第62話
3年生になりました!
PiPiPi・・・PiPiPi
近くでいつも朝に聞いているアラーム音がして、手を伸ばす
これが昨日春休みを明けて学校がある俺の朝起きるリズムだった
しかし今日は何故かアラームが鳴らない
頭の奥で疑問が起きて、それがどんどん大きくなり俺は体を起こした
そして、携帯を見ると誰かのいたずらなのかアラーム設定が解除され、その代わりなのかメールが5通来ていた
「・・・このイタズラは最悪だな・・・」
嫌がらせをした犯人からのメールには
1通目
−びっくりした?
輝なんか新学期早々遅刻すればいいんだよ〜−
2通目
−このメール見てる暇あったら急いだ方がいいよ−
3通目
−まだ起きてないの?
本当に遅刻するよ?−
4通目
−起きろ〜遅刻するよ〜
いつもの場所で待ってるから早く−
5通目
−まだ起きてないの?
早く起きないと私まで遅刻するよ・・・−
なんというか・・・可愛いと思ってしまった・・・
時間を見ると遅刻ギリギリの時間帯で急いで制服に着替えて、待ち合わせの場所まで走った
家から出て少し走って、いつもの場所に向かうと1人椅子に座って寂しそうに携帯を触っていた
「はぁ・・・はぁ・・・葵、後悔するならあんなイタズラするなよ・・・」
「だって・・・」
「はぁ・・・ふぅ・・・ほら、学校行くぞ」
「うん」
時計を見ると今から走っても遅刻決定なのでゆっくりと歩く
「そういえば、クラス分けってどうなってんだろ?」
「輝は昨日休んだから知らないんだっけ?私と同じだよ」
「そっか。でも、まさか葵が持ってきたプリンが2週間も賞味期限切れだったとは思わなかったなぁ・・」
「も〜だからゴメンって言ってるでしょ」
いつもと変わらないぺースで葵と歩いていると前の方に何やらもめている集団があった
「・・・っておいて謝るだけで済むと思ってんの?」
「・・・・で払ってくれるわけ?」
最初の方が聞き取れなかったが、不良みたいな人たち2人が1人の女の子相手に囲んでいるのは見てわかる
「ねぇ輝・・・」
「ん?」
葵は俺にあの子を助けてあげてほしいと言っている感じでこっちを見ている
正直、あーいうのはもう関わりたくないのだが、ここで黙ったまま見てないことにするのもアレな感じだ
「・・・はぁ、わかったよ・・・その代わり、今後あんなイタズラしないって約束な」
「うん」
葵はキラキラした目で俺を見てきて、それがさっき悩んだ俺にはまぶしかった
そして、俺は葵をその場に置いてもめているところに向かう
「あの〜・・・」
「ああ゛!なんだガキ!」
遠くで見た通り、頭の悪そうな不良さんで、脅せばなんでもできると思っている感じの人だった
そして、そんな人たちに囲まれている女の子は俺らと同じ学校の制服を着ていて、すでに目から涙が流れていた
「さっさとこっから消えろ!ガキには関係ないんだよ!」
「でもさ、そんなか弱い子相手に囲んでたら可哀そうだよ。ね?」
「はぁ?何が“ね?”だよ。ガキはさっさと学校行っとけ」
「だから、そんなにカリカリしちゃダメだって、頭悪くなるよ?お兄さん達。それにこの子も同じ学校だし」
別に煽ったつもりはなかったのだが、頭の悪そうな不良さんたちの顔はさっき以上に怒ったような顔になり俺との距離を縮めてきた
「あのさ今、俺の彼女そこにいるから負けられないんですよ。それに朝変なイタズラされてちょっとムカムカしてるんですよ」
俺はさっきの場所にいる葵に聞こえるように声のボリュームを上げると、聞こえたのかビクっと葵の体が震えて、電信柱の陰に隠れた
「何いきなり大声出してんだよ、きもちわりぃ!死ね!」
不良の1人が俺に殴りにかかってきたが、サラリと避ける
正直、本気で喧嘩をすればすぐに収まるんだけど喧嘩はなるべくしないようにしているのと、久々の雰囲気に俺は遊びながら攻撃は避けていく
「うぜぇ!うぜぇ!うぜぇ!」
蹴りとパンチとか避けたり受け流したりしていると、ますます不良さんたちの顔が赤くなっていき、ついにナイフを取り出した
「ちょ、ちょっとそれは危ないですって」
さすがにナイフまで出されると俺も危険を感じるために、少し本気で避ける
何度か避けているともう1人の不良に捕まってしまった
「これで避けられねぇぜ!」
ナイフを持った不良は勝ち誇ったような顔で俺のところに近づいてきた
しかし、あと数歩というところで急にビビったような顔になって青白くなっていく
「あ、あ・・・」
ナイフを持った不良はナイフを落とすとドカッと尻もちをついた
俺はその目線が気になって俺を捕らえている不良の腹に肘打ちをして、後ろを向くと楽しそうな顔をしながらこっちに向かって歩いてくる空がいた
「輝〜、相変わらずよく避けるな〜ゴキブリか?」
「こらっ私たちを引き合わせてくれた人だよ!ごめんね北谷君」
空の横には岡村さんがいて、空にべったりくっついていた
「で、なんで輝が喧嘩してんの?」
「・・・この人たちが葵を襲った」
「嘘つけ、それだったら今頃そいつら死んでる」
「そこまではしないって」
俺と空が仲良く話していると葵が俺に飛びかかってきた
「大丈夫?輝、怪我してない?」
「ああ、大丈夫」
「よかった」
「おぉ〜輝も見せつけてくれるね〜」
空はニヤニヤしながら俺たちを見ていていると横にいた岡村さんが頭を叩く
「それより、こいつらどうするの?空」
「どうしたい?由美」
「ん〜・・・一発かな」
「了解」
「ひっ!」
空は笑いながら不良のところに歩いて、ごめんね、と言ってから腹に蹴りを軽く入れて行く
そして、不良の耳元でコソコソ言うと顔がさっき以上に青くなって2人とも逃げ出した
「んじゃ俺たちはこれで」
「遅刻しないようにね〜それじゃ葵ちゃん学校で」
「うん」
そういうと2人は空の車に乗って走っていった
葵は車が見えなくなると、不良に絡まれて怯えて縮こまっていた女の子のところに行って何か声をかけていた
そして、しばらくすると女の子の震えが止まり、立ちあがって葵と一緒に俺のところに来た
「この子、新入生だったんだって。それで登校中にさっきの人にぶつかっちゃったんだって」
「それで絡まれてたのか・・・気を付けたほうがいいよ」
「・・・はい」
「それじゃ一緒に行こっか」
葵は女の子の手を取って歩き出すとちょこちょこと歩きだした
最近、話が思い浮かばない日が続いてます・・・
まぁ4話分ぐらいあるのでまだ大丈夫なんですけどね(笑)
ってことで輝たちも3年生になりました。
これからもよろしくお願いします