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第14話

「あの〜葵さん?それはちょっと・・・」

 

 俺は今、隣町のデパートにいる

 葵との勝負に負け、欲しいものを買うという罰ゲームの真っ最中

 さっきから葵はペットショップでじっとしている

 

「可愛いなぁ・・・」

「あの〜聞いてます?生き物はちょっと・・・。それに親の許可もいるでしょ?」

「うん・・・でも輝の家で飼えば・・・可愛い・・・」

「いやいや俺のところ、ペットOKだけど、俺は今飼いたいわけじゃないし・・・。ほら他のやつなら買ってやるから、いくぞー」

「あ、あ、待って〜」

 

 俺は葵を無理やりペットショップから引き離し、別の場所に向かう

 

「うぅ〜犬可愛かったのに・・・」

「だから、生き物はダメだって、責任ってもんがいるだろ ペットの命の預かるんだから。それに葵、昔 金魚もまともに育てられなかったじゃん」

 

 昔、お祭りで取った金魚を葵は大切そうに、持って帰ったが3日も持たずに死んだ

 もともと、あーいうところの金魚は弱ってるから、ちゃんと育てないと長く生きないけど、

 それでも3日という短さに俺は驚かされた

 

「ほら、生き物は無理でも 犬のぬいぐるみとかさ それなら買ってやるから」

「いらない」

「んじゃ時計、腕時計買ってやるから な?」

「いらない。犬が欲しい・・・なんでも買うって言ったじゃん」

「言ったけど、ダメだって生き物は」

「むぅー」

「睨んでもダメなものはダメ ほら行くぞ」

「もう!」

「怒ってもダメなものはダメ 生き物はまた今度。な?」

 

 それからが大変だった

 拗ねた葵は、「これが欲しい」と言ったものは、高価なものばっかり

 どれも予算を超えるものも言ってくる

「買えない 高すぎる」と言うと「じゃ犬だね」と言うとペットショップに行こうとするが俺が無理やり引っ張って他の場所に行く。

 それが何回も何回も・・・かなり時間が経ったとき

 

「葵〜ほんとに諦めろって 犬は」

「だって〜飼いたいんだもん」

「だから〜それは無理だって」

「むぅ〜」

 

 まさか、葵がここまで食い下がるとは思ってもみなかった

 

「わかった んじゃこれから、おばさんに電話して、飼っていいか聞いてやる。もしダメなら諦めろよ」

「うん!」

 

 葵は元気よく返事をして、うれしそうな目でこっちを見てきた

 

「あ、輝です 今いいですか?」

「何?いいわよ〜」

「あの今、罰ゲームで葵に何か買わないといけなくて」

「あ〜なんか言ってたわね〜葵。輝ちゃん男だし、いくらお金使ってでも ちゃんと買ってあげなさいよ!」

 

 おばさんの声は電話越しでもわかるぐらい、楽しそうだった

 

「予算内ならなんでも買いますけど・・・葵、犬が欲しいって言ってるんですけど・・・」

「それはダメ!輝ちゃん知っているでしょ 葵育てるの下手すぎるの」

「俺もそう言ってるんですけど、聞かなくて」

「じゃちょっと葵に代わって」

 

 俺は葵に携帯を渡し、おばさんが説得を始めた

 

「うん、でも飼いたい いいでしょお母さん、でもぉ・・・うん・・・わかった。ん」

 

 葵は何やら落ち込んだようで、携帯を返してきた

 

「大丈夫 納得させたわ! あっそうそう、何か買ってあげるなら携帯買ってあげて 私たちと同じ会社でお願いね」

「マジですか・・・」

「マジです!それじゃ」

「えっ、ちょ、」

 

 ツーツー・・・・こっちの言い分も聞かずに切られてしまった

 葵は自分の携帯を持っていない

 それは、葵曰く「あんなの無くても生きていける」らしい

 しかし、本当の理由はただ機械音痴なだけ。

 昔からTVの録画もできないぐらい葵は機械音痴だった

 葵自身もそれは理解している。だから、携帯を持ちたがらない

 他の人にばれるのが嫌なのだろう

 

「葵 犬は諦めろ。な?」

「む〜」

 

 葵はまだ納得してなかったが、親がダメと言っているので飼えない

 

「代わりに携帯買ってやるから」

「いらない」

「そんなこと言うな 苦手なまま逃げてたらダメだ」

「別に苦手じゃないもん」

「ほら携帯見にいこ 操作とか教えてやるから」

「む〜・・・」

 

 睨んではきたが、俺が歩き出すとついてきた

 そして、俺たちは携帯ショップのところに来て、葵に携帯を選ばせる

 葵もいろんな携帯があって楽しそうに触ったりしている

 

「いろんな機能が付いてるんだね」

「そうだなぁ どれがいい?」

「よくわからないけど、これ可愛い」

「そっか 気が済むまで選べよ 待っといてやるから」

 

 それから葵は携帯を見ては、時々触って俺を呼び質問して、俺はそれを答えるというのを繰り返した

 

「んー決めた! これにする!」

「よし んじゃ明日また買いにこよう」

「えっ今買うんじゃないの?」

「いやハンコとか色々いるから、今は無理だな。明日学校終わったら買いにこよう」

「うん わかった 約束ね!」

 

 葵は小指を出してきた。俺も小指を出して、ゆびきりをする。

 ゆびきりなんて何年ぶりにしただろう・・・・

 

 帰り道、俺は自分の携帯で、ある程度の操作方法を葵に教えた

 

「この本みたいやつ押すと、アドレス帳が開く」

「んーっとこれ? わっ いっぱいある」

「そりゃまぁ 昔の友達とかのも入ってるしね」

「ふ〜ん・・・それにしても女の子の名前多いね」

「あーそうだね。あっ何?もしかしてヤキモチ妬いてるの?」

「妬いてない 返す!」

「あーもう怒るなよ〜」

「怒ってない!」

「怒ってるじゃん」

 

 葵は早歩きで前を歩く。葵の後ろ姿を見ながら俺は、難しい年頃なんだなぁ、と思った


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