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ツナガル 〜月が太陽を照らす時

※ご注意事項※

こちらは趣味で書いているものになり

私は初心者となります。

いろいろと至らないこともあり、ご不満、

ご指摘があるかと思いますが

お許しき頂き読んでいただければ幸いです。


 


カーテンを開けると、もう外はらうっすらと

明るくなっていた。

(そろそろ行く用意をするか)

といっても昨日もほとんど寝れてない。

いつの頃からか夜ベッドに入っても、寝れない

身体になってしまった。

うつらうつらしていると朝になっている。

いっその事起きて何かしようにも

何もする事はなく、もちろん勉強なんてしない。

ベッドに入って長い時間をスマホで過ごす。

そうしていると朝がくる。

もう、2年近くもこんな状態。

あの事が起きてから••••••


下に降りると、テーブルには朝食

「おはよう」と母さんに声をかける。

「おはよう」と返してくれる。

それ以上の会話はなくても高校生の俺にとっては

普通のことだ。

不眠症の事は母さんが心配すると面倒だから、

バレないように心掛ける。


思いやりのある息子だろ?


いつもの様にトーストとゆで卵を食べ学校に行く

それがいつものふつーのパターンだ。

日常は普通に過ごす


そうしなければやってはいけない。

「行ってきます」

「行ってらっしゃい、気をつけてね」

そうそう、朝にはこれもひとつの会話

(親にしてみりゃ会話なんだろうな)


バス停まで歩いて、バスに乗り

電車の駅まで行き、電車に乗る。

電車に乗る頃には睡魔が襲ってくる

混んでいるから座る事が出来ない

ただ間違いなく座ると寝てしまい寝過ごす

だろうな、夜があけて朝陽を浴びると

眠たくなってきてしまう。

人は怠惰な奴と言うだろうけど

好きでやってるわけではない。

身体がそうなってしまったのだ

昼間はずっと寝てるような感じ夢遊感なのだ


地獄のような1時間以上を耐えて学校に着く

そして教室に着くなり、おやすみなさい。

先生によっては必ず起こされる事もある

その時は机に密着した顔は手で支えて

見た目は起床、なんてな

先生もそれ以上細かい事は言わない

そもそも、男ばかりの工業高校で

一生懸命なんて実習だけすれば

よしと決まってる、たぶん

よって俺はほとんどが机と顔は友達だぁ


ただ、学食には行く、水分補給と食料は

必要だからな、こんな俺にもツレは居るんだぜ


「シュウ」食堂行こうぜと声を掛けてくれる

そうそう、言い忘れたが、俺の名は

陽水心結ひみずしゆう

ちょっと変わった名前で、しゆうなんて誰も

読めないし、呼びにくいから「シュウ」って

呼んでもらっている。


子も変わり者だけど親も変わり者、、ん?

俺が親に似たのかな…

その俺の名前をつけた変わり者の父さんは

俺が1歳になる前に亡くなったそうだ

父さんの事は憶えていない

母さんいわく父さんは写真嫌いだったから

顔も何も知らない、だから母さんは

看護師をして働きながら1人で俺を育ててくれた。

そんな忙しい母さんに弁当まで作って

もらうのはなんか大変だろうから

「荷物になるからいらねーよ」って

言ってるから、 飯は学食にいく。

友達と飯を食べる頃には

少しは目が覚めてくる

やっぱツレといる時が一番だぜ

俺の事を根暗な奴だと思っただろけど

そうでないんだな、ちょっと?だいぶん

変わった者、ちがう、変わった者じゃなくて

変わった者が来ることがある普段は普通の

高校生


焼きそばパンとコーヒー牛乳飲んで

また昼から机と友達になる。

そして、授業が終わり下校


俺は帰宅部で普段は小遣い稼ぎのバイトに

直行だが、今日はバイト休み。

まぁ、明日から夏休みだから、またバッチリ

稼ぐとするか!…でも今日は

せっかくの休みなんだが、友達はみな部活、

帰ってゲームでもするかな。


 -バス停-


電車を降りて、42番のバス停に

こんな時間に滅多に帰らないから

バスの時間がわからねーや


 時刻表を見ると30分もあるじゃねぇか

「もっとねぇのかよ」って独り言ってると

『本当だね』って話し掛けてくる奴


 ダメだぁ〜無視無視、ぜったい無視

『ねぇお願いがあるの』…聞こえません

 ベンチに座った女性が俺に話し掛けて

 くるのは、夢です、悪い夢です!


『あのね○○さんから聞いたの』


「何を聞いたんだよ」やっべ!

 受け答えしちゃったよ


『やっぱり聞こえてるんでしょ

 あなたにお願いしたら願いが叶うって』


「そっそ•そそんな事はないですよ

 何を言ってるんでしょうか?

 全然わかりませんです」


通り過ぎたおばさんが変な顔で俺を

見やがったぜ

そら、そうだな独り言にしては大きな

声だからな、変な男子高校生に見えるんだろ

警察に通報されたらどうすんだよ。


『お願いします、聞いてくれなきゃ

 死んじゃいます』


 (死んじゃいますってもう死んでるんじや

  ねぇかよ(心の声)


そう、俺は死んでいる?正確には死んだけど

まだあの世に行けない奴が見えるんだ

見えるだけならマシだが

タチの悪い事に声も聞こえて会話も出来ちゃう

こんな変な能力は

生まれた時から身についてたんじゃなく

1年前のあの事故の時から……


 ◇1年前の夏、バイトに行く途中……


キー、ドスン•ガッチャン、バーンと

何か爆発でも起きたのかと

いうぐらいとんでもない大きな音がした。

俺はその方向に走っていた、

走った先の交差点にはバスと大型トレーラーが

衝突したんだろう

横転したトレーラーの底が丸見えだった。

一瞬で大事故だとわかった!

