身体能力
渡の身体能力だが、此方の世界に来てから落ちているのでは? と普通であれば考える内容。
しかし、研究に没頭している渡の身体が衰えている様には一切見えない。これはどういう事だ? と疑問に思うのも当然の話。
紬もまた、普段から渡をよく見ている。勿論、この一年渡の肉体が衰えたなどと思えず、寧ろパワーアップしてないか? と、感じているぐらいだ。
なので紬は渡に対してストレートに疑問をぶつけた。
「プールに行った時から感じてたんだけど、君って全く筋肉量が落ちて無いというか増えてない?」
「む? 筋肉とは落ちるモノなのか……ソレは怖いな」
「そんなホラーチックな事じゃないから!? 落ちるってのはあくまで比喩だから! こう、質が悪くなるとか落ちるとかそういう意味だから!」
「あぁ……物理的に落ちる訳では無いのか。ゾンビの様に落ちるのかと思ったぞ」
異世界ジョークだろうか? 渡の言葉は本気なのか冗談であるのか激しく疑問が残る。
とは言え、紬にとってソレは今重要な事では無い。兎に角話を戻す為に「コホン」と咳を一つ。
「で、君の筋肉はどうなっているんだい? このところ研究漬けで鍛えるような事をしていないじゃないか。まぁ、僕が見ていない場所でやって居ると言われたら、そうなのかと納得するしかないけど」
「なるほど。そうか、こっちの世界では筋肉の質が直ぐに悪くなるものなのか」
「そうだね……詳しくは知らないけど、半年ぐらいで50%ぐらい落ちると聞いた事があるかな」
とは言え渡が戻って来て一年。この間に渡が現状の筋肉を維持できるだけの何かをしたかと言えば……全く行っていない。ある程度落ちていても可笑しくないだろう。
だというのにも拘らず、引き締まった肉体に変化が無い。
「こう、アスリート的な筋肉だよね。無駄にムキムキッとしてないというか」
「あぁ、筋肉って重いからなぁ……下手に付けたら動きが遅くなって致命的だ」
「って事は、君の身体能力って……」
「例によって例の如く魔力が関わってるな」
あぁやっぱりか……と、なんとも言えない表情になる紬。
これまた、状態異常が通じない体質と同じ問題であり、直すなんて方法など無く頭が痛くなる話。まぁ、直す必要も無いのだが……。
とは言え、渡の行動をよく見ている人からすれば、異常とも言える身体な訳で。いや、そんなに見ている人は紬以外に居るのか? という疑問もあるが。
「とりあえず、少しは筋トレをしてます! ってポーズだけでも取った方が良いだろうね」
「そんなに不味いか?」
「今の渡はどう考えてもインドア派で、其処までの身体を維持出来るなんて普通は思わないから」
「ふむ……なら、室内でやっていると言えば良いのでは?」
「いやいや、そんな実践的? な付き方なんて室内トレーニングじゃ無理でしょ。ガチなサバイバルをやってますって言われた方がまだ理解出来るよ」
紬との会話にて、渡は今後外にでて走り込みをしたりする様になる。
身体能力を上げるためにトレーニングをするでは無く、身体能力の秘密を隠す為にトレーニングを行うと、なんとも意味不明と言える話ではあるが。
ただ、この日より渡がパルクールの様な走りを見せる様になり、何やら早朝の名物? になるのだが……ソレはまた別の話。
渡君はゴリマッチョでは有りませんよ。細マとゴリマの中間……から少し細い方よりと言った感じ? 魔力先生∩(・ω・)∩ばんじゃーい
渡君の馬鹿を弾く気迫は、その肉体よりも魔力からにじみ出る何かですからね……えぇ。




