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第19-4話

「へっ、へっくしゅん!」

「も〜汚いなぁ はいティッシュ」

「サンキュ」

 

 昨日ソファで寝た

 夏とはいえ夜、早朝は少し温度が下がっていて風邪ぎみになってしまった

 途中におばさんが心配してもう一枚かけてくれたらしいが、寝ている間に落ちた

 

 しかし、風邪気味だろうがなんだろうが夏休みの宿題は終わらせないといけない

 古典を朝からして、葵が思った以上に手伝ってくれたため早く終わった

 

 そして今は数学をしている

 一応数学は俺もできるため、質問をされない葵はスッカリ寝てしまっていた

 どうせ英語になれば、嫌でも質問しなければならないし手伝ってもらわないとできないのでここでは寝てもらっていたほうが俺にとっても良い

 

 しばらく経ちお昼近くなったぐらいにおばさんが部屋に来た

 

「輝ちゃん 勉強中ごめんね〜 あら?葵寝ちゃってる・・・」

「いいですよ どうせ英語で質問攻めしますから それよりなんですか?」

「あっそうそう 私今から出かけないといけなくて明日の昼まで帰ってこれないのよ。んでね、このお金渡しとくから “出前”!頼んじゃっていいわよ。ほんっとごめんね」

「いや良いですよ 俺たちのことはお構いなく〜」

「そんじゃ私行くわね 輝ちゃん!あとはよろしく!」

「いってらっしゃい〜」

 

 おばさんは俺に3万円を渡して急いで出かけて行った

 それにしても明日の昼までの食事で3万って・・・やっぱりこの家は金持ちだなぁと改めて思い知った

 

 葵を起こしてお昼を食べるのも良かったが、無理に葵を起こすのも昨日のビンタのことがあるから躊躇(ちゅうちょ)してしまい自然に起きるまで勉強することにした

 

 

「ん・・・んん・・・」

「おっ起きたか 寝ぼすけ」

「おはよ〜輝」

「無理やり起こすのと自然に起きるのとはやっぱ全然違うなぁ」

「ん〜?なにが〜?」

「いやなんでもない」

 

 数学の宿題がもう少しで終わりそうなぐらいで葵が起きた

 

「葵、おばさんなんか急に用事ができたらしくて明日まで帰ってこないってさ」

「ふぅ〜ん そっか〜 ご飯は〜?」

「3万渡されたから出前でも頼めばいいだろ」

「ダメ!私作る!」

「そっか んじゃ頼むな その間に俺、数学終わらしとくよ」

「うん 期待しててよ!」

 

 葵は急にエンジンがかかったように寝起きの葵から、いつもの葵に変身し部屋を元気よく出て行った

 

 

 それから30分経ったぐらいに葵が焼きそばを持って部屋に戻ってきた

 

 俺は宿題を片付けてテーブルの上を綺麗にし、持ってきた焼きそばを置き二人で食べる

 

「「いただきます」」

「・・・・うぇ・・なんじゃこりゃ?」

 

 とっても濃い味

 とてもじゃないが焼きそばという味ではない

 しかし、葵は普通にパクパクと食べている

 

「どうしたの?輝 全然食べてないよ?」

「葵・・・これ味濃くない?」

「え?そう?」

「うん なんか焼きそばの域を超えてるかな」

 

 葵の顔がどんどん怒った顔になっていく

 

「あ〜でも葵が作ったんだもんな うん うまいよ!」

 

 俺は死を覚悟して箸を動かす

 そして口の中にパクパクと入れていく

 葵はそれを嬉しそうに見てくるがこっちにはそんな暇はない

 ちょっとでも気を外してしまうと外に出てしまいそうな味の濃さだから・・・

 

 

 死闘を制した俺は食べたあとすぐにトイレに行き、リバース

 そして、葵の味覚は凶器だとわかった

 リバースして水を飲んで少し落ち着いたことに部屋に戻り、不思議に思ったことを葵に聞いた

 

「葵さ、よく料理の手伝いしてるけど味付けとかさせてもらったことないだろ?」

「よくわかったね。なんでか知らないけどさせてもらえないんだよね」

 

 葵は自分がなんで味付けさせてもらえないのかが不思議で仕方がないって顔をしている

 

 

 俺は葵に現実を教えずに、腹の具合と戦いながら宿題をやり始めた

 

 


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