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ことわる

 渡達は部活に入っていない。何故かと言えば、渡が墓穴を掘らない様にする為。ただしソレは隠すべき裏の理由。


 では表は? 


 渡の体つきからして運動系の部活に誘われるのは当然の事。それを断るには相応の理由が必要だ。

 とは言え、鍛え抜かれたと言っても良い身体をしているのに、怪我をしたと言うのは少し難しい。何せ渡自身普通に生活している訳だし、それに医者の診断書すらない。


 ソレならどうするか……答えは簡単。家の事情と言う事にしてしまおう! と言う事。

 そもそも、渡のクラスに不自然にも、同じ中学のメンバーが集まったのは……言ってしまえば、そう言う話があったから。

 そう、渡が行方不明で去年見つかったばかりという事情の事を話していた。こう、周囲にフォローする人が必要だと。

 ま、両親は中学の時と同じような事を相談しただけだったりする。


 で、話を部活の事に戻すと……渡を部活に入れるのは不味いのでは? と、そう言う話で落ち着かせる事に。まぁ、間違いなくやりすぎるからね。それに、渡自身がそんな事より〝界渡り〟の研究を終わらせたいと思って居た訳だし。

 学校・両親・本人の意向が色々な意味で合致。結果、適当な理由を皆ででっち上げたと言う訳だ。うん、すっごく緩い学校である。

 其れと同じで、紬達も渡のフォロー役として学校側から、部活に入らないのならばこちらで処理すると言われていたりする。実に理解力がある教師陣と言って良いのだろうか?



 それを踏まえて、現状の渡達だが……。



「なぁ、部活入らね?」

「申し訳ないが、家の事情で無理だ」

「どんな事情だよ……少しぐらいは大丈夫だろう?」

「少しの時間も無いので」


 この様に、学校側から許可を得ているとは言えそれでも諦めない者達も居る。

 そして、クラスの中には所属する部活の意向……と言うよりも、先輩方からの〝お願い(命令)〟を聞いて渡にしつこく勧誘をしていると言う訳だ。

 中には紬や霞にも声を掛けるクラスメイト達もいて、結構うんざりして居る渡達。


「なーなー、鏡宮を説得してよ。ほら、一緒の部活で部員とマネージャーなんて良くないか?」

「僕は良いと思えないな。今なら一緒に帰宅して家の事情で色々と手伝いもしているからね」

「私も部活は……どうせなら自宅か図書館で本に囲まれている時間の方が欲しいし」


 暖簾に腕押し、糠に釘。そんな塩対応をする紬と霞だ。話しかけているクラスメイトの表情も曇って行く。


 そして、そんな彼等とは別に……子犬系男子である健太君(高校に入ってから名前で呼び合う様になりました)はと言うと、耳と尻尾が垂れている様な雰囲気を醸し出してた。うん、彼には誰も声を掛けて来ていないのだ。

 いや、厳密に言うと部活系の勧誘で。彼に声を掛けて生きているクラスメイトは居る。主に女子だが。何というか、小動物を可愛がる感じでと言うのが、彼の男としても尊厳をポキポキと折っている。まぁ、それは中学の頃からなのでどうしようもない。


「健太……女子に構われているのか」

「う、うん。僕ってどこでもこんな感じだから……はぁ……」


 ただ、渡がそんな健太に気が付き健太の救助に入った。コレはここ最近の光景だったりする。

 何せ、部活のお誘いと言う囲い込みで、渡と紬と霞は健太から少しの間離れさせられ、その隙に! と、可愛いものスキーな女子生徒が健太を確保している。そう、部活勧誘部隊と可愛いモノ好き女子は利害が一致していて面倒だ。


「はぁ……何度誘われても断るだけなんだがな」

「そっちもそっちで大変だね。僕も少しは体を鍛えたんだけどなぁ……全然身長も伸びないし……」


 しょんぼりする健太。それがますます小動物に見え、健太を構っていた女子達は鼻を抑えていたりする。


「ま、俺が教えたメニューはやっているんだろう? それなら何時か体力つく」

「うん頑張ってるよ! でも、アレよりハードなメニューもあるんだよね」

「まぁな」


 ハードメニュー。実は違うクラスに行ってしまった陽一が体験していたりする。彼は調子に乗り過ぎた。で、ハードモードと言う地獄を体験した。

 何をしたのか? まぁ、彼は根っからのボケ担当。人をからかい過ぎたとも言える。


 何はともあれ、この勧誘合戦はまだまだ続く気配がある。それだけに、思わず溜息を吐いてしまう四人。


「さっさと諦めてくれたら良いのだが」

「本当だよね。なんか僕やかすみんを変な目で見て来るしさ」


 呪ってやろうかとすら考える渡だが、実際にそれをやる訳にもいかず、もやもやとした気分で撃退するしかない。

 やはり人がこれだけ集まる場所と言うのは修行の場なのだろうか? 前に行ったゲームセンターでもそうだったしな……と、微妙にずれた考えをする渡だが、「中学校の時はマシだったなぁ……クラスメイトだった奴等は如何しているんだろうか?」と言う考えが脳内によぎる辺り、少しは渡も此方の世界に適応して来ているのかもしれない。

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