79話
「ごめんなさいね~輝ちゃん」
「仕方無いですよ、久しぶりの家族だけでゆっくり楽しんできてください」
「輝もこれば良いのに・・・」
「たまには家族だけで遊ぶのもいいもんだぞ、葵」
「それじゃ輝ちゃん、何かあったら電話してね」
「はい。いってらっしゃい」
おばさんと葵は大きいスーツケースを引きながらタクシーの中に入っていった
「さぁってと・・・何するかな・・・」
夏休みが始まって2日目、葵家は旅行に出かけた
最初は俺も誘われたのだが丁重に断らせてもらった
別に行きたくないってわけじゃない
ただ、たまには家族だけで楽しむのもいいもんだとGWのときに思ったから
俺は自分の部屋の中に戻り、本棚から漫画を取る
「はぁ・・・静かだなぁ」
この家にいる番犬?には程遠い豆は岡村さんが自分のペット(豆の親)と会わせたいから昨日のうちに引き取った
だからこの家にいるのは俺だけになる
ご飯関係は自分で作れるため苦にもならないし、ここにはもう結構住んでるので困らない
俺はこれから4日間は寝て、起きて、食べて、一応勉強して、の繰り返しで過ごしていく
そして、あっという間に4日間が過ぎていって・・・・
「ただいま、輝」
「おかえり、葵」
てっきりおばさんも一緒に返ってくると思っていた俺にとって葵1人で帰ってきた
「おばさんは?」
「お母さんはまだお父さんと旅行中。私は明日から塾の合宿だから帰ってきたの」
「そうか。準備は?」
「今からだよ。ほらっ輝、買い物付き合って」
「それはデートのお誘い?」
「・・・」
葵は顔を赤くしながら小さく頷く
今更な気もするが、とりあえず着替えて葵と買い物に向かった