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たらればの話……だったんだけど。

 紬はふと想像してしまった。もし渡が戻って来ていなかったらどんな風になっていたのか……と。


「ん? 紬にしては不思議な事を考えるんだな。もしと言われてもな……」


 何となく気になってしまい、渡にどうだったかな? と質問をするも、渡はそんなこと考えた事すら無かったと言った態度で、うーむ……と悩み始めた。


「今が幸せだからさ、もしそんな世界があったら何て考えちゃったからね」


 渡が居るからこその考えてしまう恐怖とでも言うべきだろうか。

 また、居なくなってしまうのでは? 実はこの状況は夢なのでは無いだろうか? その様な事を考えてしまうのは、渡の居ない時期がトラウマとなっているからなのだろう。

 なので、余裕も出来たこの状況。ふとした拍子にその様な想像をしてしまう。


「だがなぁ……多少の誤差は有れど、戻って来れたんじゃないか? 何せ、俺は沢山のダンジョンに潜ってたからな」

「あ、うん。そっか、そうだよね」

「俺が潜ったダンジョンに在ったんだ。もしかしたら違うダンジョンにも世界を渡る何かがあるかもしれないな」


 ただ、それはそれで怖いモノがある。

 ダンジョンを踏破出来るレベルの人間が、そんなゲートを発見し潜って来たらどうなるだろうか? 間違いなく世間を騒がせる大ニュース……いや、大問題になるだろう。

 しかもその存在は、此方の世界には無い力を持っている訳で……あぁ、考えるだけで頭が痛くなりそうな話である。


「なんだか僕めまいがしそうだよ」

「奇遇だな……俺も血の気が引いてきたぞ」


 もしそうだったら? なんて話をした結果。とんでもない問題が顔を出した。

 そう言えば、紬の兄である隆治も言っていたじゃないか。異世界に渡った可能性が有るのは渡だけでは無い……と。実際に隆治が言った言葉は「不思議な行方不明者が居る」と言う事だが。


「沢山の落とし穴があると考えて良さそうだな……どちらの世界にも」

「今まで発見されなかった方が奇跡だったって事かな」


 渡が異世界へ行き、生き延び、そして戻って来たからこそ気が付いた事実。

 しかし、それをこの家以外の人間に言う事が出来るはずも無く……。この問題は二人の肩にずしりと重く圧し掛かった。


 これを誰かに話して押し付ける事が出来ればどれだけ楽だろうか。自分達の手から離れてしまえば……と、考えない訳でも無い。

 だが、ソレは到底無理な話。

 誰かに話せばどうなるかなど、最初から危険があると想定しているでは無いか。マシな結果に終わったとしても、それは話した渡達が異常者扱いされるだろう。


「ただ問題を知る者としては、〝何か〟が起きた時に見て見ぬふりをするのも辛いモノが有るな」

「でも、自分達の安全を考えたら仕方が無いと思うよ」


 結局、渡るが研究して居るのも自分達の身を守る為だ。他の人なんか知った事じゃない。


「英雄にはなれるだろうけどな。ただ、そう言った者の末路はな……」

「こっそり解決出来たらかっこいいけどね。武君が好きな特撮ヒーローみたいで」

「いつの話だよ!?」


 タイミング悪く……いや、良く武が家に返って来た様だ。


「お帰り。武は特撮ヒーローが好きなのか」

「大好きみたいだよ。放送日の時なんか、お庭で変身とかってやってたし」

「だからそれは何時の話だ! 幼稚園だか小学一二年ぐらいの時の事だろう!?」


 二人に揶揄われる弟。まぁ、関係が良好になれば兄弟の関係なんてこんなものだろう。

 とは言え、弟君は良い具合に空気を換える為の生贄にされた様だ。本人は全く其の事に気が付いていないのだが……まぁ、合掌と言った処だろう。

(´-ω-`)穴を埋めるのが大変そうです。

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