第48話
公園のすごい景色に見とれている葵を横に俺は覚悟を決めて、葵に話しかける
「葵、ちょっと聞いてほしいことあるけどいいか?」
「ん?何?」
「えっと・・・その〜・・・」
さっき覚悟を決めたはずなのに早くもぐらつき始めている
ここではやめようかと思ったが、ここでやらなければたぶん一生できないような気がするので再び覚悟を決めた
「俺は葵のことが好きだ。こんな俺だけど一緒に居てくれないか?」
自分でもびっくりするほどシンプルに言ってしまった
この公園に来るまでにいろんなことを考えていたのに、ここに来てこの景色を見たらそんなことはぶっ飛んでしまった。
そして、俺は葵の答えが出るまで葵を見ないでおく
というか、見れなかった
すると、横にいた葵がいきなり泣き声がした
「う・・・ひっく・・・」
「ちょ、ちょっとなんで泣いてんのさ」
「だ、だって・・・ひっく・・・うれしかったから・・・」
笑ってるのか、泣いてるのかよくわからない表情で葵は俺のほうを見てきた
俺はハンカチを出そうとしたが、持ってきてなかったので、服の袖で葵の涙を拭き取る
「ほらっもう泣くな。んで、返事は?」
「はい。よろしくお願いします」
「それOKなのか?」
「あはは。うん、もちろんだよ」
俺と葵はお互い笑顔になり、さっきとは違い、俺と葵は手を繋いで神秘的な景色を見る
こうして告白できたのも、この場所と雲の上で見ている涼のおかげだ
俺はこの二つに感謝をしながら景色を見ていた
「輝、そろそろ帰らないと怒られるんじゃない?」
「ん、あーそうだな。帰るか」
かなりの時間、この公園にいたのか携帯で時間を見ると10時をまわっていた
俺と葵は公園から出ようと歩き出した時に、俺はふとあることを思い出した
「葵、ちょっと待って。忘れてた」
「どうしたの?」
「ちょっと目瞑ってくれない?」
「なんで?」
「いいから」
葵は疑いの目で俺を見てくるがそれでも言い続けた
「何するの?」
「この前、葵に言われてもできなかったけど、今ならできるから。ほら、目瞑って」
ここまでしつこく言われて、葵も懲りたのか目を瞑ってくれた
そして、俺は葵の手を引いて、すぐそばまで来させる
「きゃ。何?」
「あの時はごめんな。だからそのお返し」
「!?」
俺は目を瞑って葵にキスをした
文化祭のとき、俺は葵にあそこまで言わせておいて逃げた
葵には悪いことをしたと思っているけど、あのときの俺はまだ決心ができてなかった
だけど今は違う
ちゃんと自分の本当の気持ちを言えたし、そして葵とも付き合えた
だから俺は葵にキスをした
あの時のお返しと今までの感謝を込めて
キスが終えたあと俺は葵を抱きしめた。
なんとなく、ただなんとなく無性に抱きしめたくなった
しばらく俺と葵は抱きしめ合い、その間沈黙が続いていたが、その沈黙を破ったのが葵の方だった
「・・・・私のファーストキス・・・あんな形でするとは思わなかったなぁ・・・」
たぶん本人は独り言のつもりだったのだろうが、ちゃんとその言葉は俺の耳に入ってきて、俺の心に刺さった
「ゴメン」
「え?い、いや良いよ」
「いや、葵のファーストキス取っちゃったんだし、代わりと言っちゃなんだけどなんでもするよ」
「別にいいよ」
「本当か?」
葵は少し考えていた
「・・・そ、それじゃ・・・」
「ん?何?」
「・・・して」
俺は葵が俯いていて小さな声だったので何を言ったかわからない
「またキスしてほしい・・・」
「え・・・」
「ダメ?」
「いや、それでいいの?」
「・・・・」
葵は小さく頷いて目を瞑り少し背伸びをして高さを合わせてくる
俺も目を瞑って、そのまま葵の口に合わせた




