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最終話

 

「・・・・」

「・・・・」

「・・・あった?」


 俺と葵は、葵の目標としていた東京にある大学の掲示板の前にいる

 周りには、落胆している人、嬉しそうにしている人、皆に胴上げされている人、様々な人がいる

 俺はその人たちを見ながら、さすが一流大学なんだなぁと思いながら横に葵を見守る


「・・・あった!!!あったよ!輝!!」

「おわっ」


 葵は数字を見つけた喜びで俺の方に抱きついてきた

 そして、その勢いで横にいた男の子にぶつかってしまい、その拍子で男の子の受験票が落ちた


「あ、ごめん。いや、ごめんなさい」

「いえ、大丈夫ですよ」


 俺は少し焦って、近くに落ちている男の子の受験票を拾う

 その際に見てはいけないと思いながらもチラっと見ると近くにある有名進学校の人だった


「ごめんなさい、これ」

「あ、ありがとうございます」

「いや、俺たちが悪いし・・・ほら、葵も喜んでないで謝れって」

「ごめんなさい」

「いえいえ、それより合格おめでとうございます」


 男の子は喜んでいる葵の方を見ながら、印象の良い笑顔で言ってきた

 葵は素直に「ありがとうございます」と答えて嬉しそうに何度も掲示板に書いてある自分の数字を見る

 俺はその横で、この子が合格していなかったら申し訳ないなぁと思いながら笑うと男の子はクスッと笑った


「大丈夫ですよ、そんな申し訳なさそうな顔しなくても。俺も合格しているんで」

「あ、よかった。おめでとうございます」

「ありがとうございます」


 男の子はニコっと笑って頭を下げる

 そして、頭をあげた時にちょうど、最近人気のアイドルの新曲の着メロが鳴った

 俺はそういうのに疎い方だが、葵とか優美が今人気のアイドル・・・名前はなんて言ったか忘れたがその話題で盛り上がっていたのでなんとなく曲だけはわかった


「あ、すみません。・・・いいの?今電話してて・・・・・・・あったよ。・・・うん・・・大丈夫だって・・・うん、行くから。・・・・うん。・・・ちょっとうるさいって、叫ばなくっても聞こえるから。・・・うん・・・行く行く・・・うん。それじゃ切るよ」


 男の子は小さなため息を吐いて、携帯を閉じ、ポケットの中に入れる

 そして、俺たちの方を見てきた


「すみません、ちょっと行くところができたので・・・」

「あ、うん。ごめん、足止めしちゃったみたいになって」

「いえ、それじゃ」


 男の子はそれだけ言うと走っていった

 そして、俺と葵ももう掲示板に用は済んだので人ごみの中から出る


「改めて、合格おめでとう。葵」

「ありがとう。これで安心して遊べるね」

「だな」


 俺と葵は手を繋ぎながら、近くの駅に歩いていく

 これからは翔と優美と俺たちでさっきの男の子が着メロにしていたアイドルのコンサートに行くことになっていて、葵の合格祝いもそれを兼ねていた

 翔たちとは現地で会う予定なのでまだ時間はある


「どっか行くか?まだ時間あるし」

「ん~・・・うん。それじゃ輝の家に行こうよ」

「俺の?」

「うん」

「まだ何にも置いてないよ?」

「いいの。これから私も住むんだから見ておきたいし」


 葵は俺の手を引きながら、駅に歩いていき、勝手に切符を買う

 そして、俺の家(まだ仮)の最寄り駅に着くと家まで歩く

 俺の家(仮)は俺が大学の合格祝いで、葵のおじさんとおばさんがくれたものだ

 俺は遠慮したのだが、ちょうど大学の近くの高級マンションだと聞いてしまい、一瞬いいと思ったのが失敗で、そのまま与えられた

 今では感謝してる。ただ、最近になって知ったのだが葵もそこに住むことになっていた


「本当に一緒に住むのか?」

「今も同じでしょ。それに輝1人にしたら心配だもん」

「何バカ言ってんの?俺、おばさんに無理やり葵の家に住ませられる前は1人で暮らしてたんだぞ?」

「そうだっけ?」

「というか、葵の方が1人暮らしできるか心配だから、おばさんたちは俺と同棲させようとしてるんだよ」

「私は1人暮らしできるよ」

「はいはい、そういうことにしといてあげるよ」


 俺は家のカギを開けて中に入る

 中には特に家具もなく、広い部屋があるだけ

 家具とかは本格的にこっちに住む時に買う予定なので、まだ買わないが・・・何もない部屋を見ると少し物足りない気もする


「広いね。あ、ここは寝室かな?」


 葵は何もない部屋を特に気にすることなく、あちこちのドアを開けては楽しそうにしている

 俺は太陽の日が当たる場所で座りながら、葵の行動を見ていると葵がこっちに歩いてきた


「そこ、座っていい?」

「ああ」


 葵は俺の横に座って、頭を肩に乗せる


「これからよろしくね。輝」

「いきなりどうした?」

「ん~・・・急に言いたくなったの」

「ふ~ん。それじゃ俺もよろしくな。葵」

「うん」


 俺と葵は抱き合ってキスをし、再び目を合わせてお互いに笑う

 そして、明日も同じように笑い会える日が続くことを俺も葵も願いながら、太陽の当たる部屋で抱き合った



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