居場所探し
渡は焦っていた。
魔力の残り香が消える前に、何としても何処に飛んだかを調べなければならないからだ。
「座標……座標は何処だ。紬に付けたマーキングは……」
世界間を超えてのサーチだ。当然、消耗する魔力も激しいものが有る。なので、渡に残されている魔力残量からして、調査出来る時間と言うのは限られているという話になる。
「ちっ……此処まで魔力を追うのが大変だとはな」
ぶつぶつと文句を言っても仕方の無い話ではあるが、文句を言わずにはいられない。
何時もの冷静な渡は何処へ? と言いたくなるような渡の態度。もし紬が見たら呆れただろうか? それとも、珍しいと笑っただろうか。
しかし渡には全く余裕が無いようで、冒険者時代でも無かったと言っても良いほど、魔力を無駄に消費しながら調査をしている……それゆえにタイムリミット自体も一気に短くなっているのだが、渡がそれに気が付く事は無い。
「違う! これは、違う世界と違う世界が繋がったラインだ……ってか、異世界間渡航多すぎだろう!?」
調査して行くにつれ、割と異世界を渡っている者が多いと発覚。ただ、地球からや地球へというもの以外にも多く、もし今渡の状況が紬を探すと言ったモノで無ければ、その探求心に火をつけていただろう。
しかし、今の渡にはそんなものに目を向ける余裕が無い。
「えっと……遭ったこれだ! くっそ、捻じれて曲がって混ざって離れてって、なんだこの魔力の異常地帯は!」
どうやら世界間を渡る為にある通り道は、飛んでも無いほど魔力の渋滞を起こしている様だ。
「こんな状態で、よく世界を渡る事が出来たな! 普通に考えて漂流してしまうんじゃないか? って、紬にもその可能性が!」
漂流していたとすれば、探しに行くのも更に大変になると考え、渡は紬の行く先を必死に追いかけた。
魔力の海とも言えるその空間にある紬とのラインを、ドローン映像を見ながら追うかの様に。
そして、数時間の後……渡は実に良い笑顔で一言。
「みぃつけた」
渡は笑う。見つけられた喜びで、紬が漂流して居なかった事により救出が楽になるという事で……そして。
「へぇ……ふぅん……此処なのか。あぁ、よく知ってる場所じゃないか」
奇しくも、紬を召喚した国が有る世界は、渡が神隠しで飛ばされた世界と同じ世界にある場所。
「これなら対処が楽だな。彼方の世界での魔力使用は慣れたものだしな」
クク……と、実に狂暴とも言える様な笑みを渡は浮かべながら、紬救出の作戦を思考し始めた。
が、渡は一つとんでもない事を思い出してしまった。
「やばい、まだ異世界間ゲート完成してなかったな」
地球上のショートワープゲートは完成していたが、異世界を渡る為のゲートはそのショートワープよりも巨大な物が必要だ。
そして、その素材にミスリルやオリハルコンが大量に必要であり……。
「弟君には悪いが、前に残しておいてくれと頼まれた物を鋳つぶすとするか……」
どうやら、武の願いは此処に潰えてしまう様だ。
しかし、それは紬の救出の為なので武も納得はしてくれるだろう。




