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第66話

 俺と葵が葵の家に帰ると葵は靴をポイッっと脱ぎ捨てて、さっさとリビングに入って行った

 するとさっそく、おばさんVS葵の言い合いが開始する

 

 俺は葵の分の靴を並べているとおじさんも帰ってきた

 

「おかえりなさい、おじさん」

「おぉ輝くん、ただいま。なんだか戦いが行われてるみたいだけど・・・あれは?」

「葵とおばさんの生死を分ける戦いです」

「ほぅ、それほどの戦いか」

 

 おじさんは楽しそうにしながら靴を脱いでリビングに一緒に入ると葵とおばさんはものすごい形相で戦っていた

 

「いいかげんにしなさい!!!」

「なんでよ!!いつもいつもダメダメって!!!理由言ってよ!!!」

「いつもって動物飼う時だけでしょ!!何回言えばわかるの!!」

「どうして飼っちゃいけないのよ!!」

「だ〜か〜ら〜!葵、甘えさせすぎてすぐ死なせちゃうでしょ!!!」

 

 おばさんと葵は掴み合うような勢いで言い合っている

 もしかすると葵がここまでキレたのはこっちに戻ってきて初めてみるかも知れない

 2人は俺とおじさんが入ってきたことにも気付かず言い合っていてソファに座るとおじさんがビールを持って横に座ってきた

 

「ぷはぁ・・・飲むかい?」

「いえ、いいです」

「それにしても珍しいなぁ。葵とお母さんが言い合いなんてするのは」

「そうなんですか?」

「ああ、輝くんが引っ越す前はたまにしてたんだけど、引っ越したあとはしなくなったからねぇ」

 

 おじさんは懐かしそうにしながら葵とおばさんの言い合いを楽しそうに見ていた

 でも、そろそろ本格的に掴み合いそうで勢いになりだしていた

 

「そろそろ止めません?あれヤバいと思うんですけど」

「ん〜俺は嫌だよ、輝くん経験は大事だよ、ほらっ頑張って」

「はぁ・・・わかりました。頑張ってきます」

 

 俺はソファから離れて葵とおばさんの間に入る

 

「そろそろやめましょうよ。葵、おばさんの言うことは正しいよ」

「なんでよぉ、輝もお母さんの味方なの!!」

「違うって、どっちの味方でも無い。ただ葵はおばさんの言う通り甘やかせすぎちゃうところがあるから育てるのは、そんな軽い気持ちでやるもんじゃないって言ってんの」

「軽い気持ちじゃないもん!ちゃんと考えたもん!」

「それでも、葵だけの気持ちじゃないだろ?動物飼うのは」

「むぅ・・・・」

 

 葵はついに諦めたのか言い返してこなくなり、後ろでおばさんが嬉しそうにしていた

 

「輝の家で飼えば、一緒に育てれるのに・・・楽しいと思うのに・・・」

「・・・・・・」

 

 葵は泣きそうになり、どんどん小さくなっていく

 俺は少し悪いことをしたかなぁと思ったが、これもおじさんの言った通り経験なのだっと自分に言い聞かせた

 

「一緒に育てれたら絶対楽しいし、子供みたいに可愛くなってくるのに・・・」

「楽しいだろうけど・・・」

「あら?輝ちゃんが育てるの?」

 

 後ろで嬉しそうにしていたおばさんが葵の近くに寄って聞くと葵は頷き、少しの間おばさんは考えて俺の方を向いて口を開いた

 

「いいじゃない。輝ちゃん育ててあげなさいよ、1人暮らしも寂しいでしょ?」

「は?」

「私は葵が育てると思ってたから反対したけど、輝ちゃんも一緒なら安心だわ。それに・・・あ〜やっぱり言わないでおこっと」

「何ニヤニヤしてんですか・・・俺は反対ですよ。

 なんで俺が葵の犬を育てないといけないんですか・・・俺の部屋せまくなるの嫌です」

「それだったら輝ちゃん、家に住めばいいじゃない。ほらっ輝ちゃん男なんだからシャキッと決めなさい」

 

 なぜかおばさんに攻められる形になり、とんでもないことを言い出す

 

「俺は住む気ないですよ、あの家気に入ってるんですから」

「それなら〜葵がそっちに住めばいいわ。あっそれだと同棲になっちゃうか、あははは〜」

「何言ってんですか!俺は絶対に葵がペット飼うの反対ですからね!」

 

 ここはなんとしても通さないといけない、俺のために・・・犬のために

 俺が絶対に折れないと思ったのかおばさんは少しの間また考えて思いついたのか二ヤと顔を緩ませた

 

「そういえば今週の金曜に歓迎会するのよね?競技は缶けりだったかしら?」

「なんで知ってんですか?」

「主婦の噂は周りが早いからねぇ。それで!その缶けりで勝った方が負けた方に一つなんでも命令できるってのどうかしら?」

「嫌です!俺はそんなのしません」

「あら、負けるの怖いのかしら?」

「勝ち負けの問題じゃないです、俺にメリットが見当たらないからですよ」

「メリットならあるじゃない。葵をお嫁にするとか、葵と一緒に住むとか、葵に裸エプロンさせるとか・・・」

「どれもする気ないですから・・・」

 

 おばさんの後ろでは頭から煙が出そうなぐらい顔を赤くしている葵とビールを飲みながら楽しそうにこっちを見ているおじさんがいる

 

「あらあら、勝ち負けとか言っちゃって〜昔、町中の不良に恐れられてたんでしょ?そんな人が葵なんかに負けちゃうんだぁ。カッコ悪〜い」

「そんな挑発なんかに乗りませんよ」

「それじゃ輝ちゃんに車買ってあげるわ、そうね〜エボとか。お父さんいいでしょ?」

「ああ、いいぞ。輝くんこれ以上いいもの無いと思うよ」

 

 とんでもない夫婦かもしれない・・・

 学校の行事でそれも缶けりで何百万もする車を賭けに出してくるなんて・・・

 俺は一瞬、あっいいかもしれない・・・と思ってしまったのがいけなかったのかもしれない

 

「その顔は決定みたいね。葵〜絶対勝ちなさい!それで輝ちゃんを家に住ませるのよ!」

「うん!絶対缶守り通す!」

 

 あっという間に事が進んでいき、俺の反対意見すら入れさせないスピードで葵、おばさん、おじさんの会話が進んでいく

 そして、俺と葵(裏で両親つき)の学校を巻き込んだバトルが今週の金曜に開始された

 


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