三十三日目
今、溜まっている作業は。
小説・序盤6種。
漫画・序盤4種。
動画のイラスト。
TRPGのシナリオ・2キャンペーン分。
……最近、よくない傾向だ。
これを書くのが眠い時間だ。
眠い。頭が働かない。
今日はヘルテイカーというゲームの紹介動画を見たり、岡崎斗司夫ゼミを眺めていたりした。あとはジャンプルーキーでチープな話を書くイラストレーターの人物を発見してうきうきしていた日だった。
異能物だ。
だが、能力は見掛けるような物。
キャラを深く掘る訳でもなければ、少年漫画らしい派手な演出もカタルシスも中途半端。だが、構図や物語に破綻もなくチープな作品だが、普通に読めるような作品のように思えた。
発展途上の創作家だ。
素晴らしい、俺が求めていた人物だ。
才能が感じられない。発想がチープで人を深く掘るのも落とし込むのも発展途上。彼はこの先、努力をするのだろうか。諦めるのだろうか。興味が……興味が、興味がそれほどまで湧かない。
ただ他人のようには、思えないというだけか。
希望や野望を持つ人間は多くいるが、強い感情を持ち続けたり、し続けるという人物はそれほど多くない。諦めたり挫折などという誤魔化しではなく、単純に何も形作れずに消えて行くものも少なくない。
俺は18の辺り。もう5年も前にもなるが自分のような人物を探そうとマンガの賞を取った人物の中で、同年代を探しては講評を切り取ってファイルに収まるような事をしていた。ただ俺が目標とすべき人物として、書いた名の人物はことごとく、その後を聞かない。
GIGAまで買って、その名を探す。
天才とまで言えるような人物を探す。
ライバルと言えるような、越えたいと思えるような人物は未だに見つかっていない。逆か、逆なのか。才能ある人物を俺のような凡愚では計れないという事なのか、胸を妬くような感情を駆り立てられないのか。
ヒロアカの一話目は胸が熱くなり、学ぼうと思えた所が沢山ある。あのような作品を書けるような作者はいないのか。彼だって二度の挫折をへての挑戦だ。で、あるならば人はそこまで追い詰められなければ面白い作品を書けないのか。
挫折を経ても、挑戦できる人物でなければ。
何かを為せるような人物では、あれないのか。
面白いとは何だ。心とは何だ。人に伝えたい事とは何だ。どうして誰も夢を語らない。どうして誰かの作品によって受けた衝撃を他の形で表現しようとしないのか。どうして誰も何も変革を願わないのか。
いや、きっと本質はよく分かってない。
自分が何を求めているのかも。何もかも。
漠然と金を持っていれば幸せだし、沢山できる事が増えて可能性が増えて楽しい事ができる。でも、本当に楽しいのかは分からないし、きっと楽しいのだけれど体験した事もないから想像できない。
だとすれば、俺は何も望んでいないのか。
いや、それも違う。
何かを望んでいる。何を望んでいるのかも分からないような何かを望んでいる。それが具体的な形を取る事もないし、漠然としているままだし、大きな物を望んでいるからこそ小さな感動さえチープな物に感じてしまっているのかも知れない。
ああ、そうか。
僕はまた誰かに期待しているのだっ!
僕という退屈を打ち倒すような存在を。人生すら捧げたいと思うような価値を。きっと、これは恋だ。まだ見ぬ何かに対するような恋だ。好奇心。興味。自分に期待していない分に誰かに願わずにはいられないのだ。であるからこそ、生きている。
なるほど、なるほど?
つまり、俺は恋に恋しているのか。
縋るようなものもなく、縋るのか。
何という事だ。俺は何もキャラという物を書けていなかった。人という物をかけていない。目から鱗が落ちたような感覚に今はいる。これが狂気か啓蒙かはわからないが素晴らしい。素晴らしい。
俺は、もっと素晴らしくキャラを書ける気がする。
良い気分だ。素晴らしい。
今まで書いていた物全てが、偽物のようだ。