第74話
「それじゃおばさん、すみませんがチビのことお願いします」
「それはいいけど・・・いいの?」
「大丈夫ですよ、たぶん」
「まぁたまには親子水入らずってのも必要だしね、それじゃ楽しんでらっしゃい」
「はい、いってきます」
「いってらっしゃい」
GWの初日
俺は葵家から必要最低限のカバンを持っておばさんに目的地まで送ってもらい、空港の中に入った
1週間前、急に俺の携帯に親から帰ってこい!メールが入り、GWに親のところに行くことが決まる
そして、どこから情報が漏れたのかわからないが葵がこのことを知ってしまい一緒に行くと言い続けた
だけど葵はGW中、優美や岡村さんと旅行する予定があった
それでも付いてくると言い張ったが、2人に悪い気がして俺の方は諦めさすように説得をし、今に至る
俺は飛行機に乗って正月以来会っていない親がいる海外に向かって飛び立った
「それにしても、輝変わらないわね〜」
「それが久々に会った息子への第一言か・・・」
「葵ちゃんと同棲してるからもっと大人な顔になってると思ってたのになぁ」
「はぁ・・・それより父さんは?」
「お仕事よ」
特に感動の再会も無く、俺と母は普通に家に戻り特にやることが無いのでTVなどを見て時間をつぶす
「輝、あなたGWにすることないの?」
「やることなかったからこっちに来たんだよ」
「まぁそれもそうね、それじゃ葵ちゃんと来ればよかったのに」
母は残念そうな顔をしながら紅茶を飲み、何か携帯を触っている
「葵は友達と旅行だよ」
「でも来たがってたんでしょ?こっちに。それを無理やり輝が断ったって言うじゃない」
「無理やりって言うか、向こうの方が先に約束してたんだし普通はそっち行くでしょ?」
「はぁ~、あんたまだ葵ちゃんのことわかってないわね~」
「ていうか、俺が断ったってなんで知ってんのさ」
「メール」
母は俺に携帯の画面が見えるように見せてくると、葵のおばさんの名前が書かれていて絵文字もたくさん入っていた
「今、向こうは1人で犬とじゃれてるってさ」
「・・・なんか不憫だね」
「あ、彼女のお母さんにそんなこと言うんだ。送っちゃおっと」
「ちょ!ちょっと!」
「はい、送った~」
少し携帯を奪ったがもう遅く、画面には「送信完了しました」と書かれていて数分するとメールが返ってきた
「輝、返しなさい・・・・あちゃ~帰ってこい!とっちめてやる!だって」
母は嬉しそうな顔をしながら再び画面を見せてきて俺に確認させた
「どうしてくれんのさ、帰れないよ・・・」
「まぁ気にしなさんな、あと2日間はここに入れるんだから」
「は?俺GWギリギリまでここにいるつもりだよ?」
「お姑さんが帰ってこいって言うんだから帰さないとね~。それに輝がいたら友達呼べないでしょ」
「鬼か・・・」
「あ、また悪口言った。送ろっと」
「違う!おばさんに言ったんじゃないってば!」
「送っちゃった」
「本気でどうしてくれるんだよ・・・」
たぶん葵の家に帰ると恐ろしいことが待っていて、おばさんは今何をしようか楽しそうに考えている頃だろう
俺は残り2日間の間にどんな言い訳をするか考える羽目になってしまった