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親不孝

作者: 梅埜 翔

私は親不孝です。ごめんなさい。

もう大人なのに、思春期と変わらず親が憎らしいです。ごめんなさい。


私はとある歌手が大好きでした。でも母は、「そんな歌が良いと思っている、その感性の乏しさに辟易する」と言いました。私は乏しい感性のまま大人になりました。ごめんなさい。


幼い頃、私は父にめいっぱい叱られた事がありました。何をしたのかは覚えていません。ただ、私を丸太のように抱え、そのまま私を窓から放り出そうと何回も揺さぶり、その度に私が泣き喚いた事だけを覚えています。自分の都合の悪い事だけ忘れてしまうような、卑怯者でごめんなさい。


小学4年生のとき、私は食中毒になりました。1日中うずくまるほどお腹が痛かったです。私が学校を休んでいる間、父は毎朝私の布団の中に入り、可哀想にと呟きながら私のお腹を触るふりをして股の間をさすっていました。身をどれだけ捩っても、出勤時刻になるまでさすり続けていました。毎朝心配をかけて、それなのに抵抗してごめんなさい。


中学生になると、両親に反抗したくなりました。でも、「反抗期は絶対に許さない」と言われました。反抗しようとしてごめんなさい。


大学受験を控え、毎日私は家で勉強していました。家で勉強をしていると、暇なのだと思われてしまい、「家事を全てやれ」と父に言われました。勉強する時間より家事をする時間の方が長くなりました。でも、そんな私を見て両親は「勉強量が足りない」と叱りました。私は大学受験に失敗しました。でも、浪人は絶対許してくれませんでした。要領が悪くて、期待に応えられなくてごめんなさい。


私に素敵な恋人が出来ました。母が会わせろと何度も言うので、恋人を母の元に連れていきました。その日の夜、母は私の恋人の不満をありったけ私に漏らしました。見る目の無い娘で、将来を不安にさせてごめんなさい。


家を出たいと思ってこっそり計画を立てていたら、ある夜母に呼ばれました。私は家を出てはいけないそうです。でも、25までには良い人と結婚しなければいけないそうです。家を出ていこうとしてごめんなさい。母がいう良い人も見つけられそうになくてごめんなさい。


お金を出してもらっているのに、私を大事にしてくれているのに、私は親を憎んでごめんなさい。私は、いつだって身勝手な親不孝者です。

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