第44話
「疲れた〜・・・寝よ」
全身の神経が疲れているようなダルい体でベッドに飛び込む
ふかふかのベッドは飛び込んだ俺の体を柔らかく受け止めてくれ、そのまま夢の世界まで行かせてくれる
でもあと少しで夢の世界にいけたのに、部屋のベルが鳴った
「はぁ・・・開いてるよ〜」
俺は動きたくないからベッドから叫ぶ
すると部屋のドアが開いて入ってきたのは葵だった
「輝、さっきはごめんね」
「それ言いに来たの?」
「うん」
「いいよ。2人とも無事だったんだし」
「うん・・・」
葵はわかってるのかわかってないのかよくわからないが、テンションが低い
「なんかテンション低いけど、どうかした?まぁとにかく座れば?」
「うん・・・」
葵は俺のベッドに上り、俺の横に座った
遠くではあまりわからなかったが、少し葵の顔が赤い
そして、呼吸が速いのでおかしいと思い葵のデコに手を当てる
すると、凄く熱かった
「おまえ熱あるじゃんか」
「・・・そうなの?」
「そうなのって・・・とりあえずここで寝ろ。えーっと・・・」
葵を俺がさっきまで寝ていたベッドに寝かせ、桶に水を入れてきてタオルをその中に入れて水で濡らし、葵のデコの上に乗せる
「冷たい・・・」
「いつからだ?しんどかったの」
「・・・バスに乗ってるときにしんどかったけど・・・寝たら大丈夫になったの・・・でもさっき部屋に戻ったら急にしんどくなって・・・でも、さっきのこと謝らないといけないと思って・・・」
「そっか、わかった。とりあえず今は寝ろ。そばに居てやるから」
「うん・・・」
俺はベッドの横に椅子を持ってきてタオルが温まると取り替えるの作業を続ける
「輝」
「ん?」
「あのね・・・・やっぱり、なんでもない」
「そっか」
葵は何か言おうとしたが途中でやめる
でも俺はなんとなく雰囲気的に葵の頭に手を乗せる
すると葵はビックリしたような顔でこっちを見てくる
「やっぱやめようか?」
「ううん。そうしてて」
「わかった。おやすみ」
「うん。おやすみ」
それから、葵はぐっすりと寝てしまい、俺はコッソリと頭から手を離し、近くのコンビニまで行き風邪薬と飲み物を買って部屋に戻った
部屋に戻ると葵はまだぐっすりと寝ていた
俺はこのことを先生に言うか言わないかを迷ったが、もしものことがあるかもしれないので一応担任に電話をする
「おぅ。なんだ?」
「えっと、葵、じゃなくて中村が熱出してんですけど」
「何度ぐらい?」
「最近測ったので、38度です」
「ふ〜ん。・・・んじゃ北谷、おまえ看病してろ」
「はい?」
「だから〜看病してろって、おまえらベストカップルなんだろ?んじゃ俺はバカどもの監視があるから切るな」
先生はそう言って電話を切った
なんつー先生だ・・・
まぁ言われなくてもやるけどさ・・・
それからはタオルの置き換えたり、葵が起きると買ってきた飲み物を飲ませたりして時間が進んでいく
葵の熱が発覚してから、しばらく経つとスキーで遊んでいた翔が部屋に戻ってきた
「あっ・・・ごめん・・・部屋間違えた?・・・なわけないよな・・・もしかして、お邪魔だったかな?」
翔が入って俺にかけた第一声はこれ
それもニコニコしながら
「間違えてねーし、邪魔じゃねーよ。勘違いすんな」
「あれ?葵どうしたの?」
やっと翔は葵の状態に気がついた
「熱出てたから看病してんの」
「ふ〜ん」
翔は特に興味を持つわけでもなく、着替えの服を持って部屋の風呂に入っていった
それからしばらく経って、優美が俺の部屋に入ってくる
「葵こっちにいる〜・・・っていた」
「せめて、ベル鳴らせよ。普通に入ってくんな」
「なんか葵辛そうだね〜。うわっ熱い!大丈夫?葵」
「無視すんな・・・それに葵寝てんだから静かにしろ」
「あっ輝いたんだ」
「無視以前に気がついてなかったのか・・・」
こいつはバカという枠には入りきらないみたいだ・・・
そして、ちょうどそのバカの枠を通り越した子の彼氏が風呂場から出てくる
「翔〜」
「知ってるよ優美。ちょっと俺ら外に出とこう」
「うん」
さすがカップルと言ったところか。
名前を読んだだけで意味を理解した
翔たちが外に出るときに俺は翔に手をあげて感謝の気持ちを表し、翔もそれがわかったのか笑顔で返してきた
そして、翔と優美は部屋の外に行った