煙も上がりバスの中からはうめき声やら

叫び声やらで何がなんだか分からず、

俺は立ち尽くしていた、やがて爆発とともに火が

あがり、助けてという悲鳴が聞こえるが

足が動かず何も出来ず

ただただ呆然と見ていた。


やがて消防車が火を消し、警察が現場検証を

しているまで俺はずっと立ち尽くしていた

いや!目の前の状況が恐ろしく

足が動かなかったのだ。


夜のニュースでもこの事故の事をしていた

運転手と若い女性の2人が亡くなり

5人が重軽傷との事。

それを知った俺はあの「助けて!」と

叫んでいた声の人が亡くなったのだと

直感で思った。


それを知り尚更、その時動けなかった

自分が悪者に思えて、怖くて、恐ろしく

何も出来なかった自分を恥じて…

悲しくて何も考えられなくなっていた。

 一睡も出来ず

 事故の翌朝に気づいたら

 その事故の場所に立っていた…


焼け焦げた道路の跡はまだ生々しく

歩道には花が供えられていた。

 俺もしゃがみ手を合わせ、「助けて!」の

 声が頭から離れなくて、ごめんなさい

 何も出来なくて、ごめんなさいと

 何度も何度も昨日の悔いを詫びていた。


 その時

『そんな事気にしなくていいわよ』と

 後ろから声をかけられ

 振り向き声の方を見ると

 白い帽子を被った綺麗な女性が立っていた。


「いや俺、昨日何も出来なかったんです

 助ける事も出来ず、ずっと見てただけ

 だったんです、情け無い男なんです」


 そう言うと、涙が止まらなく見ず知らずの人に

 ごめんなさいを繰り返していた


『そんな事はないわ

 今日も手を合わしくれてるじゃない』

「違うんです、情け無い自分に腹がたって

 どうしようもなくなって気がついたら

 ここに来てたんです」


『そうなの?何もできなかったと思うの?』


「そうです」


『それなら今から私の為にしてくれる?』


「あなたのために?ですか?」


『そうよ、昨日死んじゃった私の為にね

 だってあなた私が見えて声も聞こえてるんでしょ』


「エー!お姉さん死んでる人ですか?」

「うそでしょ?普通に綺麗なお姉さんじゃ

 ないですか?」


『ねぇ周りを見て』

『みんな変な目であなたを見てるわよ』

「あの子大丈夫かしら」って言われてるわよ

『みんなには私は見えてないし

 声も聞こえていないの

 あなたにしか見えてないから、あなたは

 1人で喋ってる事になってるのよ

 変人扱いされてるわよ』

『やばいんじゃない?』


「本当⁈(小さい声で)本当ですか?」

 『本当です、私は昨日のバスで死んじゃった

  1人です』

「助けて!の人ですか?」

『たぶんね、その時の事は覚えていないの』


「何故!(小さい声)

 そしたらここにいるのですか?」

『わかんないけど、やり残した事があって

 どうしてもそれが気になって仕方ないから

 どうもあっちの世界?に行けないみたいネ』

 『たぶんだけれどもね〜』


「えらく明るいですね?」

『仕方ないじゃん、死んじゃったんだから

 トレーラーには腹が立つけどね』


「それでやり残した事てなんですか?

 僕が何か役に立つんですか?」

『私が見えて、声が聞こえるなら

 出来ると思うゎ、だから

 私の代わりになってくれたら

 嬉しいんだけどねー』

「わかりました、なんでもします」


 …てなわけでこれが初めての繋がり


 それ以来、俺はあの世に行く前に

 彷徨っている、亡くなり半人前の人が

 見える様になってしまったってワケ



 でで⁈ 何⁈「あなたはなんなの」


『私は昨日死んだの』

「死んでるのはわかってますって」


「バスが来たら帰るんだから早くしてね」

『それでね、あの世に行けないのは

 もの凄くやり残している事があるんだって

 黒い服を着た人に言われたの』

(それも知ってます)


『だって?』て自分ではわからないの?

「やり残した事はないの?分からないの?」


「いやいや、俺は何もしないよ手伝わないからね

 前のめりで調子よく聞いてましたが、僕は何も

 しません、なので」

「他をあたって下さい

 あなたの守護霊が見えますとか言って

 テレビに出てる人とかいるじゃないですか

 そんな人に頼んで下さいよ〜」


『あなたがいいって聞いたの』

「へー、そんな口コミなんてどこの雑誌に

 載ってるんですかね〜「

「 4.5点ぐらいありましたかー?」


『だから、私のやり残した事を探して』


「出た!何それ、やり残した事を

 手助けするパターンではなく

 やり残した事を探してだと」

「俺は探偵じゃなーい!まして

 霊媒師でもないからわかりません」


『やり残した事が自分ではわからないの』

『お願いだから、早くあの世に行かないと

 浮遊霊になっちゃうよ』

「そんな事しったこちゃない、勝手に

 浮遊霊でも地縛霊でもお化けにでも

 なってください、それの方が俺には

 見えませんから!ラッキーで〜す」


 やっとバスが来た!さぁ帰るぞー


『呪ってやる!』

 おどしか?なんか説得力のあるお言葉ですね

「なぜ、僕があなたに呪われなきゃ

 いけないんですか?あなたが勝手に死んじやって

 ぼくの所に来たんでしょ」


『シクシク、そんなに冷たくしなくても』(涙目)

 今度は泣きか?

