第20話
夢を見た
俺と葵が学校からの帰り道 交通事故に遭う夢
「うぅ・・・朝から最悪な夢だな・・・」
夏休みも明けて、葵の足も治って、いつもどおりの日が続く。
そして、いつも通り学校に行き、靴を履き替える
が、しかし今日は違った
「ん?なんか落ちた」
足元を見ると手紙みたいなのが落ちている
「んーこれはもしかして・・・・ってなんていうんだっけな?」
手紙を持って教室に行き、自分の席に座ってさっきの手紙の中を開けずにぼーっと見ていた
「おはよう 輝 それ何?」
「靴箱に入ってた」
翔が椅子に座ってこっちを向いた
「おぉ ラブレターかぁ中身見た?」
「あーそっか ラブレターだ」
「何?今気がついたの」
「いや、気にしないで」
俺は手紙を開け中に入っている内容を見る
―いきなりですみません 驚きましたよね。
放課後 屋上に来てください。 待ってます。 2年3組 岡村 由美−
という内容だった
「誰?岡村由美って・・・」
聞いたことが無い名前でイタズラのような気がしてくる
「誰って・・・隣のクラスにいるでしょ。なんかツインテールみたいな髪型した子」
「あ〜・・・なんか居たなぁ」
「その程度か・・・確か結構かわいい子だった気がするよ?」
「知らん」
うる覚えだが、何度か優美と一緒にこっちのクラスに来たところを見たことがある
「どうすんの?それ」
「どうするって・・・・行かないとダメでしょ」
「いや答えだよ」
「答えかぁ・・断るかな」
顔もあまり覚えていない子と付き合うのもなんか嫌だし、前みたいなことにはならないようにしよう。
「ふ〜ん そっか だろうね」
「なんだ その納得したような・・・」
「だって・・・あっ先生きた」
翔は前を向いて授業の準備を始めた
何言おうとしたかわからないけど、逃げたな・・・翔・・・
そして、放課後 手紙に書かれていた屋上に行き、岡村由美って子を待つ
待っている間にグラウンドでいろんな部活の練習風景を見て時間をつぶした
「あ、すみません 遅れて・・・」
しばらくして、手紙をくれた子が来た
なんとなく、見覚えがある。そして翔が言った通りカワイイ分野に入る顔をしていた
「えーっと何のようかな?」
相手が言うことはわかっているんだけど、やっぱり言ってしまう
「あの、私・・・北谷くんのことが好きで・・・付き合ってもらえませんか?」
岡村さんは顔を真っ赤にして俺の反応を待っていた
「えーっと・・・ごめん。 手紙くれたことは嬉しかったけど俺、今付き合うとかそういうのは・・・」
「・・・そうですか・・・やっぱり中村さんが・・・・」
「葵がどうかしたの?」
「あ、いえ、別になんでもないです。 もう行ってもらってもいいですよ」
「え、あ・・・うん それじゃ・・・」
岡村さんは笑顔で俺に言ってきたが、逆になんだか怖い
でも、今俺が慰めたりするほうが彼女に傷をつけてしまうかもしれない・・・
だから、俺はその場を立ち去った
帰り道、トボトボと俺は歩いて帰る
すると、後ろから葵が来た
「今帰り?」
「あぁうん」
「また元気ないね・・・どうしたの?」
「いや・・・うん 気にしないで もう大丈夫だからさ」
さっきまでのことは、もう終わったことだ。俺はそう言い聞かせる
もう考えることはやめよう。と決めた
帰り道、葵と一緒に信号が青になるのを待つ
「そういえば、文化祭そろそろだね」
「あーそういえばそうだな」
夏休み前に少し先生が言っていた
ここの文化祭はかなり盛り上げてやるらしい
「そうだなぁ 葵は何したいんだ?」
「んー、焼きそば屋とかいいなぁ」
「それはやめとけ・・・」
「なんで?」
「なんで・・・って・・・」
『お前の味付けは凶器だ』なんて言えるわけがない
もし、言ってしまったらまたあのビンタが飛んでくる
「あれだよ・・・葵つまみ食いするじゃん」
「し、しないよ!」
「どうかな〜 絶対やると思うけど?」
「もういい!輝に言った私がバカだったよ!バカ輝!!」
葵は少し怒った感じで横断歩道を走って渡る
「バカ輝って・・・おい!まだ赤だぞ!!」
「え?」
葵はこっちを振り向き、信号が赤だと気がつく
しかし、向こうの方から車が迫ってきていた
葵は恐怖で体が動かないのか、その場で固まっている
だが、車は固まらない。ブレーキ音が高く響いているが止まらない
「この!バカ!」
俺は道路に飛び出し、葵を押しだした。
ドンっ!
なんとか葵は車にぶつからず済んだが俺は車に当たってしまった
痛みで気を少し失いかけたが、誰かが俺を呼んでいるから、苦しいながらも目を開けると葵がいた
「て、輝!輝!輝!輝!」
薄れゆく意識の中で、葵が何か言いながら俺を揺すっているのがわかったが、次第に暗くなっていく
俺は、あぁ正夢って本当にあるんだ・・ついてねぇなぁ・・・と思いながら目の前が真っ暗になっていった
いつの間にか読了時間が100分超えてました。
自分でもびっくりです(笑)
これからもよろしくお願いします