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第30話

 葵のおばさんの予言通り、文化祭前日に「服ができた」と連絡があり、俺と葵の2人で文化祭の準備を抜け出して葵の家に向かった

 

「やっとできたわよ〜。久々に楽しませてもらったわ〜」

 

 家に戻るとさっそくおばさんのスッキリした顔で出迎えてくれた

 そして、その後ろには、段ボールが置いてある

 

「もしかして、それ全部ですか?」

「そうよ〜」

 

 おばさんの後ろには段ボールが4つ置いてある

 その一つを持ってみるとかなりの重量感があった

 

「さすがにこれ4つはつらいかと・・・」

「あはは。ちゃんと車で持っていくから、車の中に入れて」

「ですよね〜」

 

 俺と葵はおばさんの車に段ボールを入れるが、おばさんの愛車の軽自動車に入れるとあと1人入れるか、どうかって感じになる

 

「あれ?2人座れないですよ?」

「ん?何言ってるの?輝ちゃんは走っていくんでしょ?」

 

 ニヤニヤ笑いながらおばさんに俺は言葉を失う

 そして、葵は当然のごとく車の助手席に座っている

 

「それじゃがんばってね〜」

「ばいばーい」

 

 そう言っておばさん+葵+衣装を乗せた軽自動車が走っていく

 

「マジか・・・」

 

 その姿を茫然と立ち尽くして見ている俺だが、時間的にも走って帰っても間に合わない。というか別に遅れてもいいのだが、学校まで歩きたくない

 そこで、俺は最終手段を使うために携帯で連絡を取った

 

 

 

 

 携帯で連絡を取ってから数分後、俺の前にレースに走るような車が止まった

 

「輝・・・俺をパシリにするなよ・・・」

「ごめんごめん。ほらっぶっ飛ばしていいからな?空」

 

 これが俺の最終手段

 空の車送ってもらう(近くにいるときしか使えない)

 

 俺は空の助手席に座って4点式シートベルトを着ける

 

「はい。いけー」

 

 空は「はぁ」とため息をついてアクセルを踏んだ

 

 空の車は改造している

 だから、周りの景色がものすごいスピードで変わっていく

 

 

 

 信号が赤になったときに、俺はある違和感を感じた

 そして、それが何の違和感なのかはすぐわかった

 

「あれ?空って俺らと同じ今年17だよな?」

「ん?あぁ〜違うよ」

「あれ?中学のとき授業一緒に受けてなかった?」

「受けてたな」

 

 空は俺の顔がよくわからないって顔をしていたのか、そのまま説明に入ってくれた

 

「簡単に説明すると、俺はお前らより一つ上だ。だから俺は18歳、運転免許持ってんの。んでなんでお前と授業受けてたかと言うと俺がそこに遊びに行ってたから。わかった?」

「わからん・・・じゃ涼香(りょうか)は?」

「あいつはお前と同じ歳だったよ。たしか」

 

 ずっと同い年だとばっかり思ってただけにビックリした

 今、考えてみれば俺が中学3年になってから、空と一緒に授業を受けたことがなかった

 

 

 

 

 学校の近くまで来ると、学校の前に俺を置いていった軽自動車が止まっていた

 

「輝、おまえの学校ってこれだよな?」

「ああ。サンキュ」

「んじゃ遅くなったけど転校祝いにすごいことしてやる」

「は?」

 

 

 空が言った瞬間、車が横に向き、俺は横の窓に視線を送るとさっきまで走っていた道が見え、白い煙がもくもくと上がっている

 

 そして、すぐにさっきとは逆の横Gを感じ、最後にはクルッと回って車が止まった

 

「あはははは。どうだ?かっこよかっただろ?」

「お前殺す気か・・・」

 

 車を降りて道路を見ると、数メートル手前から止まったところまで綺麗にタイヤ痕が残っていた

 よくこんな運転していて免停にならないなぁと思う・・・


 

「輝ちゃん・・・すごい友達ね・・・」

「え、あ、ま、まぁ・・・」

 

 後ろから声がして振り向きとおばさんがビックリしたような顔をしている

 俺的にはあまり見られたくないところを見られてしまった

 しかし、次の発言でそんなことは気にしなくなる

 

「見事ね。完璧に乗りこなしてるわ。それに良い音」

「はい?」

 

 おばさんは服を作っていたときの目をしていた

 

「あっお姉さんわかる?」

「そりゃわかるわよ。これ音が違うわ」

「そーすよね。中見てみます?」

「お願いできるかしら?あら〜すごいわね。お金かかったでしょ」

「それなりにっすね。でもそれだけ払う価値ありますよ。これ」

「でしょうね〜すごいわ〜。とくにこの・・・」

 

 俺がわかったのはここまで。ここから、空とおばさんは車のボンネットを見ながら意味のわからない言葉で話をしていた

 

 

 

 俺は段ボールを一つ運び終わって戻ってきた葵におばさんのことを聞く

 

「あ〜お母さん、あーいうの好きなんだよ。ちなみにお父さんもね」

「へぇ〜」

「車庫の中にあるはずだよ。改造した車。今でも時々二人で乗ってるみたいだし」

「へ〜・・・」

 

 あの人らが改造した車なんて乗りたくもない。徹底的に改造しているだろう。

 下手をすれば空以上の車かもしれない

 俺は今となってはおばさんの愛車なのか分からない軽自動車から段ボールを持って教室まで持っていく

 

 すべての段ボールを運び終わった後もまだ空とおばさんは車について熱く語り合っていた

 

「空〜いつまで居るんだよ・・」

「ん?あぁ。それじゃお姉さん。俺帰りますね」

「うん。楽しかったわ。それじゃ」

 

 空は自慢の車に乗って、綺麗にタイヤ痕を残して走っていった

 

「やっぱりいい音ね〜。輝ちゃんあの子誰?」

「俺の友達ですけど」

「そっかぁ。それにしても良い車だったわ、あの子本当に車が好きって感じが出てて車も嬉しそうだったしね。あっそうだ、文化祭来るからね!」

「あ、はい。歓迎しますよ。衣装作ってくれたんで」

「うんうん。それじゃ帰るわね。バイバイ」

 

 おばさんも自分の車に乗って空の影響を受けたのかアクセル全開で家に帰っていった

 

 

 それにしても空が俺らより一つ上なのには驚いた

 そして、それ以上に驚いたのはおばさん製の和服の完成度だった

 

 

 

 


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