「いやいや泣かないで、ほんでもってあなたは

 もう冷たいでしょうが」

『びぇーん』(泣じゃくる)

「ごめん言い過ぎた」

「死人に冷たいなんて、シャレになんないね、

 ごめんなさい」

「だからもう泣き止んで、お願い」


「乗るの乗らないの?先からブツブツ

 言ってるけど、バス出発しますよ」


 おいおいバスの運転手さんに言われちゃったよ

「乗ります!乗ります!」


『勝手になんか死んでません』

 『だって自分で死んだんだから』

「なに?なんだって?自殺?」


 うーん•••??(悩む)


「運転手さん、ごめんなさいやっぱ次の

 バスに乗ります」

 ブッシュー(ドアの閉まる音)ブォーン


 あーぁ結局バスはいっちゃたよ


「あっそうそう!なんだってもう一度言ってみな」

『だから、わたしは自殺をしたの!』

「自殺⁈」自殺って自分で死を選んで

 死ぬ事(俺は何を説明してるんだ)

『そうです』よ、じ•さ•つ•

「そんな言い方しなくてもわかります」


 けど、初めてだぜ、俺のとこに自殺で来た奴は、

 自殺なら恨みは残ってもやり残した事なんて

 ないだろうよ、何もやりたくないから

 自分から死ぬんじゃないの?

 いきなり自分の意に反して死んじゃた

 人はやり残した事がたくさんあるから

 彷徨ってるんだろうけど

 そんな人とは違うんじゃないの?

 自ら命を絶つ人はさ…


「ワーお!近いよ、いつの間にそばに来てんだよ

 離れてくれ〜」

『ねーお願いだ•か•ら』(甘え声で)

 そんな、死んでる女の人が甘えても

 なんも嬉しくない!俺も男だし生きてりゃ

 少しは色気づくだろうけど

 おまえみたいなガキはタイプじゃありませんし


「ところでなんで自殺なんかしたんだよ」

『わからないの、何も考える事が出来なくなって

 気がついたらビルの屋上に立っていて

 下を見ると地面に横たわっている自分が見えたの

 下にいる私の周りに人集りが出来ていてすぐに

 救急車のサイレンが聞こえたわ』


『そのまま病院まで付いて行ったけれど

 助からなくて、自分で自分の最後を見届けた』

『なんか変な感じ』「幽体離脱か?」


「何も考えれなかったて?病気だったのかよ」

『そうね、心の病気だったと思う』

「発作的にやっちゃったパターンか、なら、

 やっぱ!やり残しが沢山あるんじゃねえの?」

 だから、

『それを一緒に見つけて欲しいの』

 また、面倒の事になりそうだな(心の声)


 仕方ないか、1年前のあのお姉さんとの

 約束もあるから、またやるしかないか…


 けど、今回のは難しいそうだよな

 本人に自覚がないから厄介だぁ

「わかった!やるよ、やり残しを見つけよう

 な、いいか?」

「ほんでとっととあっちに行ってくれ」

『ありがとう、やっぱいいねの人だね』

「だから、いいねじゃねえわ」


 何本かバスが行き、気づくと辺りが暗くなって

 きていた。


「あのさ、明日から夏休みで夜までバイトが

 ないから、また明日来てくんない」

「この場所に••そうだな朝8時には来てるからさ

 いいだろ?」

『いいわよ、一晩中ここに居る』

「好きにしてくれたらいいから」

「俺はひとまず帰る!」

「そんじゃな!誰かに取り憑くじゃねぇぞ」



-翌朝のバス停-


「よぉ!居たか!」

『ずっとここ居たよ、だれも私に気づかないの』

「当たり前だろうよ、お前は霊なんだから

 見えるわけないだろうよ」


「ところでお前の名前は?」


『美生、美しく生きると書いてみお、月石美生(つきいしみお)

「それはギャグか?もう生きてないじゃないかよ」


 みおか、(歳下だろうから)呼び捨てで  

 いいだろう、なぁ⁈美生

「それで美生はいくつだぁ?どこの中学だぁ?」

『17歳高2』


 えっ?まさかの同い年? 

