第7話
奥 優美(女)
翔の彼女で、葵の親友
輝がこっちに来て、始めての友達でもある
元気いっぱいでよく翔を引っ張り回している。
「それにしても、葵ちゃんが一緒に来るってメールが来たときは驚いたわ」
「だろうな。父さんは?」
「お仕事中。今日は早く帰るつもりらしいけど、どうかわからないわ」
「そっか」
車の中で、翔たちのことを話して、葵が来る経緯も話した
後ろの席ではまだ、スゥスゥと葵は寝ていた
「へ〜、でかい家に住んでるね・・・2人なのに」
「いいでしょう〜 もうこっちで住もうかと思ってるんだから」
「はぁ・・・そうですか・・・」
母さんは、かなりこの場所を気に行ったらしい
車の荷物を家の中に運び、葵を2階の部屋のベッドの上に置いて、一息ついた
しばらくして、2階から大きな音がした
「わっ何!?今の音」
「あーたぶん葵が起きたんじゃない。行ってくる」
2階まで行き、葵を置いた部屋の中に入ると
「て、輝!ここどこ!!」
慌てまくっている葵は俺のブンブンを揺さぶってきた
「いいから落ち着け。実は俺たち誘拐されたんだ・・・イテッ」
「何バカなこと言ってんの。葵ちゃんおはよう 久しぶりね〜」
母さんが後ろから、俺の頭を叩いて葵に挨拶をした
「あ、おはようございます!てことはここはもう海外・・・」
「そうだよ ようこそ、私の家へ」
葵と母さんはキャッキャッ楽しみながら1階降りて行った
父さんから電話で、そろそろ帰れるということを聞いて母さんは料理を始める
手伝おうとした葵は母さんに
「いいのよ 葵ちゃんはお客さんだし ゆっくりしてて」
と言われ英語しか喋らないTVを見ていた
「輝・・・英語しか喋らない・・・」
「そりゃそうだろ 英語圏だもん」
葵はそれでもTVから目を離さず見ていた
何言っているかわからないTVを見て何が面白いのだろう・・・
葵が変なアニメを見ていると、父さんが帰ってきた
「おぉ 輝来たか 葵ちゃん久しぶり」
「うん 来た」
「お久しぶりです」
父さんが帰ってきたので、夕食をワイワイ話しながら食べた、そのあともみんなで「こっちではこんなことがあった。そっちはどうだった」など話して時間をつぶした
「ふぁぁぁ そろそろ俺は風呂入って寝るわ 明日も仕事あるし」
「それじゃ私も」
父さんがそう言って風呂に入っていった。それに続いて母さんも一緒に行った
「輝のご両親ラブラブだね 一緒にお風呂なんて」
「いい歳して人前でキスするぐらいだしな〜」
ほんといつまでカップル気分なんだろ・・・
父さん、母さんが風呂から出てきて、次に葵、最後に俺が風呂に入った
そして、俺が風呂から出ると、葵はまた英語版アニメを見ていた
何が面白いんだ・・・
何分経ったかわからない。でもアニメが終わったから30分ぐらい経ったのだろう
さっきまでTVを見ていた葵が話しかけてきた
「輝 私全然眠くないんだけど・・・」
「そりゃあんだけ寝てたらな。それに日本じゃまだ昼間だろうし」
「うん・・・でもこっちはもう夜だよね」
「そうだな〜 明日ここらへん案内してあげるから そのために寝とけ」
「ほんと! わかった」
俺たちは各自の寝室に行って寝た
が、しばらくすると、葵が来て
「ね?起きてる?」
「ん?あー何?」
「あのね?飛行機の中で怖い映画見たの」
「うん で?」
「でね・・・怖くてね・・・」
モジモジして何かを言おうとしている葵の言葉を睡魔と闘いながら聞いた
「怖くて?」
「怖くて寝れない・・・」
「は?」
「だから、見た映画がホラー映画で・・・。怖くて寝れないの」
顔を真っ赤にしながら小声で言った言葉に俺はポカーンとしてしまった
「・・・・」
「ね・・・何か言ってよ」
「あっ・・・いや、お前小学生か?ホラー苦手なのに見て、それで寝れなくなったって・・・」
「だって・・・」
葵は今にも泣きそうな感じになっていて、これ以上言うと泣きそうなので俺は言えなくなった
「はぁ・・・わかったよ・・・ほら 寝るまで横にいるから・・・」
「うん!」
俺はベッドの端に寄り、スペースを開け、そこに葵が入ってきた
「えへへ」
「ん?何笑ってんの?」
「昔は、よくこんな感じで寝てたよね〜」
「あーそうだっけなぁ。ふぁぁ そんなことよりも、早く寝ろよぉ・・・」
「うん・・・でもね・・・」
それから葵が言った言葉はわからない。俺は少し眠っていららしく、気がついた時には葵は寝ていた
その寝顔は、昔とあまり変わっていなくて、体だけ大きくなった子供みたいな感じがした
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ふぁぁぁ〜」
俺が起きると、夜と同じように葵が横に寝ていた
気持ち良さそうに寝ていた葵を起こさずにベッドから出て、1階に降りるテーブルの上に置手紙があった
「ごめん 友達と遊びに行ってくる 母より・・・って意味わかんね」
息子がわざわざ海外に来てるのに、遊びに行くって・・・
特にやることもないので持ってきた小説を読む
しばらくすると、葵が起きてきた
「おはよ〜 ふぁぁぁ〜」
「おはよう」
「輝。今何時?」
「こっちの時間で10時」
「そっか」
葵は頭をポリポリ掻きながら、俺の横に座ってきた
「おばさんは?」
「友達と遊びに行った」
「えっ じゃ案内は誰がするの?」
「んー俺」
「えー大丈夫?」
「まかせろ んじゃお前のその寝ぐせ直したら 行くぞ」
「うん 待ってて」
葵は所々髪の毛がハネている頭を押さえて、寝癖を直しに行った。