名いる必要がある。
エリザベスの家庭教師は根回しなしに必要な情報を引き出すための技術として、主催者を巻き込みこれは興味深い話題だと参加者に印象付けてることが出来たら、後は自分が食い下がらなくても勝手に情報が転がってくることを学ばせているようだ。
「わたくし、シュ…スライムをしゃわってみたいです」
ああ。
エリザベスは、仕込みではなく、天然だったのか。
大きな瞳を、こんな主張をして厚かましいのではないかと、心配そうに上目遣いにさせてカイルに伺っている。
上級貴族としては表情で気持ちを悟られてはいけないのだが、いたいけなその表情に幼少期だけでも許してあげたいと思わせる力がある。
カイルが自分のスライムに、エリザベスに触らせてもいいか聞くかのように見つめている。
はっ。
カイルのスライムはカイルの魔力に完全に染まっているのではないか!
「エリザベス。兄さんが見本を見せてあげるから、丁寧に扱うんだよ。スライムは生き物だから優しく扱うんだ」
考えるより先に言葉が出ていた。
カイルの魔力を掌で感じられるんだ!
こんな機会を逃してなるものか。
了承したカイルのスライムが、ぼくの方に寄ってきた。
エリザベスにはボリスのスライムだ。
カイルのスライムはぼくの掌に飛び乗ると、完全なる球体になった。
その形では掌との接地面積が少ないではないか。
ぼくは包み込むようにスライムに触れた。
「ひんやりしていて、プルプルで、(カイルの魔力を纏った)美しい魔獣だね」
形容しがたい美しい緑色で、これがカイルの魔力の色なのかと思うと、ため息がこぼれそうになるが、右口角を少し上げるだけにとどめることが出来た。
スライムはすぐにカイルの元へ戻ったが、猫の時のようなカイルの温かい魔力を感じることは出来なかった。
途中から父上がお茶会に参加された。
教員から早期卒業が可能かを探りだしている。
以前のぼくなら、ぼくにはこういった手腕がないから父上がわざわざいらしたのだろう、と勘繰ってしまっただろう。
だが、最近の父上を見ていたらわかる。
これは自分の好奇心を抑えきれずにやって来たのだと。
父上の情報収集能力もさることながら、カイルの卒業制作に度肝を抜かれた。
伝説の無詠唱魔法かのような魔法の杖を、魔法学校の初級の新入生が卒業制作にしてしまったのだ。
一角兎の角には美しい装飾が施されており、先端にはめ込まれた水晶の中には色とりどりの極小の魔石が水槽の中で揺れているように動く、見たこともない美しいものだった。
発動する魔法は生活魔法の基礎的なもので、一種類だけ発動するのであったなら初級魔法学校の卒業制作らしいものだった。
魔法範囲や方向を適切に指示できる複数の機能を持った小型魔術具として見たら、研究所レベルでも制作できない精巧な魔術具だ。
父上が本気を出してカイルを囲い込むようだ。
カイルとエリザベスが結婚したら、ぼくはカイルの兄になれるのだ!
祠巡りは衝撃の連発だった。
王都の結界は宮中の専門の文官の仕事だと学んできた。
市街地にある七大神の祠は結界の核で、市民からの魔力奉納も受け入れている、という認識だった。
実際、七大神の祠には大勢の市民が己の願いを叶えてもらうためや、魔力奉納のポイントをお小遣いにしようとする子どもたちが盛んに魔力を奉納していた。
魔法学校の紋章の入った大型の馬車が到着すると、一般市民は列を作って並んでいたのに生徒たちに奉納の順番を譲った。
制服姿では全員貴族の子どもに見えるようで、誰が上位かも気にすることなく制服の生徒が近づくだけで列の前へと入れてくれるのだ。
ぼくの前に魔力を奉納していた少年が、やった20ポイントだ、と呟いて振り返ったら制服のぼくたちを見てぎょっとして足早にたちさった。
これだから、平民の魔法学校生の中に時々勘違いするものが現れるのか。
制服の威光を目の当たりにしてそんなことを考えていたのだが、魔力を奉納した後に自分のうぬぼれに気がついた。
ぼくは25ポイントしか魔力を奉納できなかったのだ。
あの少年は洗礼式前の子どもだ。
ぼくと大して変わらない量の魔力を毎日奉納していたら、あの少年が魔法学校に入学した時はきっと今のぼくより魔力が多くなっているだろう。
あんな子どもが市中にはたくさんいるのだろうか?
