第12話
日曜日、珍しく俺は朝早くに目が覚めた
今日も気分が治らない
向こうに住んでた時も、こういう気分になったことがある
告白されて、それを俺は断る。
もちろん、断らなければ、女の子は幸せなのだろうけど、俺がその女の子を好きになる可能性は少ない
いずれ俺の心の中がわかってきて、悲しくさせてしまう
むしろ、そっちのほうが女の子に傷をつけてしまう
「あーーもう!」
家の中でじーっとしていると同じことを何回も考えてしまう自分に苛立った
そして、俺は外を歩いて気分を変えることにした
どれくらい歩いたのか分らないが、いつの間にか俺は学校に来ていた
週末の朝の学校は、部活の声が響いている
もっと太陽の光を浴びるために、屋上にいき、少しグラウンドでサッカーの試合を見て、屋上にあるベンチに寝転び、雲の流れを見て、心が落ち着かせた
雲の流れを見ていると、俺はいつの間にか寝ていたらしい
目を開けると、太陽が真上にあった
「うわっ まぶし・・・」
太陽の光を直で見てしまって、目がなかなか開けられなかったが体を起こして、目を開けると横に葵がいた
「あっ 起きたんだ」
「あれ?なんでいるの?」
日曜日の昼間に葵がいることが不思議になって聞いた
「なんでって・・・私は部活だもん。不思議なのは輝のほうじゃない?それも私服で。」
「あれ?部活なんてしてたんだ・・・」
「うん 美術部だよ 休みの日だけ参加してるの」
首を少し伸ばしてこっそり葵が持っているスケッチブックを見た
「ふぅ〜ん ちょっとした幽霊部員のくせに絵うまい・・・」
「ちょっと勝手に見ないでよ それよりなんで輝はここに?」
俺は告白されたことを話そうか話さないでおこうか、悩んだが誰かに話を聞いてもらったら少しでもこのモヤモヤが取れるかもしれないと思い話した
「この前さ、女の子いたでしょ 帰り」
「うん」
「告白されたんだ 俺」
「うん・・・」
葵は俺の話を聞きながら、絵を書き始める
「そんで俺断ったの」
「うん で?」
「そしたら女の子泣いちゃって・・・」
「ふ〜ん・・・」
すると、葵はスケッチブックをカバンの中に入れて立ちあがりこう言った
「輝はさ、人を好きになったことある?」
「・・・いや・・」
「告白ってさ、ものすごく勇気がいるんだよ。今の関係が崩れるかもしれないしね。告白してきた女の子の告白を輝は断った。そしたら女の子は泣いちゃった。だから俺のせいで泣いたと思ってるんでしょ? たぶん違うよ それは輝の自惚れだよ。告白してきた女の子はたぶん恋が一つ終わったことに泣いたの。んー簡単に言えば、スタート地点に立つための儀式かな?」
「それだといいんだけど・・・」
「・・・輝はさ、女の子のこと好きって感情なかったんでしょ。だったら断ってもいいじゃん。私が告白したとして、好きでもないのにOKされて、しばらくして『やっぱり好きじゃなかったから別れて』って言われるほうがずっと嫌だよ。それだったら告白した時に断ってくれた方が良い・・・って何言ってるんだろ?私・・・とにかく!それでいいじゃん。輝は輝、彼女は彼女でまた新しい道に進めばいいんだからさ」
葵は俺のほうを見て笑いながら言った
その葵の笑顔を見ていると向こうに住んでいたときからの俺のモヤモヤが晴れていくような気がした
「・・・なんかスッキリしたサンキュ 葵」
「うん それは良かった」
「んじゃ 俺そろそろ帰るわ 悪いね 部活の邪魔しちゃって・・・」
「うん・・・それじゃまた明日」
今まで俺は告白してきた女の子を断っては、彼女たちが不幸になるってばっかり考えていた
でもそれは違う、それはただ俺が中二病みたいな自惚れだ
それを葵から言われて、わかった
学校からの帰り道はスッキリした気分でいつも通っている道が違っているように見えた