第56話
地獄の正月も終え俺の親も海外に帰り、残りの冬休みはある意味地獄だったが、無事3学期が始まった
「えーっと冬休みを充実した休みにした生徒は俺が怨みます、今日から3学期。がんばれ俺!」
担任はそんなことを言って3学期初めてのHRは終わった
先生は冬休みに何があったんだろう・・・
HRが終わるとクラスメイトのほとんどが俺のところに集まってきた
「な、なんだよ・・・」
「ねぇねぇ北谷君って葵ちゃんと付き合ってるってホント?」
「なっ!」
「あっ!その反応は本当なんだ〜やっとか〜おめでと〜葵ちゃん!」
俺のところに集まったクラスメイトは葵のところに行ってしまって1人残された
そして、葵はクラスメイトに囲まれ困ったような嬉しいような表情で皆から祝福を受けていた
「あ〜もうかなり広まってるよ」
「な、なんで?」
「さぁ?なんででしょう。でも皆知ってるよ」
翔はニコニコしながら噂の発信源がわかっているようで、その発信源を庇おうと話を続けた
「まぁいいんじゃない?どうせバレるのは時間の問題なんだし、それより輝、葵のこと気をつけときなよ」
「そのことはもう大丈夫だよ」
「なんで?」
翔は不思議そうな顔をしてくる
「ある人に頼んだら解決したから」
「ある人って?」
「ある人。これ以上は言えない約束」
「ふ〜ん」
ある人。
それは俺の友達で、元彼女 涼香のお兄さん、空だ
俺は、修学旅行から帰ってすぐ空に電話をかけた
そして、内容を説明すると
「任せろ。そいつを殺ったらいいのか?」
「なんでそこまで行く・・・普通に注意程度でいいよ。注意程度で」
「・・・・わかった。注意程度にしとくよ」
空は少し笑ったような感じで電話を切った
それから1週間後に空から電話が来た
「解決したぞ」
「ありがと。どんな注意した?」
「俺に惚れさせた」
「は?」
「だから、俺に惚れさせた」
「意味が分からないんだけど・・・」
「いざ会ってみるとカワイイんだな。岡村って子」
俺は顔を思い出そうとしたがよく覚えていない
しかし、可愛かったのはなんとなく覚えている
「その岡村さんは空に惚れたと?」
「ああ。今じゃ両想いだぜ。それに良い根性してるじゃないか、おまえに復讐しようとしてたんだから」
「それはどうか知らないけど・・・まぁ解決したんだよな?」
「ああ。んじゃこれからデートだから。いつかダブルデートしようぜ!じゃ」
空から電話をもらった次の日、岡村さんと学校で会うと俺にお礼を言ってきた
「空さんと会わせてもらってありがとうね。北谷君」
「え・・・あ、うん」
「それじゃ葵さんとお幸せに」
「・・・うん。そっちも」
それで本当に空と付き合ってることがわかって安心し、俺は普通に過ごしていた
それから数日後、空と岡村さんが楽しそうに笑いながら乗っていた車が警察に追われているのを見たのはたぶん気のせいだろう