78話
「北谷、ちょっと職員室に来い」
無事テストも終わり、葵と帰ろうとすると途中で担任に止められた
俺は葵に先に帰ってくれてもいいと言って担任に付いていく
そして、職員室に着くと別の部屋に入れられた
「北谷、呼ばれた理由はわかってるな?」
「さっぱり見当がつかないんですけど・・・俺悪いことしました?」
「はぁ・・・お前だけだぞ。進路はどこにするんだ?」
「進路ですか・・・」
夏休み前に俺のクラスの人はほとんど進路を決めている
大学に行く者、就職する者、専門学校に行く者などなど
「もう少し待っててくれません?」
「ああ、だが2学期までには決めておけよ」
「はい、決まったら報告します」
職員室から出て校門のところまで行くと人影がある
「葵?」
「あ、終わったの?」
「待ってたんだ、ごめん」
「帰ろ、輝」
「ああ」
家に向かう帰り道を歩きながら俺は進路のことを考える
葵も翔も優美もすでに自分の進路を決め、その道に進んでいる
「輝、聞いてる?」
「あ、ごめん。考え事してた」
「夏休みどうするの?」
「どうするって葵、塾あるだろ」
「最初の1週間と最後の1週間は空いてるの」
「そっか、葵は何したい?」
「なんでもいいよ」
「なんでもかぁ・・・そういえば翔とかは時間空いてるかな?」
「確か翔と優美は沖縄に行くみたいだよ」
「あ~なんか言ってたなぁ」
結局、夏休みに何をするかは決まらず、だらだらと歩く
すると、急に葵が声を出した
「あ、お母さんに豆の餌買ってきてって言われてたんだ」
「今から買いに行くか?」
「私、今お金無いよ?」
「大丈夫。俺、携帯代払うためにお金持っている」
豆の餌はいつも葵とおばさんが買いに行ってるので俺は知らない
だから、葵のあとに着いていくと動物病院に着いた
「ここに売ってるのか?」
「うん。豆にあげてるのってここ以外じゃ売って無いの」
「特別なのか?」
「由美ちゃんがおススメしてくれたの。ここの獣医さんが作ってるんだって」
「ふ~ん。んじゃ買いに行こうか」
「うん」
俺と葵は動物病院の中に入り受付に売っているドックフードを買って、外に出る
「はぁ・・・まさか豆が毎日食べてる奴がこんなに高かったとは・・・」
「そうかな?」
「そうかなって・・・7000円は高いだろ。この量とはいえ」
俺が持っている量は分からないが大きな袋に入っていて葵がこれを持って帰るには辛いと思える
たぶんおばさんは俺が一緒に帰ることがわかってて葵に言ったのだろう
「でもこの餌は本当に良いらしいよ。遠くから買いに来てる人もいるみたいだし」
「へぇ~。豆は良いもん食ってるんだなぁ」
そのあと葵からこの餌がどう良いのか説明されたが理解できず、とりあえず獣医がペットのために作った最高品なのだということはわかった
そして、俺と葵は家に向かって時々休憩も入れながら歩いた