「えっ〜と俺も高2、そっか…

 なななかよくしようぜ(焦る)」

(コイツ中々の童顔だぜ、まさかのタメだと)

「俺は陽水心結(ひみずしゆう)

「シュウって呼んでくれ」

「そんで美生は学校はどこなんだよ」

『○○女子校』「お!お嬢様学校じゃん」

「今頃、みんな呼び出しされて集会でも

 してんじゃないの?」

「校長が皆さんのお友達が亡くなりました、

 とか言ってみんなで黙祷とかしてんじゃねえの」

 「よし、最初は学校に行こう

 だいたい、やり残している事って 

 両親か友達やら学校、ほんでもって

 ペットとかが絡んでんだな、たいがいな」


「その女子校なら60何番でいけるんじゃ

 なかったけ?」

『63番』

 63だと向こうだな、行くぞ


「それで学校ではイジメはあったのか?」

『ぜんぜんなかったわよ、最近は

 ほとんど学校には行って無かったけどね』



 (63番ターミナルにバスが入ってきた)

 これだな、よし乗るぞ


 ○○女子校は路線の終点

 揺られ揺られバスは走る



「友達はどうなんだぁ

 仲のいい友達とか?ほかの学校の男子とか」


『男の子の友達は1人も居ない』

『友達は居ないわけじゃないけど 

 幼稚園から一緒だった亜里沙が1番の友達かな?』

「それだ!幼馴染、仲良し」

 バッチリ!着いたら、まずはその子を探そう


 30分ほど走ると閑静な住宅街

 そんな高級住宅街にある、幼稚園から

 大学までの一貫校の女子校がある

 一種、俗物から隔離されたお嬢様学校、

 俺には無縁の女子校



 -学園○○バス停-

 

「やっぱでっかい学校だな」

『まぁ大学まであるしね、あのマンション

 は寮なの』

 「マンションの寮

 へぇー学食も綺麗なんだろうなぁ」

『食堂じゃなくてレストランね』

 「あとでなんか食おうぜ」

『男の人だけじゃ入れないよ』

「ちぇっ」

「よし、早く片付けよう」


「美生の校舎はどこだ、いゃ大体は体育館かな?」

『たぶん大聖堂かな?』

 「さすがはミッション系てか?

 行こう行こう!あれか?」

『そう、そう』

『ほんと、生徒が集まってるわ』


(校長らしき人が)

 みなさんに集まってもらったのは

 2年D組の月石美生さんが

 一昨日、事故で亡くなりました。

 事故の説明はご両親のご意向で

 お話できませんが、ご学友の皆さまには

 大変よくしていただき感謝しています

 との事でした。

 今から哀悼の意を表し1分間の黙祷を

 ささげたいと思います

 みなさん、黙祷


「どうだ、亜里沙はどこだ、探して

 コンタクトとるぞ」

『えーとたぶんあのあたり、いた!

 いたよ、ほらあの背の高い子』

「どれどれ、あの子か、おっ!可愛いじゃん」


「さて、どうやってコンタクトをとるかな

 何か安心させれるネタはないか?」


『美生の友達って言って•••、そうね

 伝えたかった事をいいに来たとか

 信用させるには、そうね彼女先週

 大切なお土産のキーホルダーを

 無くしたのそれを言ってみて』

「了解!話してみる」


「それと大切な事を言うぞ」

「相手と喋るには

 美生もそばにいるんだぞ」

「お前の心の声を伝えるのは

 俺の手を握らなきゃだめだからな

 右手を下げたら、その手をにぎれ

 わかったな美生」


『右手を握るのね、わかった』

「あとは俺に任せておけ」


 出てきて、みんなと離れたら

 話しかけるぞ、いいな


「それと、手を握ったら何も考えるな

 やり残している事や思い残した事があれば

 勝手にその人に伝わるからな」

「わかったな

 それと、そんなに長くは出来ないからな

 俺の力が弱くなるとおしまいだ」


『わかった、お願いします』


 おっ!出て来たぞ、後をつけて

 1人になったところで


「あのすみません」

「亜里沙さんですよね」 


「はい、そうですけど」

「ぼくは月石美生さんの

 友達のひみずといいます

 美生さんから伝言があるのですが…」


「美生から?そんな嘘は通じませんよ

 美生は男の子とはほとんど付き合いは

 なかったんだから」


「信じて下さい、そうそう美生さんから

 聞いたのですが、大事なキーホルダーを

 無くしたんですよね」


「美生しか知らない事をなんで?」

「だから本人から聞いたからです」

「いつ?」

「亡くなった日の前日かな」


「美生チャンスだぞ」シュウは右手を

 自分の腰の辺りに回して手をパタパタさせた

 その手を美生はぎゅっと握りしめたとき

「あ!肩に何かついてますよ」と言い

 シュウは亜里沙の肩を左手でそっと触った 

 その瞬間!


 心の声が『亜里沙聞こえる?』


『亜里沙に謝らないと行けない事があるの

 あなたの大切なキーホルダーは私が隠したの

 彼氏のお土産ってあまりにも嬉しそうに

 話すから嫉妬して隠してしまったの

 本当にごめなさい』


『幼馴染のあなたの大事なものを

 奪うなんて、ごめんなさい』

『シュウこれを渡して』そう言って

 美生はシュウにキーホルダーを渡した


『亜里沙に渡して』シュウはキーホルダーを渡す


「美生なの今の声は美生なのね」

「私こそごめんなさい、病気のあなたの前で 

 嬉しそうに、バカみたいにはしゃいで

 ごめんなさい」

彼女は大粒の涙を流し

「なぜ、死ななければいけなかったの

 もっともっと一緒にいて、大学いって

 社会人になって結婚もして、同じときに

 赤ちゃん産んで、ずーと一緒にいようって

 言ってたのに残された私はどうすればいいの

 ねぇ!美生!」(泣き崩れた)


『亜里沙、本当にごめんなさい』

『仕方なかったの、私が選んでしまった事だから』

『ずっとあなたを見守っているから

 元気でいてね、亜里沙』

 シュウの手が亜里沙から離れて

 2人の繋がりは終わってしまった。

『•••さようなら亜里沙』

 もう美生の声は聞こえていなかった。


「今のは美生だったのね」

「そうだよ、あんたには見えないけど

 美生はここに居るよ」

「今聞こえたのが彼女の心だよ」

「美生がいるのね、もう行ってしまうのね…

 さようなら」


「それじゃ、聞いてくれてありがとな」

「美生いくぞ」『はい(泣き声)』


「いつまでも泣いてるんじゃねえよ」

「まだ、お前がここに居ると言うことは

 1番のやり残した事じゃなかったんだよ」


「やっぱ1番は両親か?

