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寝耳に水

 授業も終わり帰宅の時間。帰宅部である渡達は何時もの様に集まり学校を出る。

 若干一名、一人で先に返ろうとした男子が居たのだが、彼は楓の魔手に捕らえられ、あれやこれやと耳元で何か言われているようだ。……若干顔が青い。


「あ、僕忘れ物した! 取りに行ってくるよ」

「ん? それってとりにいかないと不味いの?」

「かすみん……流石に取りにいかないと、宿題が片付かないよ」


 なにやら紬は宿題に必要な物を教室へと置いてきてしまったらしい。

 なので渡達は仕方ないか……と考え、紬が忘れ物を回収しに行っている間、近くにあるファミレスで時間を潰すことにした。


「待つついでに何か飲みながら宿題終わらせよーぜー」

「陽一君……それ、君が自分でやるの面倒なだけでしょ」

「健太よ……それは、言わないお約束と言うやつだ」


 自分でやる気は無い! と断言したとも取れる発言をする陽一。

 そんな陽一に皆やれやれと言った感じで呆れたものの、全員で宿題をやるということ自体はいい案なのでと、陽一の提案に乗る事にした。

 まぁ、陽一の宿題を写すだけという行為を許すつもりは無いのだが。




 各自飲み物を飲みつつ宿題を終わらせる。その間、陽一の悲鳴が何度か上がったが、それは些細な出来事で、問題は別に有った。


「紬の奴遅いな」

「えっと、学校に戻って探してここへ来るまで……少し時間が掛かるとしても、もう到着しても可笑しくないよね」

「だよなぁ。よし連絡いれよーぜ!」


 少し到着が遅い紬が少し心配になり、渡達はとりあえず連絡を入れようと判断。

 プルルルルとスマホに連絡を入れてみるも……全く出る気配が無い。


 これはおかしいぞ? と言う話になり、紬を迎えに行くべきではないだろうか。そんな話になるものの……。


「入れ違いになったらソレはソレで面倒だよね」

「うーん、でも何かに巻き込まれている可能性も……ほら、最近テレビでそういうニュースやってたし」


 霞がここ最近話題のニュース〝神隠しの真相!〟と騒がれている内容を口にし、もしかしたら……と不安な様子を見せた。


「なら俺が行こう」

「あー……渡君が言ってくれるなら問題ないよね」

「だね! 関係的にも見た目的にも!」


 万が一の事を考えて……と言うのもおかしな話だが、渡に対して不思議な程信頼をしている友人達は、渡一人で行くことになんら疑いを持たず、彼等が念のために此処で待機すると言う内容をすんなりと受け入れてしまう。


 そして、渡は一人で学校へと向かう事となった。




 それからと言うモノ、友人達の元には渡から連絡が入り、その内容は「紬が体調不良で倒れた。直接家に送るから解散してくれ」と言うモノだった。

 彼等はそれは仕方ないな……と判断し、各自自由に解散する事となるのだが……。


 事実はまた違ったもので。


「ちっ……まさか離れたと思ったらこれか」


自分達の教室に有ったモノ。それは他の人には到底解らないが、渡ならば理解出来るモノ。


 魔力の気配がその場には残されていた。

加速していきますよ!!

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