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第43話

 

 お父さん、お母さん 北海道は寒いとです

 あまりの寒さに一日目は外に出られなかったとです。

 正直言うと一日目は北海道の寒さと部屋の暖かさで体が重く感じてベッドで寝ていた

 

 

 

「今日はスキーに行くんだよな?」

 

 2日目になって、先にスキーに行ってあとに町を観光するツアーと先に町を観光したあとにスキーをするツアーの2組ある

 先にスキーの方は3日間スキー場の近くのホテルに泊まる

 

 そして、俺たちはスキー→観光の方を選んだ

 

 バスの中で俺たちはスキーかスノボーのどっちにするかを話し合う

 

「輝はどうするんだ?スノボーか?」

「うん。スキーできないし、翔は?」

「俺はどっちもできるけど今回はスキーかな」

「葵はどうするの?」

「私はね〜、翔にスキー教わるの!」

「優美には聞いてない」

「翔〜輝が虐めるよぉ」

「輝!俺の優美をいじめるな」

「お前ら何なんだよ・・・」

 

 翔も優美も俺を虐めることをなんか物凄く楽しそうにしている。そしてイチャイチャする

 それを見てイライラしたが無視をした

 

「私はスノボーに挑戦してみたいなぁ」

「ふ〜ん 挑戦ってことは未経験?」

「うん スキー場に行くのも初めてだよ」

「ふ〜ん そうなんだ」

 

 葵は目をキラキラしながら話していた

 まさかこの後に悲惨なことがあることも知らずに・・・・

 

 

 

「いたっ!!!」

 

 また葵がコケた

 これで何回目だろう・・・

 

「輝〜助けて〜」

 

 今度はコースを外れて雪の深いところに行ってハマっている

 

「葵〜スキーしてみない?」

「嫌っ!絶対輝みたいに滑る!」

 

 何度もこの会話をしている

 俺みたいに滑れるようになるまであと何年かかるんだろう・・・

 ちょっと進んでは尻もちをついて、またちょっと進んでは尻もちをつく

 

 一方、スキーの優美はスイスイと翔と共に滑っている

 優美はバカだけど運動神経だけはあるみたいで、かなり早く滑れるようになったみたいだ

 

 

「葵〜やっぱスキーの方が楽しいって」

「嫌!絶対輝みたいに滑るの!」

 

 なんなんだろう・・・この子供みたいな言い方は・・・

 

「ほらっ、それじゃまず膝を少し曲げろ。そんで手前を見るんじゃなくて行きたいところを見る。そうだな・・・自転車乗る感じかな」

「わかった」

 

 葵は立ってまた滑り始める

 今度はちゃんと滑っている

 

 葵の後ろを追うようにゆっくり滑っているとドシャーとすごい音がした

 葵が綺麗にボードではなく、尻で滑っている

 

「もう嫌〜・・・帰る・・・」

 

 ついに諦めた・・・

 

「葵、やめるのはいいけど下まで行こう。じゃないと戻れない」

「うん・・・」

 

 しょんぼりしている葵はボードから足を離して、持って下に降りようとする

 そして、その横で俺はボードを横にして、ブレーキしながら葵と同じスピードで降りる

 

 さっきまでしょんぼりしていた葵の顔が俺の姿を見て何か思いついたのか顔を輝かせた

 

「ねね!輝、自転車みたいにそれ2人乗りできないかな?」

「は?バカかお前・・・無理に決まってるだろ・・・」

「なんで?不可能じゃないよ。私が輝に掴まって、輝はそのまま滑ればいいんだから」

 

 簡単に言ってくる・・・

 実際2人乗りをした人はいるだろう

 でもその2人はちゃんと2人とも滑れる人だ

 だから、できる技であって、葵を乗せてなんて無理に決まっている

 

 でも今の葵には、輝は何でもできる!みたいな感じで俺を見てくる

 俺も『もしかしたら・・・』と思えてきた

 やっぱり俺は葵に甘いのかな・・・・

 でも、2人乗りなんてして、派手にコケたら大けがは間違いない。

 