 早く会いにいくぞ!考えると

 今日はお前の告別式じゃねぇ?」


「死んだのは

 一昨日だから、普通だと今日は

 告別式だろう、美生に関係する人が

 たくさん来てるんじゃないか?

 ラッキーだぜ、会いに行く手間が省けた

 とにかく、両親だぁ」


『あのー私ね、両親はいないんだぁ

 幼女として叔母夫婦に育てられたの』

『母さんの妹とその旦那さん

 そのおば、おじが育ての親で

 お母さん、お父さんなの』


「本当の両親は亡くなったんだよ」

 って小学校の2年ぐらいの時、聞いたの』


「なんで亡くなったんだよ」 

『母は私が1歳になる前ぐらいに

 交通事故で亡くなったて聞いたわ』


『寝ている私をベビーカーに乗せて

 信号待ちしてた時にそこに車がつこんできたって

 私だけが助かり、母は車に轢かれ亡くなったて』


『1歳だから記憶はないはずなのに

 知らないおじさんが私を覗き込んで

 ホッぺをツンとして笑ってすぐ消えてしまった

 私はいつまでもケラケラ笑ってたの、それが

 今でも夢ででてくるの、不思議なの』


『そして父は3歳の時に病気で亡くなった』

「そうなんだぁ、辛い過去があったんだな」


『ううん、今のお父さんとお母さんは

 とても優しくしてくれたわ』

『実の子のように厳しくも優しくも

 私を育ててくれたの』

「それなら、尚更、心残りがあるだろうよ」

「早く行ってみようぜ」

『そうね』


「どこで葬儀をしているか、先生に聞いて来るゎ」『お願いします』


 よしわかったぞ、

 「それほど遠くないから

  今なら始まる前に行ける、急ごう!」


 -葬儀場の前-


 「月石美生告別式て出てるぞ」

『なんか変なかんじね、私のお葬式なんだね』

「当たり前だろ、お前は何度も言うけど

 死んでいるの、みんなが美生にお別れを

 しに来ているの」


「ところで、なんか感じないか?」

「両親はどこだ?まぁいいか 

 先に参列者の中から調べようぜ」

「美生、俺と手をつなげ

 そしたら、手当たり次第にそっと

 触れていくから、心の声が聞こえたら

 言えよ!な!」

 「それじゃ行くぞ」

(なんか場違いな服を俺は着てるんだが

 大丈夫だろうか?つまみ出されたたり

 しないだろよな)

 まぁいいや、行ってまえー


「すみません通りますよ

 どうも、ごめなさい」


集まってる人の波をかき分け2人は

通っていく

「美生どうだ?感じないか?」『うん全然ない』


『なんか、余計な事は聞こえてくるゎ

 やだな〜病気だったこと

 あること、ないことを勝手に言ってるわ』


「ふぅー!」そっか…なさそうだな••

『あっ!』『お父さんとお母さんだ』


「どこどこ?」『あの横の部屋に入ってた』

『お母さん泣いてたゎ』

「あたり前だろうよ、娘が死んで

 悲しくない親がどこに居るんだよ」

「親が泣くような事をお前はしたんだよ

 自らしたんだよ、どうだ?少しは

 反省したか?」

(美生はだまって、こっくりうなずく)

 「また、泣いてんのか?やめてくれよ」

「それより、どうする?とにかく部屋に

 行ってみよう、な美生!」

『行きましょう』


コンコンコン、俺はドアをノックした

奥から「はい、どうぞ」と声がした。


ゆっくりとドアを開けて


「あのー僕はひみずと言います

 美生さんの友達です、突然すみません」

「こんにちは、珍しいわね美生に

 男の子のお友達がいたなんて」

「友達と言っても、まだ浅いんですが

 昨日初めて…」

「昨日?嘘おっしゃい

 美生は一昨日亡くなったのよ」

「あなたどういう人

 警備の人呼びますよ」


「ちょっとちよっと待って下さい。」

(美生、正直にお母さんに言うぞ)