その後の祠での魔力奉納は前の祠より少し多く魔力を引きずり出された。
三つの祠で魔力を奉納した後には疲労感さえ出始めた。
他の生徒にも疲れが見え始めたが、カイルたち辺境伯寮生には疲労の気配がない。
気になって魔力奉納の量を尋ねたら、教員に注意された。
質問してはいけない意図は理解できるが、あと四つの祠を巡るのに少しずつ多く魔力を引き出されることに不安を覚えたことを正直に告白した。
人に弱みを見せたことを家庭教師に言ったら、厳しく叱責されるだろう。
だが、ぼくの質問は辺境伯寮生以外の全員が同じ気持ちだったようで、話題を提供したという面では評価されるものだった。
「一応あのまずい子ども元気薬は持ってきているよ」
「「「「「………」」」」」
あの強烈な味が脳裏によぎるとともに、あれを飲まなくてはいけなくなるほど魔力を搾り取られるのか、という絶望感が襲ってくる、一言だった。
右口角を上げて笑顔で聞き流すなんて出来なかった。
辺境伯寮生はまったく動揺していない。
聞けば、辺境伯領では七大神の祠巡りは娯楽の一つで、己の願いを込めて魔力を奉納した後、町の結界強化に協力した自分へのご褒美として、ちょっとした贅沢を楽しみ、家族に土産を買って帰る、観光産業の側面さえあった。
自分へのご褒美。
この言葉は魅惑的だ。
七大神の祠を巡っても倒れないギリギリまでしか魔量奉納しないのであれば、先ほどの少年が街中の祠を巡っていない限り20ポイントが彼のギリギリなのだ。
平民の子どもがそんなに魔力が多いわけないよな。
プライドが保たれて、少し安堵したところで馬車が揺れた。
今日の御者はラウンドール公爵家の息のかかったもので、心配はないが、スラム街が近いと治安が良くない。
今日は騎士団の巡回が徹底されているが、うちの調査員も数名いるはずなので問題ない。
だが、不測の事態を避けるために三人一組で馬車を降りることになった。
騎士コースを受講した自分が女子生徒をエスコートするのは当然だが、例の鈍間な女子と組むことが恒常化しないように辺境伯寮生の女子になるように、さり気なく誘導した。
こういった場面でカイルと一緒になれないのは仕方ない。
他の三つの祠同様に制服のぼくたちが近づくと列に並んだ人々が前へ前へと譲りだす。
割り込みによって列が進まなくなったことに怒り出す人が現れると、先ほどの少年も声を荒げて抗議していた。
他の祠も回っていたのか?
馬車よりも早く移動したのか!
こっちが十二人も魔力奉納をしていたからといっても、少年はそこそこの速さで走らないと先回りし続けることはできないだろう。
うちの調査員が介入しましょうかと合図してきたが、引率の教員の腕前を見ることにした。
いかつい男たちと少年の抗議に教員がたじたじになっていると、カイルが下りてきてことを収めた。
少年の事情を詳しく聞き取り、病気の母の症状から回復薬で何とかなると判断すると、高価な回復薬を惜しげもなく与えて、これが神の采配だ、お礼は祠に魔力を奉納することだよ、と聖人のようなことを言ったのだ。
馬車の中ではあんなに高価な品を無償であげるべきではない、ということが議論になった。
祠巡りをする他の生徒が、市民にたかられるようになるという意見もあった。
カイルはこんなに小さな薬師の資格を取ったばかりの魔法学校生はそう居ないから、無理なことは無理だといえばいいだけだよ。
それにたかってくる人ばかりではないはずだから、相手の話を親身になって聞いてみたらいい、と言った。
人の良すぎるカイルは騙される側の人間になってしまう、と思った。
全ての祠を回ると、回復薬が必要になる手前ギリギリの量200ポイントほど魔力を奉納した。
みんなで回ると、やり切った達成感を共有できて楽しかった。
翌日は魔力も十分回復しており体も軽かった。
神々の祠に魔力を奉納したら翌朝の魔力は奉納前より多くなっているのではないか!
予想以上に魔力が増えている。
カイルには昨日、貴族の子弟が祠巡りをすれば治安が良くなるかもと言ったが、おそらく昨日一緒に祠巡りをしたメンバーは成果を内密にするだろう。
自分が見つけた発見を他者に教えて、他者の能力を上げてやるようなことはしないものだ。
あの少年のように必要があって必死に魔力奉納するものは密かに神に祝福されるのだ。
彼は洗礼式で鐘を鳴らすだろう。
新年度はカイルの弟も入学してくる。
まだまだ楽しい学校生活になりそうだ。
祠巡りは辺境伯寮生が頻繁に行うようになり、ぼくも合間を縫って祠巡りをしていたので、魔法学校生に少しずつ浸透していった。
火の神の祠で魔法学校生が絡まれることはほとんどなかった。
辺境伯寮生はたかりに来た人に、懇切丁寧に原材料費があり得ないほど高い薬を、偶々薬師になったばかりの少年が興味本位で調合し持ち歩いている奇跡に遭遇したあの少年を拝んだ方が、よほどご利益がある、と跳ねのけたのだ。
ぼくが祠で魔力奉納した後に声をかけてくれる人は、あの少年の母はすっかり良くなったから黒髪の少年にお礼を言っといておくれ、と言いながら、なぜか僕に林檎をくれる人も居るので、何かしらぼくも参拝者ように手土産を持ち歩くようになった。
人の善意は巡るんだ、その中に時々神々のご加護が紛れ込んでいるかもしれないんだよ。
カイルはそう言った。




