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えぐい仕返し

 犬も歩けば棒に当たる……では無いが、紬と霞が歩けば馬鹿に当たると言っても過言では無かったりする。

 まぁ、二人とも見た目が結構いい部類なので仕方の無い話。

 そしてタイミングが悪い時は徹底的に悪いもので、渡が用事の為にと少し席を離した隙に問題が。


 如何見ても拘ったらいけないタイプの人間。ソレが紬達に目を付けた。


「お、かわいこちゃん発見! 先輩声かけましょうよ!」

「あぁ!? お前の好きにしたらいいだろ」

「やりぃ! 今夜はパーティーっすね!」


 既に彼等の脳内では、高校生では通れない暖簾の先の様な光景で埋め尽くされている。

 そして、そんなクズとも言える奴等にターゲットとされた紬達はと言うと……さっさとこの場を離れる事にした。したのだが、まぁ時すでに遅しというやつだ。


「お嬢ちゃんどっこいくのー。俺達とイイコトしようよ」

「楽しませてやるからさぁ! な、ほら、気持ちよくなれるものもあるよ」


 ニヤニヤとなんともだらしない顔をして近づいて来る。

 紬は無償にその顔面へと拳を叩き込みたくなったが……がまんだ。此処で手を出してしまえば面倒な事になるのは間違いない。……という訳で。


「すみません、先を急ぐので」

「えぇぇ! つれない事を言うなよ! な! 少し遊ぶだけだから! ほら、そこのカラオケにでも!」


 まぁ、逃がしてくれるはずが無い。

 とは言え、別に此処から逃げる為に紬は言葉を交わしている訳ではない。言ってしまえば渡が来るまでの時間稼ぎ。


「な! ほら行こうよ!」

「い、イヤ!!」


 とは言え相手はクズだ。

 そんなクズは、霞の腕をガシッと掴み上げ無理やり連れて行こうとする。


「かすみん! ちょっと! 放してよ!」

「大丈夫だって! 優しくするから。ま、最後の方は意識すら保てないかもしれないけどね」

「あひゃひゃ! 間違いねぇな! この前の子も、お前壊したもんなぁ」


 女の子を掴んで下種な話をする。もう死ねばいいんじゃないかな? と思わなくもない。

 しかし、世間と言うのは割と冷たいもので……自分達が被害に遭わぬ為にと目すら合わせようとしない人達が、その場を何事も無いかの様に通り過ぎて行く。


「イヤッ!」


 と、此処で霞が思わずと言った感じで、掴んでいる相手に反撃を行った。いや、行ってしまった。

 掴まれた腕を振りほどく為にと、腕を振り回し、その勢いと言うべきか偶然と言うべきか……その爪が手を掴んでいるクズを引っ掻いてしまった。


「イテッ! ……この!!」


 次の瞬間、バシーーーーーーン! と辺り一面に打撃音が響き渡った。


「え、あ……紬ちゃん?」

「……イッ……っと、かすみん大丈夫?」


 頬を赤く腫らす紬。どうやらクズが霞を張り倒そうとし、その一撃を紬が庇った様だ。


「おいおい……顔を殴るなよ顔を! 可愛い顔が台無しだろうが、楽しみが減るじゃねーか」

「大丈夫っすよ! 張り手なんで! ってか、いってぇなこのアマ、引っ掻きやがって」

「だっさ……お前、猫にでもやられたのか? って思うような三本ラインが付いてるぞ」


 全く以て救いようのない者達である。

 とは言え、今は張り倒された紬が心配になる処だ。


「紬ちゃん大丈夫?」

「ん? あぁ、平気平気。この程度鍛えてるから! ……なんか最近すっごく調子良いしね」


 グッと霞にガッツポーズしてみせる紬。普通であれば強がりか? と思うような行動だが、紬は如何見ても余裕しかない様に見える。痛くないのだろうか?


「それにさ……ほら、もう来るよ」

「あ……」


 そして、二人の視界にはやっと戻って来た渡の姿が。


「ん? 二人ともどうしたんだ?」

「遅いじゃないか! 君が遅れたせいで、僕達は、大変な目にあったんだぞ!」

「え、えっとソレはすまな……って、頬が腫れてるじゃないか!」


 おやおや、ヒーローの登場か? よーし、ヒーローを叩き潰して絶望した彼女達を楽しむとするか。そんな視線でクズたちは渡が居る方に振り向き……サーーーーーーと顔を青くした。

 格闘技でも極めたのか? と言わんばかりの身体。一般人とは思えない存在感。それら二つが合わさり……こいつ、人の一人や二人やってるんじゃないか? そんな気分にクズたちは陥った。


「ほぉ……この状況からして、そいつらか? で、とりあえず捻りつぶせば良いか?」

「いやいや、僕は大丈夫だから! でもまぁ……何かしらペナルティは必須だと思う」


 彼等が話していた内容を紬は確りと聞いていた。そしてそれは、過去に間違いなく涙を流した娘が居るはずで……紬は静かにぶち切れている。

 とはいえ、此処で渡が暴力に出てしまうと……今度は法と言う意味で渡が大変な事になってしまう。

 考えた末に紬が出した答えというのは……。







 紬の腫れた頬は綺麗にその色を肌色へと戻した。

 本人は問題無いと言ったが、遅れてしまったという事で責任を感じた渡が、不自然にならない様にしながら回復魔法で丁寧に治していった。お陰で、叩かれる前よりも綺麗な肌になっている気がしなくもない。


「しかし良かったのか? 魔法の使用は禁止だっただろう?」

「良いんだよ。あんなクズ達だから」


 紬が渡になんのオーダーをしたのか。

 それは、彼等の男としての尊厳を無くす為の呪いをと言うモノ。ま、言ってしまえばEDにしたという訳だ。


「あんなクズに女の子と一緒に居る資格なんてないから」


 ふん! っと、鼻息荒く愚痴る紬。


 今頃、クズ達は荒れているのではないだろうか? 何せ自慢のソレが一切ピクリともせず、排泄する為だけの道具へとなり果てたのだから。

 

 それにして、女性の恨みと言うのは実に恐ろしいものだ。

半グレ。

グレは愚連隊のグレですが、グレーゾーンのグレとも言うそうです、が……ぶっちゃけ、グレーゾーンって時点で既に白と黒の半分だし、やってる事グレーじゃなくてブラックだろうと思うのは私だけでしょうか?


因みにいうと、彼等は皆さん制服姿の公務員さんにご厄介になりました。

会話から、実に怪しい何かを持っている感じがしましたからね……更にそこで男性として生きていけなくなる……と、ま、絶望でしょうね。


さて、此処で初めて渡が他者に向けて魔法を使いました。バレますか? いいえバレません。だってただ元気にならないだけですもの。

まぁ、異世界の呪いの一つなのですが……これは渡の師匠が貴族にぶち切れた事で開発したモノだとか、一体貴族様は何をしたんだか。

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