 信じてもらえなければアウトだ

「さっきからボソボソ何いってるの

 本当に呼びますよ」


「お母さん聞いてください」

「お父さんもお願いします

 ほんとうにふざけてはいないので

 聞いてください、お願いします」


「実は今、美生さんがここに居ます」

「何言ってるのやっぱりふざけているのね

 出て行って下さい」

「母さん待って、もう少し聞いてあげよう」


「美生さんがここにいて話したい事が

 あるそうです

 それを僕には繋ぐ事が出来ます。

 お願いですから信じて下さい」


「バカバカしぃ!ふざけた人ね

 信じる事なんて出来るわけないじゃない」

「母さん、そう言わずに聞いてあげよう

 信じられないような事を彼は言ってるけれど

 もしそれが出来たら母さんも話したい事が

 あるんじゃないか?なぁ母さん」


「分かったわ」

「ありがとうございます」


「お父さんとお母さんは手を繋いで下さい

 そして、僕がお母さんと手を繋いだら

 美生さんの声が聞こえます」

 「しゃべらなくても心で聞こえます」


「美生、俺の手を握って」

「それじゃお母さん手をお願いします」


 シュウはお母さんの手をそっと握った


『お母さん、お父さん』

「美生、美生なのほんとうに美生なんだね」

『ごめんなさい自殺なんかしちゃって

 みんな変な噂をしているけど

 お父さんお母さんのせいで死んだんじゃないの


『あの時はどうかしてたの

 けど後悔はしてないわ』

『後悔しているのはお父さんお母さんに

 さよならも言わずに逝った事』


「美生、みんなの言うことなんて

 気にしてなんかいないわよ」

「けどあなたが

 居なくなってどれだけ悲しいか

 苦しくて悲しくてどうしようもないの

 きっとこれは夢で美生がそこに帰って

 くるってずっと思っている」


「美生帰ってきて、お願いだから!」

『ごめんなさい、それは出来ないの』


『お父さんお母さん、言いたかった事が

 あるから聞いてね

『お父さんとお母さんは私を幼女にしてから

 子供が出来なかったね

 出来なかったんじゃなくて

 わざと作らなかった事を知っていたの』 


『生涯、2人の子供は美生ただひとりだから

 作らないでおこうと言ってた事を

 聞いてしまったの』


『ごめんなさい、私の為に赤ちゃんを

 作る事をしなかったのでしょう』

『そこまで私の事を1番に考えてくれたんだって、

 ただそれが辛かったの』

『2人に重荷を背負わせた事が苦しかった』


『だから、私が居なくなったんだから

 赤ちゃんをつくって下さい

 弟か妹を見せてください、お願いします』

「美生、何を言ってるの…

 けどずっと悩んでいたんだね、ごめんね」


「苦しめることをしていたなんて知らなかった」

「姉さんがなくなって義兄さんがなくなり


「ひとりぼっちの美生が私のところに来た時は

 ほんとうに小さい可愛い女の子だったわ、

 天使だと思った」


「奇跡的にあなたは助かり命を繋ぎとめたのも

 神さまのおかげだと思った」

「そんな美生を一生懸命育てて本当の親子に

 ならなきゃと頑張っていたわ」


「ごめんなさい、それを悩んで苦しんでいた事に

 気づいてやれなくてごめんなさい」


『ううん、お母さんのせいじゃないわ

 お母さん、お父さんは1番の宝物

 世界で一番大好き、愛してます

 さよならを言えずごめんなさい

 だから、これから幸せになって欲しいの

 私の事は思い出として生きていって欲しいの』


「この子は何を生意気いってるのよ」

『お父さん、お母さん、もう行かなくっちゃ

 今まで大切に育ててくれてありがとう

 わがまましてごめんなさい』


 『さようなら』

「美生、いかないで、お願いだから」

(美生は自らシュウの手を離した)


シュウは複雑な気持ちでお母さんの

手を離そうとしたがお母さんは離そうとは

しなかった、ただもう美生の声が

聞こえない事をさとり、そっと手を離し

両手を合わしてしゃがみこんでしまった。

小さな声で何度も何度も「美生」と

シュウは深くお辞儀をして部屋を出た。


「美生よかったのか?

 お母さんこれからまだまだ大変だぞ」

『大丈夫!わたしのお母さんだもの

 涙が枯れたらまた強いお母さんに戻るわよ』

「いうね

 お前の涙はいつ枯れるんでしょうかね?」


「ところで〜まだお前消えていないよな••」


「両親も違ってたの、あんなに

 悲しみと感動の名場面だったのに??」


「なんでだよ、何がまたあるんだよ」

『わかんない、美生もわかんない』

「何がわか〜んないだよ」

 「もう、ネタ切れじゃないの?

 ちょっと作戦練らないとだめだな」


「ところで今何時だぁ?

 おっ!バイトにいかなきゃ」

『えーバイトに行くの?ひとりぼっちにするの』

「当たり前だ!俺にも予定があるの」

「お前の保護者じゃないの」

「一旦家に帰って飯食ってバイトに行くゎ」


(ほっぺを膨らまし睨みつけて)

『えー、どうするのよやり残した事探しは?』

「明日また朝、バス停に行くから

 それまでぶらぶらしてな」

『やった!明日も来てくれるの?』

(ケラケラと美生は笑った)

(シュウは美生のほっぺにツンして)

「そう、そう、美生は笑った顔が一番だな」と

 言って、バスに乗った。


窓越しに美生に手を振る

美生もシュウに笑顔で手を振る

(他の乗客は1人で手を振る怪しい男しか見えない)


 -自宅にて-


「ただいま」


「おかえり」

「シャワーしたらバイクでバイトに行くよ」

「明日はどうするの?」


「あっ!そっか、父さんの命日だったな」

「そしたらバイト終わったら友達ん家でも

 行って泊まって明日の朝に墓参りに行くわ」


「母さんは?」

「母さんも今から当直だから帰らないわ」

「お墓は遠いからあんたに任せます

 よろしく言っておいてね、それと

 バイクの運転は気をつけなさいよ

 父さんみたいな事故はやだよ」

「了解しました」


(シュウはバイクを走らせバイトに向かった)



