ゑぐる
今日も二話更新です(´-ω-`)
誰しも心の中に触れてほしくない何かがある。
例えば、新生活デビューの失敗、隠していたモノが机の上に並んでいる、幼年でも無いのに理由なく朝方地図を作る、と他にも色々あるが所謂黒歴史的な物。しかも未だに量産中の人も居るだろう。
そして、渡のクラスでも最近量産した者達が居たりする。……まぁ、ちょっとした殺気をモロに受け下着を濡らし掛けたと言う可愛い話だ。
ただ本人からしたら可愛いどころか、下手をしたらトラウマもの。
今も少し気配に敏感になっていて、偶にビクッと反応しながら周囲をキョロキョロ。過剰反応なのだが……まぁ、確りと釘は刺さっている様だ。
とは言え、この対処法を渡は紬に注意された。
魔力が籠っていたと言う事も有ったが、少々やりすぎだ……と。まぁ、渡からしてみればどこがやり過ぎなのか疑問だが。何せ、誰も身体には傷を負っていないのだから。
しかしそれでも、紬に注意をされたと言う事なので、コレもこの世界で生きていくには気を付けていくべきなのだろう。そう判断。
「しかし、そうなるとあの手の輩を撃退するのは手間だな」
「……まぁ、殺気をぶつけるのは簡単なんだろうけどさ。あぁほら見てよ。彼等小動物みたいにビクッてしてるよ」
一過性のモノだろうが、これでは授業にも遊びにも身が入らないだろう。そんな彼等を憐れむ紬。
「だが力で解決するのは問題だろう?」
「な、なら、こういうのはどうでしょうか? 誰かに必ず刺さるような内容を呟いてみるとか」
「あ、それなら! こう「誰とは言わないけど先生の事をお母さんと呼んだ」とか」
霞が案を出し健一がさらに具体的に内容を出した。
そして、その内容を聞いた渡は「ふむ……」と考えていて、あまり意味が解っていなさそう。しかし、紬はと言うと「くぅ……ふふふ……」と、お腹を押さえて笑いを堪えていた。
「ん? 紬どうした、お腹が痛いのか?」
「ち、ちが……クス……う。あは……笑えてきて……ふふふふ」
何故か紬のツボに突き刺さった様だ。とは言え、それは紬だけでなく言った健太本人も笑いを堪えていたりする。
「む、何か実際にあった話なのか?」
「あはっ! そうだよ」
「あぁ、彼の事ね。えぇ、アレは凄かったわね……」
どうやら実際に遭った話の様だ。そして、霞もまたその内容を思い出したようで、何やら納得している。
とは言え、その内容を知らない渡の頭には、はてなマークが浮かんでいる。なので紬達は渡に解りやすく説明をした。
「渡が戻って来る前の話だけど、俺様タイプの男子生徒が居たんだ。もう本当に酷くてね、やれ俺の言う事を聞いておけ、お前は俺の彼女だ! とか、もう頭のネジは何処へ? って奴だったんだ」
「そうそう。だけどそんな俺様な生徒はある日授業中に居眠りをしていてね……先生に叩いて起こされた時に「あ、ママおはよう」なんて言ったんだよ」
「あの時は教室が静まり返ったよねぇ……」
渡は三人の言っている内容を上手く呑み込めない。その状況が想像できないからだ。なので、自分の過ごした環境に全てを置き換えて考えてみた。
(ふむ……この場合、俺様タイプはソコソコ実力があるパーティーのリーダーだろうか。で、そんなリーダーが夜な夜な女装癖を持っていた……とか、女の前では幼児化するような感じで、ソレが周囲にバレた。そんな感じか? 確かにソレならば、笑えて来るのも解らなくも無い)
流石渡と言ったところだろうか。理解する為の内容が実にファンタジーである。
そして、そんな渡の思考が何となくわかってしまった紬。彼女はそんな渡に対してしょうがないなぁ……といった表情。
「と言う事はだ、そんな内容をぽつりと呟くと……相手はどうなるんだ?」
「んー……黒歴史を抉る行為だからね。心当たりがある人は何らかの反応をみせるんじゃないかな」
健太がニコニコ顔だ。そして、その言葉と笑顔をみた他らのクラスメイト達はと言うと……。
((((隙を見せない様にしないと!!))))
と、心を一つにしていた。やはり何らかの秘密が彼等にもあるようだ。
「あ、そう言えば学校に来る途中の家で地図を見たよ。しかもその家からこの学校の人が……」
誰かのそんな言葉。その言葉に反応したクラスメイトが居たかどうかは、その場に居た者達だけが知る秘密だ。
ぐりぐりと抉られて行くぅ。
作者に黒歴史? そんなものはたくさんありますよー。まぁ、今では笑い話ですが。




