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第19−2話

「来ましたよ〜 人質解放してください〜」

 

 俺は人質(宿題)を解放してもらうために葵家の前にいる

 

「ドア開いてるから入ってらっしゃい 輝ちゃん」

 

 なんか罠に引っかかる気分だ・・・

 犯人の要件に素直に従いドアを開けて家の中に入った

 

「いらっしゃい!輝ちゃん!」

「いらっしゃい!じゃないですよ 返してください 宿題」

「あら?宿題なら葵の部屋に置いてきたわよ」

「はい?も〜取ってきますよ」

 

 家の中に入って階段を上って葵の部屋に行こうとすると後ろからおばさんの声がした

 

「葵、部屋にいないから勝手に入ってね〜」

「はいはい〜」

 

 部屋の前まで行って、部屋の中に葵がいないとおばさんは言っていたので普通に入る

 

「おじゃましま〜・・・・・」

 

 ・・・・・・・・・

 ・・・・・・・

 ・・・・

 

 おばさん・・・葵は部屋にいないのでは?・・・

 部屋の中に入ると、着替え中の葵がこっちを見てポカーンとしている

 ちなみに俺もポカーンとしてしまっている

 

「・・・・・・あ、え・・・ごめん!!」

 

 やっと俺の思考回路が戻って急いで部屋の外に出る

 

「はぁはぁはぁ・・・」

 心の鼓動がもう外に聞こえそうなぐらいドクンドクン言っている

 俺の頭の中はもう混乱状態だ

 映像を消そうとすればするほど思い出してしまう

 

 

 

 少し時間が経って俺もやっと落ち着きだした頃に葵の部屋の扉がちょっとだけ開いた

 

「輝 入っていいよ 宿題取りに来たんでしょ」

「あ、ああ さっきはごめんな・・・」

 

 とてもじゃないけど葵と目を合わせられない

 俺の顔のもう火が噴くくらい暑くなってる

 

「えっと・・・輝・・・ノックぐらいしようね」

「ほんっとゴメン」

 

 おばさんに居ないとは聞いていたものの今は俺のほうが悪い

 ただひたすら謝る

 

「輝ちゃん!どう?びっくりした?」

 

 俺が葵に頭を下げている時に原因を作ったおばさんが入ってきた

 

「おっ輝ちゃんが謝ってるってことは成功だな よかったよかった それじゃ輝ちゃん勉強頑張ってね〜」

 

 嵐が去るように葵の部屋から出ていくおばさん

 そして、その後ろ姿を見ることしかできなかった俺と葵

 

「な、なんだ・・・ありゃ・・・」

「・・・・あは、あはははは」

 

 葵が急に横で腹を抱えて笑い出した

 

「うわっなんだ どうした?」

「あははは・・・はぁはぁ・・・ふぅ・・・うん大丈夫 宿題終わらさないとね 輝」

「あ、うん」

 

 いきなり笑い出した葵に少し焦ったが、葵の言う通り宿題を終わらせないといけない

 夏休みはあと少ししかないのに宿題はたくさんあるのだから

 

 俺は葵の部屋で宿題をやり始めた

 

 

 しばらく集中して宿題をやっていたんだが、やっぱり集中力というのは無限じゃない

 

「も〜むり・・・葵〜宿題見せてくんない?」

「ダメ それじゃ輝の勉強にならないでしょ」

「勉強とかテスト前にやれば十分だし・・・」

「ダメ ほらっわかんないところは教えるから」

 

 再び机に向かい、わからないところは葵先生に教わり、なんとか世界史が終了

 

 あと残りは古典、数学、英語、日本史の4つだ

 次やるのは日本史

 

 日本史は得意ではないが不得意でもない。が、量が量なので時間はかかる

 

「ほらほらっ 輝 次やるよ」

 

 横にいる葵は雑誌を読みながら、俺を急かす

 

「そんな急かさなくてもちゃん夏休みが終わるまでには終わるよ」

「ダメ 一日前に終わらさないとダメだよ! ほら早くやって」

「わかった。わかったからそんな急かすな」

 

 さっきから何を急いでるのか知らないがとりあえず宿題をやった

 

 何時間やっただろう・・・

 手がもうシャーペンから離れないぐらいやった気がする

 窓から外を見ると暗かった

 そして横には寝てしまっている葵がいる

 

「葵、輝ちゃ〜ん ご飯できたわよ〜」

 

 おばさんの声がした

 

「葵 起きろ ご飯できたらしいぞ」

「・・・ん・・んん・・・もぉ輝ぅ〜・・えんぴつ食べちゃだめだよぉ・・・」

「夢の中で俺何してんだ・・・ほらっ起きろ」

 

 葵の頬っぺたをつまんで伸ばす

 

「ん〜いらい・・・」

「これ面白いなぁ」

「いらい・・・いらい・・・もう!!」

「あいたっ!」

 

 頬っぺたをひっぱった顔が面白くて遊んでいると葵の鉄槌が下りた

 腰のひねりと遠心力を加えた見事な平手。そして綺麗に響く音

 俺の頬には立派な手形ができた

 

 

 

「あははははは〜 輝ちゃん右の頬に手形できてる〜」

「ほんっとごめんね 輝」

 

 葵をなんとか起こして1階に下りて、食卓の上に料理を並べているおばさんに爆笑された

 そして、夕食を食べている時もまだ笑われる

 

「笑い事じゃないですよ ほんと意識飛ぶかと思ったんですから・・・」

「それにしても立派な手形だわぁ 写真とっとこ」

 

 おばさんは携帯でいろんな角度から俺の頬の手形を撮る

 抵抗しないのはしても意味がないから。だから黙々と夕食を食べる

 前に座っている葵はチラチラとこっちを見てくる

 

「葵なんかさっきから俺のことチラチラ見てくるけどなんだ?」

「え、いや・・・・怒ってるかなって・・・」

「怒ってないよ ただ頬が痛い」

「だからゴメンって・・・でも輝も悪いよ ほっぺた引っ張ったりするから・・・」

「俺が悪いみたいな言い方するな 9割この頬はお前が悪いぞ」

「だから・・・謝ってるじゃん・・・」

 

 ダメだ・・・これ以上葵を責めると泣きそうだ・・

 すでにちょっと涙目になっている

 そして、さっきまで俺を撮っていたおばさんは俺の今後の反応を楽しみなのか目をキラキラして見てくる

 

「それじゃ葵 俺の頬に手形残したからお前の宿題写さ・・」

「それはダメ!」

「最後まで言わせろ」

 

 俺たちは楽しい?夕食を過ごしていた

 もちろんご飯は自分で作るより数段うまい

 

「ごちそうさまでした おばさんうまかったっす」

「当り前田くんよ」

「・・・・・・葵、宿題やるからまた教えてくれ」

「あ、うん」

「輝ちゃんに無視された・・・うるる・・」

 

 おばさんの古いギャグを無視するとおばさんは見え見えの嘘泣きをする

 それも無視しようと葵の部屋に行こうとすると止められた

 

「輝ちゃん輝ちゃん ちょっと」

「なんですか?」

「葵を押し倒してもいいからね」

「な、何言ってんですか!宿題終わらせてきます!」

「照れちゃって かわいい〜」

 

 俺は小走りに階段を上がって葵の部屋に向かった



 

 

 

 

 

 

 

 

 


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