 -アルバイト店先-


バイトが終了、今日はお客さんが多く、

忙しかったな、夏休み入ったし商売繁盛はいいけど

楽して稼ぎてぇなぁ。


 シュウはバイクにまたがりバイト先を

 出た、友達の家には行かず、まっすぐ

 バス停に行ってみた



 -バス停-


 もう夜中の1時を回りバスも来ないので、

 バイクのエンジンを切り、そろそろと押して

 ロータリーに入って行った。


(いたいた、やっぱここににいたか)

 42番バス停のベンチに

 首も肩も項垂れ座っている美生がいた。

(うしろからおどかしてやろ)


「よぉ!死人みたいだな美生

 そっかごめん死んでいましたね」

『何よ!びっくりするじゃないのよ

(怒った顔で)『悪かったわね』

『死人みたいで、どうせ私は死人ですよ』

『何しに来たのよ、まだ朝じゃないわよ』


「友達ん家で泊まろかと思ったんだけど

 久しぶりに夜のツーリングにでも

 行こうかなと思ってな」

『あっそ、行けば、さぞかし楽しくて

 気持ちいいでしょうね』

「お前も暇ならいくか?」


(まんざらでもなさそうに勿体ぶる)

『そうね、やり残した事を考えないと

 いけないしね〜色々朝までにやらなくっちゃ

 いけないしー、けど息抜きも大切だしね〜』

「どっちなんだよ!」

『ハイ!行きます』(ケラケラと笑って)


(キックでエンジン始動)

「そしたら.タンデムだ、さぁ後ろに乗りな

 ヘルメットをかぶって」

「しっかりつかまってるんだぞ、行くぞ」

(単気筒のエンジン音を響かせ、バイクは

 ロータリーを出ていく)


(うしろのシートはヘルメットが宙に浮いていた)


しばらくは市街地を走り、バイクは高速に入る


「美生、ちゃんと手を回しとけよ

 高速に入るからな!」

『大丈夫よ』


高速入ったころから

白々と夜が明け始めてきた。

高速を降りてしばらく海岸線を走り


「美生、そろそろ太陽が昇り始めるから降りるぞ」


 -大○○海岸-


 駐車場に停めて2人は砂浜を

 歩き始めると正面から太陽が昇ってきた。


(太陽が昇りきるまで2人は無言で見ていた) 


『眩しい、でも綺麗

 海から昇るお日様は初めてみたわ』

「へぇーそうなんだ」

『ほとんど遊びに行くこともなく

 学校が終わると毎日習い事のピアノ

 そんな繰り返しだったから

 彼氏もできなくて寂しかったゎ』

「へぇー彼氏欲しかったのかよ」

『そんな事はないけど

 お嬢様学校だから…

 あんまり声も掛けてくれないし』

「そりゃそうだろうよ○○女子校だよ

 お高くて声なんてかけねーよ」

『そうなんだけど友達ぐらいは

 作りたかったな〜』

「おっ!やり残した事あるじゃん

 男が出来たとたんに

 あの世にいっちゃったりして」


『そうだね、』と言って

 美生はケラケラ笑った

「お前そんなに明るいのになんで自殺したんだ?

 今の姿からは想像つかねぇぞ」


『そうね、死んじゃったら何も

 悩むことがなくなっちゃたからかな?』


『生きてるときは必死に生きてたって感じかな

 1日1日が精一杯』

「そうだったんだぁ…」


『それにしても太陽は輝いて、素敵ね』

「あそこには見えないけど月も出てるって

 知ってるか?」

『へぇーそうなんだ…』

「太陽とみえない月が俺達を照らしてくれている」

『まるで、シュウと美生のようだなね…』

「そうだな…」


「よし、やり残し事探しの前にちょっと

 付き合ってくれよな」


「この近くの霊園に父さんのお墓があるんだ

 今日は父さんの命日だからお墓参りしてから

 帰りたいんだ」


『いいわよ、私ももうすぐお墓に入るんだし

 どんなお墓がいいか見ておく』

「ばーか、内覧会じゃないんだぞ」


(シュウのお父さんのお墓はバイクで

 少し走ったところにある)


 -△○霊園-


「えっーと、こっちこっち、

 狭いから危ないから気をつけてな」

「ここです、これが陽水家の墓です

 ここに父さんが眠っているんだ」


「美生、後ろを見てみな」

『わぁー!綺麗、キラキラ光る海

 潮風も最高だね』

『いつもお父さんはこの景色を見てるんだね』


「そうなんだ、どうも遺言というか」

「夢というか、亡くなったら海のみえる

 丘のうえに埋葬してくれってね」


「なので母さんがここを見つけて

 父さんの墓をたてたんだ

 ちょっと家から遠いけどな」

「いいところだろ」


『うん素敵なところ』


そしたらお墓を綺麗にして

お花を供えて掃除して線香をあげます。

「ちょと待ってな、父さん」

『何か手伝おうか?』

「ありがとう、見てくれてたらいいよ

 待っててなここが済んだら

 またやり残した事を探しに行こうな」


「そこ、滑らないように気をつけろよ」

『わかったゎ』言ってるそばから

 バランスを崩して倒れそうになる美生


 「危ない!美生」

思わずシュウは右手で美生の手をつかんだ。

(シュウの左手は父の墓石に触れていた)


 その瞬間、美生の心に声が響いた


『あなたがあの時の赤ちゃんだね

 大きくなったね、まだ1歳ぐらいだったから 

 今は17歳ぐらいかな?

