月見
夜空を見上げると、其処には黄色く真ん丸なお月様。
残念ながらと言うべきか、星々はその姿を殆ど確認が出来ない。
「昔は満天の星って言うぐらい星が見えたって言うけど本当かなぁ?」
「どうだろうな」
ロマンティックにとでも言うべきだろうか。渡と紬は団子を目の前にお月見を楽しんでいる。
まぁ、この場に居るのは二人だけでなく、渡の家族もいるのだが……どうやら空気的な扱いになっている様だ。
「もしかして渡が居た世界も、この宇宙の何処かに有るのかな?」
「あー……うーん、どうだろうなぁ。ゲートの座標等を考えると……」
話題として出した内容が悪かったのか、渡がぶつぶつと思考モードに入り始めた。
「あぁ! まってまって! 折角のお月見だからお団子でも食べて楽しい話でもしようよ」
「……ん、あぁそうだな」
モグっと団子を一つ食べる。それを切り替えの合図として、紬は渡との会話を再開した。
「そうそう! 異世界の夜はどうだった? 月はあるの? 星は?」
「月の様な星は三個あったな。星に関して言うなら先程言っていた、満天の星と言う例えがぴったりだと思うぞ」
「うわぁ……すごいなぁ」
地球から見える月をみながら異世界の夜空に思いを馳せる紬。当然、色々な疑問が出て来るもので、紬は渡にあれやこれやと質問をする。
「ねぇねぇ、月ってどんな感じなの? こっちみたいに黄色っぽい感じで、ウサギが餅をついてる見たいな話とかあったりする?」
「色か……どうだったかな、赤に青もあった様な気がする。何か逸話があるかどうかと言えば、殆どがモンスター等と関連していて、ウサギの餅つきみたいな可愛い物は無いぞ」
「えぇ……モンスターって言うと、ヴァンパイアとかワーウルフ的な?」
「そんな感じだな。確か、青い月が一番輝く時はスライムが生まれるとか、赤い月が一番輝く時は闇に属する存在が暴れるとかな」
「へぇ……あ、でもスライムが生まれるってなんか可愛い感じが」
「まて、スライムは全く可愛くないぞ。此方のゲームみたいにあんなぽよぽよとしてはいない。ドロドロしているし悪食だ」
夜空を見上げながら楽し気に会話をする二人。
ただ、こんな二人を少し離れた位置から見ている家族達はと言うと……。
「なんでこの状況でモンスター談義なんだよ……」
「何というか、あの子達らしいというか」
「父さんだったらもっとこう、ムードのある話をだな……」
「あら? 私は一度もそう言う話を聞いたことが無いのですけど、一体どこの誰としたのかしら?」
「いやいや! 一緒に天体観測をしたりしたじゃないか! 忘れてるのか!?」
何やら修一が奈々に疑いの目を向けられるような事があったのだが……それは良いとして、彼等の思いは一つになっている。
「「「もう少し距離の縮まる話をしろよ!」」」
渡達が聞けば大きなお世話と言ったモノなのだが、基本的にこの二人の関係は周囲から見ると、もどかしいという思いでいっぱいなのだろう。
いちゃついてる様にしか見えないのに……本人達はそういうつもりも無くこれがデフォです。




