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恩恵

 最近どう見ても紬の調子が絶好調だ。

 その事に気が付いたのは、常に側にいる渡……では無く、娘を心配している両親でも無く、紬の親友と言える霞だ。


 じぃぃぃっと紬を見る霞。その瞳に映る光は一体どんなものだろうか。

 好奇心? 憧憬? 嫉妬? どれとも違うし、その全てとも言える。そんな光を宿した瞳で紬を見つめる。


「か、かすみん一体どうしたんだい?」

「むむむむ……」


 返事は無い。ただ、何かを探るかの様に霞は紬を視線で嘗め回す。

 紬は思わずと言った感じで、両手で自分の体を抱きしめてしまった。


「い、一体何なんだい? そんなじろじろと!」

「紬ちゃん……紬ちゃんに一体何が有ったの? 大人の階段を駆け上がっちゃった?」

「ぶっ! なんだいそれ! そんなはずないだろう!?」


 霞の言い様に思わず拭いてしまう紬。とは言え、こんな会話何処にでもあるような内容ではある。

 しかし問題が有るとすれば、此処が学校の教室であり、紬と霞は目を惹く存在であるという事。そして、紬と言えば渡が傍に居るという事。


 つまり……クラス内で何かが爆発してしまったと言っても良い内容。


 とは言え、紬は否定しているのだが……まぁ、霞の言葉で紬を確りと見た女子などは、紬の変化に気が付いて「あぁ……なるほど」などと、誤解が加速していたりする。



 さて、そんな誤解を招いた理由ではあるが、別に紬は渡と階段を駆け上がったとかそう言った事は無い。

 寧ろ未だにお付き合いすらしていないし、なんならキスどころか手すら繋いでいない。……アレだけ部屋に入り浸っていると言うのにも拘らずどれだけ奥手なんだと。まぁ、ここら辺の事は母親達がヤキモキしていたりするのだが。


 では何が理由なのだろうか?


 渡が帰還した事で明るさが増したというのは間違いない事実だ。しかし、ソレは高校に入った後となるとその明るさに変化は無い。何せ、紬の影が無くなった後に入学しているからだ。


 Q・それが理由では無いとすれば何が原因なのだろうか。

  

 運動をしている? 元々卒なく様々な事をこなして来た紬。当然だが運動関連もそれなりに行って来てはいるので、それによる変化は無い。というよりも運動量自体変っていない。

 高校に入った後成長した? まぁ、確かにまだまだ成長はして居るだろう。しかし、成長による魅力の変化はあれど、劇的に増すという事は流石に無理がある。

 やっぱり階段上っちゃった? いや、だから上ってないって。


 A・紬が食べてしまったモノが原因。


 なんて事は無い、渡が持ち込んだ異世界の食品。コレを食べてしまったが為に起きた祝福と言うべきか、呪いと言うべきか……。

 一度や二度ぐらい食べた程度なら何ら問題も無かった。しかし、紬は少量とは言え数度に渡りその食材を口にしている。そしてまた……紬と同じで渡の両親や弟もまた食べてしまっている。

 なのでと言うべきか、最近渡の両親は「あら? 若くなりました?」なんてご近所さんや仕事先から聞かれていたりするとか。

 弟君に関しては……受験勉強に必死すぎて、その変化は余りない。多少起こっていても、まぁ周りが気が付かない。



 そんな訳で……その場は「食べ物に気を付けてるからかな? 後、毎日楽しんでる事だと思うよ」とお茶を濁し帰宅した紬。

 ただし、その帰宅後に渡と「かなり危険な食べ物だった!!」と頭を抱えるのだが……正直言って、こんな恩恵がある食べ物はどう考えても皆が羨む物であり、実に贅沢な悩みと言えるだろう。

食は体を作る物ですから……まぁ、まだまだ許容範囲内です。

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