第42話
俺たち学生は飛行機の搭乗準備が完了するまで1つの部屋で待っている
学生の一部は飛行機を見て写真を撮ったり、キャッキャッと騒いでいる
そして、もう一部では、飛行機を何回か乗ったことがあるのか、椅子に座って友達と話したりしていた
「うわっ!すご〜。私、飛行機って初めてなんだよね〜」
「優美は初めてなのか」
「翔は乗ったことあるの?」
「一回だけね」
俺の右隣で飛行機を撮ろうとしているカップルが話している
左隣にはスゥスゥと寝息を立てて寝ている奴がいる
「お前ら、はしゃぎ過ぎ」
「輝に言われたくないね!何回も乗ってるブルジュアめ!」
「ブルジュアって・・・ただ親の友達が海外にいて、そこにホームステイさせてもらってるだけじゃん」
「キー!私もつれてけー」
「翔、ペットのしつけが行きわたってないぞ」
「まぁまぁ2人とも落ち着いて」
翔が俺と優美の間に入り、優美のほうを落ち着かせる
そして、見事な誘導で優美の頭の中を俺から飛行機に変えた
「それにしても、あんな大きいのが飛ぶんだよね〜」
「そうだね」
翔と優美は飛行機を見ながらそんなことを話し始める
そんな2人の話をBGMにしながら、俺はさっき買ったパックのオレンジジュースを飲んで時間をつぶした
しばらくして、飛行機の搭乗アナウンスが鳴り、学生のみんなは早足で中に入っていく
その中でも出足が早かったのは優美だった
早足というよりはもう走っていると言ったほうがいいぐらいのスピードで中に入っていった
俺は左隣で寝ている葵を起こして、最後に入っていく
飛行機に乗っている時間は2時間ぐらいだから、毎年乗っている時間よりはるかに少ない
俺は持ってきた音楽プレーヤーで音楽を聴きながら目的地に着くまで寝る
つもりだったのだが、最悪なことに後ろの席に優美、翔が座っていて、そして横には葵
葵は眠たそうにしていたから、別によかったんだけど、後ろの優美が俺の席を揺らしたりと妨害してきてまともに寝させてもらえなかった
そんなことはお構いもせずに俺たちの乗った飛行機は修学旅行の目的地、北海道へと飛んでいく