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第63話

 今、葵と手を繋いで横に歩いている子は、五十嵐 芽衣(いがらし めい)という名前で、最近ここに引っ越してきた子だと言う

見た目は高校生に見えない

 むしろ小学生並みの小ささで、身長を聞くと

 

「143cmです・・・高校生にもなって小さいですよね・・・」

「うっ・・・」

 

 と泣きそうな顔で言ってきた

 俺が173cmで葵が160cmだから、その間にいる芽衣ちゃんは子供のような感じだ

 それにまとっている雰囲気でもっと小さく感じる気がする

 

「芽衣ちゃんはこれから伸びるよ。きっとね」

「本当ですか?葵さん」

「うんうん。きっと伸びる。ねっ!輝」

「ああ、これからだよ」

 

 芽衣ちゃんはパァっと顔を明るくして嬉しそうにしていた

 しかし、そんな雰囲気が歳より若く見えてしまいやっぱり小学生なのではないのか?と思ってしまう

 

 俺と葵と芽衣ちゃんは、葵を「お姉ちゃん」とか色々呼ばせてみたりして遊びながら歩いて学校に着くと、やっぱり遅刻していたためほとんどの新入生は教室に入っていた

 すると横でまた泣きそうになる芽衣ちゃんを慰めながら一緒にクラス表を見て、その教室まで案内することにする

 

「大丈夫だよ、遅刻なんてこれから何回もするんだから。それに俺だって転校初日は遅刻しかけたし」

「輝・・・それ慰めになってないよ。芽衣ちゃん私たちも行くから行こ」

「うん・・・」

 

 俺たちは芽衣ちゃんのクラス1-3の教室まで行くとと中から色んな声が聞こえる

 

「先生は一旦帰ったみたいだな」

「そうみたいだね。今がチャンスだよ、芽衣ちゃん」

「・・・うん」

 

 やっぱり引っ越したばかりで知らない人ばかりの教室に入るのさえ緊張するのに、遅刻すると更に入りずらいだろう

 葵も同じことを思っているのか俺の方を見て、何かしてあげてほしいと目で俺に送ってくる

 

「・・・はぁ・・・またか・・・わかったよ」

 

 俺はこの状況から脱するために、意を決してある行動をする

  

「こんにちわ〜、ご入学おめでとうございます〜」


 ・・・・・・見事にすべった・・・ 

 俺は教室の中に入るとさっきまでザワザワしていた教室が一気にシーンとなった

 そして、生徒たちは俺の方をじーっと見てくる

 

「・・・・」

 

 目線が痛い・・・

 あと葵さん・・・後ろで肩を震わせて笑わないでください・・・

 芽衣ちゃんは俺の後ろでクスクス笑いながら声を出さないように我慢していた

 まぁ緊張がほぐせたならいいけど・・・目線が痛い・・・


「・・・もう耐えられない・・・・芽衣ちゃん・・・ごめん、逆に目立った」

「ぷ、ぷぷ・・・輝・・・おもしろすぎる。それじゃ輝はほっといて芽衣ちゃん一緒に入ろうっか」

「はい」

 

 葵と芽衣ちゃんは俺の横を通り抜けていくが生徒は変わらず俺の方をじーっと見ていた

 そして、芽衣ちゃんは自分の席に座り終わると葵が俺の近くに来る

 

「輝、もういいよ。おじゃましました〜」

「・・・・・・」

 

 葵は固まっている俺の手を引いて教室から退出する

 しばらく羞恥で俺は固まっていたけど自分の教室近くまで来るとようやく解けた

 

「輝、まさかあんな行動に出るとは思わなかったよ」

「・・・もう忘れてくれ・・・」

「あははは、お母さんに話そっと」

「それだけは絶対やめてくれ・・・」

 

 葵は笑いながら教室のドアを開けて一緒に中に入ると教室の中の生徒たちが、さっき同様こっちを見ていた

 そして2年のときと同じ先生がこっちを見てため息を吐く

 

「はぁ・・・遅刻して笑いながら、それも仲良く一緒に登校とはなかなか見せつけてくれるじゃないか中村、北谷」

「あ、いや!これにはちょっとした理由が!さっき輝が!」

 

 葵はあたふたして、さっき起きたことを口にしようとしていたため俺はそれを言わせないために葵の肩に手を置いて俺に引き寄せる

 

「妬いてんの?先生」

「あ、わっ!何言ってんの!輝」

 

 葵は顔を真っ赤にしていた

 そして、奥のほうから聞き覚えのある声がする

 

「ひゅーひゅー。熱いね〜」

「ほんとほんと、見せつけてくれるね〜」

「うるさい、翔たちよりマシだ」

 

 葵は顔を赤くしたまま固まり、それを引っ張りながら空いている席に座らせ、その隣に俺は座ると先生は呆れたようにため息をついて、黒板に何か書き出した




 

 


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