 心結とたぶん同じぐらいだな』


美生はなんの事か最初はわからなかったが、

つぎの瞬間、美生のからだに稲妻のようなものが

走り幼い赤ちゃんの時の記憶が現れてきた。


『私はたまたま生き延びたのじゃなくて

 あなたに助けられたのですね』


『あの信号待ちしていた母さんのベビーカーを

 暴走して来た車から、逃してくれて

 助けてくれたのが、あなただったんですね!』


『そして母さんとあなたは私の代わりに

 命を落としてしまった

 それがシュウのお父さんだったなんて…』


『息絶え絶えで私の無事をみて、最後に

 笑ってほっぺをツンとしてくれたのが

 あなただったなんて』


『私はなんてことをしてしまったのかしら

 助けてもらった命を自ら絶ったなんて』


『ごめんなさい、もっともっと生きて

 シュウの成長を見たかったでしょうね』

『一緒にもっともっと遊んであげたかった

 でしょうね、沢山一緒にやりたい事が…ぁ』


シュウも心の声が聞こえていた

父さんが人を助けて命を落とした事を初めて知る

 それが美生だったなんて、運命だったのか



『美生さんていうのか…美生さん

 自ら命を絶つのはどんな事があっても

 してはいけないね、どれだけの人が悲しむのか

 わかっているかい?』


『それともっと大事なのは、残された人は

 理由がわからないから、みんな苦しむんだ

 ずっと苦しみその人から離れられないんだよ

 わかるかい』


『ごめんなさい』


「父さん、美生は何も考えられなくて

 発作的に飛び降りたんだよ

 だから、そんな事まで考える事が

 できなかったんだよ…

 だから許してやってくれよ」


『心結、許さないとか許すとかの

 話しじゃないよ、これからの世界で

 この事を忘れずにいてほしいだけだから』


『そうすればまたこちらの世界に

 戻ってこれるからね

 きっと戻ってこれるからね

 忘れないでほしいのさ』


『命を助けて下さってありがとうございます』

『いつまでも忘れません』

『ごめんなさい、ごめんなさい』

『お父さん、シュウごめんなさい』


『心結、母さんを頼んだよ、

 父さんもやり残した事が今日できたよ』 


『助けた美生さんをまた助ける事が

 父さんの残した事だったんだ•••

 それが運命だったんだよ』


『それじゃ、母さんと元気で暮らすんだよ』

『それと美生さんを頼んだぞ、あとはお前が

 美生さんを最後まで導いてやってくれ』


(父さんの心の声が聞こえなくなっていった)


(その時、美生に光があたり

 美生の身体が下から光って消え始めたてきた)


『シュウ、私のやり残した事は

 赤ちゃんの時に命をかけて私を助けて

 くれた人にお礼を言う事だったんだね』


『そして、その人がシュウのお父さんだった』

『シュウもほっぺをツンしてくれた時

 なんか懐かしい気がしたのは

 あなたのお父さんがしてくれた時と

 同じだったからかもね』


(美生の身体がもう半分以上見えなくなっていた)


「美生!」


『お互いが17年越しに心が繋がり思いを

 伝える事が出来たのはシュウのおかげだゎ』

 『やっぱりいいねの人ね』


「ばかやろう」


(もう美生の顔も消えてなくなりそうだった)


『シュウ、ありがとう

 これで向こうの世界にいけるわね

 ほんとうにありがとう

 あなたに出会えてよかった

 お父さんがい•••』


「美生!」

「お父さんがなんだよ最後まで言ってきえろよ

 バカやろう」


 シュウは涙が止まらなかった…


 やがて何事もなかったように潮風が

 お花を優しくゆらしていた。



 ◇2学期


夏休みも終わり、また怠惰な1日が始まる

今日も眠たい頭でバスを降りる。


 その時、うしろから

『シュウちゃん!』って聞こえた

「ん?誰だ俺を呼ぶやつは?」

『久しぶりだね、シュウちゃん』


「美生か?」

『そうだよ、』

「本当に美生か?」

『本当に美生ですよ』

「どうしたんだよ」

『ほら!お父さんがあの時

『大切な人の苦しみをずっと忘れずにいれたら

 こちらの世界に戻ってこられる』

 って言ってたじゃん』

『だからそうしてたら戻ってこられたの

 また、シュウちゃんと一緒に居られるよ』

『どれぐらい居られるかはわかんないけどね』

『また、ヨロシクね♪』

「居られるって…お前、お化けだろがよ」

『お化けって失礼ね』

(美生はケラケラと笑った…

   シュウほっぺにツンツン)


「ばーか、俺は普通の女の子と居たいの」

『けど、わたし歳とらないよ〜』

『いつまでもピッチピッチの女子高生だよ』


(美生はまたケラケラと笑っていた)





 

最後まで、お読み下さりありがとうございます。

次回の励みになりますので、ご感想をきかせて

いただけると幸いです、よろしくお願いします。

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