ex-その後(朝のひと時)
紬を異世界転移の魔の手から救い出した渡。
地球に戻ってからというもの、以前みたいな〝界渡り〟の研究に没頭するなどという事も無く、今は……惰眠を貪っていた。
「全く……キミというやつは、少し気が緩みすぎじゃないかな」
そして、そんな渡に文句を言いつつも、笑顔でその寝顔を見ながら頬をつんつん。なんとも乙女な紬が居る。
「うぅむ……もう少し……Zzz」
外敵など居ない世界。とは言え、渡が帰還して来てからと言うモノ、此方の世界に慣れる為に、勉強に、他人とのかかわり方に、〝界渡り〟の研究にと何気に気を緩める暇など無かった。
しかし、此処でその一つが解決された事により、渡は漸くゆっくりと眠れる事が出来た。
そして、紬もまたその事を理解しているので渡を無理に起こす事は無い。……決して寝顔を楽しんでいるなどと言う訳では無いはずだ。
「あれだけ驚異的な事をしでかすキミだけど、寝顔は実に可愛いんだね」
ツンツンツンツン。
これでは起きてしまうのでは? と思わなくもないが、渡は紬の気配に関しては全てフリーパスだ。例えつつかれようが、紬のやる事は全て受け入れ態勢ばっちり。
なので、渡がこの程度で起きるなどといった事は無い。
とはいえ、突かれた結果による感覚はあるのだから……。
「むぅ……朝……か?」
何度も突かれている内に、渡の目は覚める事となり……此処で問題が。
「少し……くら……い……〝ライト〟」
寝ぼけながら周りを明るくする魔法を条件反射で発動する渡。
だがしかし、この場には紬が居る訳で……。
「何魔法を無意識につかっとるかぁぁぁ!!」
怒声と共に、ピコーーーーーーーン! と、警戒なピコハンの音が響き渡る。
「む……紬か。朝で起こしに来てくれたのか? と言うか、痛いじゃないか」
「痛くなんて無いでしょ! と言うより、なんで魔法を使ってるのさ!」
「ん? あ、あぁ……うむ、すまん。少し暗くてつい」
「ついじゃないよ! ついじゃ! 全く、学校にそろそろ行く時間だからさっさと起きる!」
「了解した。直ぐに着替えて下に降りる」
何時もの日常。何時ものピコハン。
とは言え、そんな二人の顔は紬が異世界に転移される前よりも楽し気で。
「ほら、さっさと着替える!」
「分かってる……が、紬よ。アレだ、俺は構わんが部屋の外に出ないのか? 着替えをするのだが」
「あ、あぁ! そうだね、ボクが外に出ないと着替えられないよね!」
パタパタと慌てて出て行く紬と、そんな紬を優しい目で見ながら着替えを開始する渡。
この二人の関係は漸くスタートラインに立ったと言えるだろう。
ほっぺにちゅーをした二人ですからね(´▽`)
とは言え、これぐらいだと……幼児レベルでは? とか思わなくも無い。まだまだ照れが先行してる二人にございます。
さて此処でこっそりと、紬の一人称や渡への呼び方が変わっていたりします。
色々と紬の中で変化が起きた……と言う表現だとでも思ってください。




