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挙動不審な友人

 キョロキョロと周囲を見渡し何かを探しているかのようなそぶりを見せる。

 如何見ても不審者じゃないか? と思うような行動をとっているのは、友人一と言えるお調子者。


「陽一の奴は何をして居るんだ?」

「ここ数日あんな調子だよ」

「まったく、何か悩みがあるなら相談したらいものを」


 そんな陽一を壁の影からトーテムポール状になりつつ見守る男子三名。寧ろお団子かなと思わなくもない。

 と言うのもこの数日の間、陽一の様子に違和感しかなかった。なので渡達は何かあるのでは? と、心配して陽一を追う事にした。決して好奇心では無いはずだ。


「えっと、今のところ特に酷いのは下校中の今かな?」

「そうだな。ただ今日は特に酷い、ソワソワと挙動不審すぎるぞ」

「呼び出しでもされたか? でもそんな話本人から聞いてないよなぁ」


 ラブレターを貰ったなどと言う話も無ければ、怖い先輩から「面貸せや」と脅されても居なかったはずだと、同じクラスに居る楓が今日の出来事を振り返りつつ告げる。

 ではなぜあんなにも怪しい行動をしているのだ? と、渡達は訝しんだ。

 とは言え何の情報も無いのだからと、とりあえず三人は陽一をストーキングする事にした。


 周囲から見れば、挙動不審な行動をとる男を、男三人がコソコソ追いかけるという図。実に怪しいとしか言えないのだが……本人達はそれぞれの事に夢中で全く他の目を気にしていなかった。




 キョロキョロコソコソと歩みを進め、陽一は怪しすぎるという事以外は全て何時と同じ。

 別に何処か寄り道をするという様子もなく、ただただ自宅へと向かっている様にも見える。


「というか、帰宅時に僕達と一緒じゃないという次点で可笑しいよ」

「健太……お前も偶に一人で帰るだろう?」

「そうだけど、それは家の用事があったりするからね。夕飯の買い物とか」


 地元が同じと言う事で、渡達は帰宅部と言う事も有り基本的には同タイミングで学校を出る。

 そして、その流れで遊びに行ったりするのだが……陽一はここ数日単独行動だ。


「用事かと思って聞いてみたんだけど、あいつ特に用事は無いって言ってるんだよな」


 当然、不思議に感じる話なので、同じクラスの楓が代表して陽一に話を聞いたのだが……帰ってきた答えは「特に何もない」と言う事。


「脅されているとか?」

「誰にさ。俺達ってある事が理由であまり絡まれないからな」


 楓は「ある事」とぼかしながらもその視線は渡へ。健太もその視線の先を追って「あぁ……」と納得。

 ただ渡だけは、何故こっちを見たんだ? と首を傾げている。


「お? なんか行動が変わったぞ」

「む、あそこの店に入って行くみたいだな」


 コソーリと後を追い店の看板を見る三人。そして……彼等は妙に納得してしまった。


「あ、あいつ……普段はそんなもの! って態度を取ってるのに」

「ククッ……まさか、こんな趣味が有ったとはな」

「これ僕に対する嫌がらせか何かかな?」


 看板にでかでかと書かれている文字……それは〝子犬カフェ〟。

 楓が言う様に、陽一は普段可愛いモノよりもかっこいい物! と言った態度を取っていて、可愛いモノを誰かが持って来たのなら「そんな女くさいモノを!」とまで豪語していて……。


「あいつの態度をみたら、こんな店に入ってるのがバレたら恰好のネタにされるだろうからな」

「あ! 店員さんも美人さんだよ……もしかしてあっちがメイン?」

「おいおい、あいつ「女よりも男友達だ!」とか言ってるのに口だけだったのか?」


 よく見ると、子犬を抱えながら女店員さんにデレとした締まりのない顔。

 こんな陽一の姿を見てしまえば、彼等の友情は脆く……いや、思いっきり揶揄う為のネタにするだろう。


「これ、写真にとって女子に送っておくか?」

「顰蹙かうだろうねー。霞ちゃんにも紬ちゃんにも「俺は恋なんていらねー!」って言ってたしね」


 決定的瞬間だ! どうやって尋問しようか? と、盛り上がる三人。

 しかし、そんな三人に見られているとは露知らず、陽一は今この至福と言える時間を存分に楽しむのであった。……後々、赤面しつつ地獄を見る事になるのだが今が幸せなのでそれで良いのだろう。

数人はクラス内にいるんじゃないかなぁ? この手の人。

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