「やってもいいけど、そのボードはどうするんだよ。さすがにそれを持っては無理だぞ?それが無くなったらやってやってもいいよ」

 

 我ながら良い言い方だ

 葵のボードは借りているので、そこらへんに捨てるわけにもいかない

 だから、2人乗りも不可能になる

 

 

 

 

 

 

 はずだった・・・

 

「いいよ。ストック無くても滑れるし。持って行ってあげる。それに面白そうじゃん。スノボーの2人乗りなんてさ」

 

 そうこの翔の言葉を聞くまでは・・・

 

 

 まさか、ボードを持ってスキーをできるほど翔の腕があったとは思わなかった

 結構な重さがあるから、バランスを取るのも難しいだろう

 でも、葵からボードを受け取った翔は簡単に滑って見せた

 

「輝!ほらっやろ!」

「マジか・・・本当に危険なんだって葵。やめようよ」

「大丈夫。大丈夫。輝ならできる」

 

 いつもの葵じゃない。涼が乗り移った・・・

 

 葵は俺を止めて、前足のほうのバインディングを外して、自分のをつけた

 

「本気かよ・・・わかったよ。覚悟決めた。ほらっもっと俺にくっ付け」

 

 覚悟を決めてなるべく葵とくっ付く

 ウェアごしだけど、葵の体の温度が感じとれる

 

「いくぞ。葵は俺の言うことをちゃんと聞けよ」

「うん。頑張る」

 

 俺と葵は2人で1つのボードに乗ってゆっくりと滑りだす

 正直こんな滑ることに神経を使っているのは初めて滑ったとき以来かもしれない

 

 周りの人たちは俺たちの奇想天外な行動にビックリしながらも楽しそうに立ち止まって見ている

 中には応援してくれる人もいる

 

「いいぞ〜頑張れ〜兄ちゃん」

「すげぇー2人乗りだよ・・・」

「Nice Fight!」

「すごーい」

 

 そんな声がいろんなところから聞こえる

 そして聞き覚えのある声も聞こえた

 

「わわっ 輝と葵なんで2人乗りしてんの!すごい!すごい!」

 

 バカ(優美)だ・・・

 

「おいっ!優美!頼むから離れてくれ!」

 

 正直近くに来られると怖くて仕方がない

 普段の1人乗りならまだマシだけど、今回の葵との2人乗りで近くに来られるとコケたときに巻き込んで、大けがの元だ

 ただでさえ、危険な行為をしているのだから、さらに危険が来るのはゴメンだ

 

 

 だから応援してくれる人や他の人たちは離れたところから見てくれているし、滑ってくれている

 

「優美、ほんとに危険だからヤメな。こっちにおいで」

 

 後ろで俺たちの行動を見ていた翔が真剣な声で言うと優美もわかったのか、離れてくれた

 

 

 そして、それからかなり時間が経ったころに俺と葵は無事に下まで下りれた

 もちろん、降り切ったときには、皆から拍手喝采

 

 色んな人に俺は握手を求められたぐらいだ

 たぶん俺が葵にいろんなことを命令していたから、葵は滑れない人だとわかったのだろう

 そしてその滑れない人と2人乗りをしているバカはたぶん世界で俺1人だ

 こんな珍しい奴はいない。だから皆、握手を求めてくるのだ

 

 

 

 しばらくして、俺の周りに人がいなくなると翔が近づいてきた

 

「輝おつかれ」

「おぅ ほんとに疲れた・・・」

「ゴメンな」

「何が?」

「優美のこと」

「あ〜気にすんな、無事に下りれたんだし」

 

 本当にそうだ。

 無事に下りれたことが奇跡みたいなものだから・・・

 

「俺もう疲れたし、ホテル戻るわ・・・」

「うん。それじゃ」

 

 翔と別れて、ベースセンターのお風呂に入って体を癒し、普通の服に着替えてホテルに帰った

 


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