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第45話

「腹減った・・・」

 

 葵の看病をしていて晩御飯の時間を通り越してしまい、食えなかった

 翔曰く“すんごいうまかった!”らしい

 言った時の翔の顔は今でも忘れられない・・・

 

 それから翔は優美を遊んでくると言って部屋を出ていって、俺は再び葵の看病をしている

 

 

「ん・・・んん・・・」

「あ、起きたか?」

「ん〜・・・・」

 

 ベットから上半身を起こして、薄眼で部屋を見渡している

 そして、見渡し終わるとまた布団の中に入っていった

 

「葵、服着替えろ。優美に持ってきてもらってるから」

「ん〜」

 

 葵は再び上半身だけ起きて、バンザイのポーズをとった

 

「何してんの・・・?」

「・・・・・ん」

「葵〜起きろ〜」

 

 目をつぶったまま、バンザイのポーズをしているため、たぶん寝ボケているのだろう

 そして、俺は今の状況を分析する

 

 1.部屋には俺と葵だけ

 2.俺が起きて着替えろと言った

 3.葵が寝ボケているときは子供みたいな感覚

 4.葵はバンザイのポーズをした

 

 つまり・・・・・

 

「バカたれ。いつまでも寝ボケてないでさっさとタオルで体拭いて着替えろ」

 

 俺は分析の答えを出し、葵の行動の意味がわかったため葵の服とタオルを葵に投げつけて、自分の着替えを持って部屋の風呂に入った

 

 俺が風呂から出てくる頃には葵は着替えを完了していて上半身だけ起こしていた

 

「今度こそ起きたか?」

「うん。なんで服違うの・・・・・・もしかして輝が?」

「ち、違うよ!自分で着替えたんだろ!」

「そんな怒らなくても・・・」

「ご、ごめん」

「謝らなくても・・・」

 

 少しの間、葵と目を合わせられなかったが、そんなものは気合でぶっ飛ばし葵に飲み物を渡す

 

「ほら、飲んどけ」

「うん。・・・・ぷはぁ」

「お前は風呂上がりのおっさんか・・・ほら」

「ん・・・」

 

 そう言いながら葵のデコに手を当てる

 だいぶ温度も下がってきた感じだったが一応体温計で測らせる

 2〜3分後に体温計が鳴って見ると、37度まで下がっていて、もう安心だった

 

「よし。どうだ?体ダルイとか?」

「ん〜だいぶマシになったかなぁ。あ・・・お腹減った」

「大丈夫そうだな。それじゃ何食いたい?」

「ん〜焼きそば」

「りょーかい。んじゃ行ってくる」

 

 部屋から出て外に向かおうとすると先生に出会った

 

「お〜北谷、中村はどうだ?」

「もう大丈夫ですよ。37度まで下がったので」

「そうか。お前これからどこに行くんだ?」

「夕食、食えなかったんで葵と俺の分の晩御飯を買いに」

「そうか。それは可哀そうにな。まっ明日の飯でも期待しとけや。じゃあな」

 

 明日の飯は俺たちだけ豪華にでもなるのだろうか?

 ・・・・まぁそれはないな

 

 俺は外に出て寒い中、近くのコンビニまで早足で行った

 コンビニの中は外と違い、温かくいつまでもそこに居たかったがそういうわけにもいかず葵の焼きそばと適当にパンとおにぎり、そして飲み物を買ってまた寒い中、早足で部屋に戻る

 

 

「寒かった〜・・・凍死しそうだった」

「おかえり〜。あった?焼きそば」

「あったよ。一応温めてきた」

「ありがとう」

 

 コンビニで温めてきたからほんのりと温かく、俺の晩御飯のパンもおにぎりも少し温かかった

 葵に箸を渡して、おいしそうに焼きそばを食べるのを見て、俺もパンを食い始める

 すると、葵はこっちのほうを見て不思議そうな目をしていた

 

「輝ってそんなに大食いだったっけ?」

「ん?あ〜食べてないよ、夕食」

「・・・・私のせい?」

「んな顔するな。自分でやるって決めたんだし別に気にしてないよ。それよりさっさと焼きそば食わないと冷めるぞ」

「うん」

 

 まったく気にしていないというのは嘘になるが、別に葵を責めようなんて思わない

 さっきも言った通り自分でやってることだ

 でも、あの翔の顔は今でも忘れられない

 

 だからなのか、いつも買うメロンパンでは無く、ちょっと高めの高級メロンパンを買ったのだが・・・俺的にはメロンパンというのは上がクッキーみたいなサクサクしていて、中はふっくらしていて、メロンの味はあまりしないのがメロンパンなのだが、今食べている高級メロンパンはどっちかって言うと『メロン風パン』みたいなメロンの味が出過ぎていておいしくない

 

 半分食べたところでメロンの味に飽きてしまい、そのまま残して他のパンに手を出していた

 

「輝、メロンパン食べないの?好きなのに」

「もういらない。あげる」

「じゃもらう」

 

 葵はメロンパンをパクッと食べて、すぐになぜ俺が残したのかわかったらしい

 

「これ、メロンの味すごいね」

「だろ。メロンパンじゃない」

「でも、おいしいよ」

「まぁメロンパンじゃなかったらおいしいと思うけど、味濃すぎて飽きた」

 

 今食べているクリームパンのほうが数倍おいしいと思える

 値段はクリームパンのほうが安いのに・・・

 

 ちょっと後悔したが、それよりも葵が元気になって良かった

 

 

 


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