目印と手掛かり
何故今までやらなかったのだろうか? そう自問自答する渡。
とは言え戻って来てからと言うもの、家族や紬に学校と生活における常識などが違い過ぎ、色々と柔軟な思考が出来ていなかった事に起因する。
割と柔軟だったんじゃね? と思うような生活をしていた様にも見えるが、やれ受験だ、やれ友達付き合いだ、其処に敵対した相手に対しての対処方法、魔法を外では浸かって行けないと言ったモノは、渡にとって結構なストレスになって居た訳で……まぁ、ぶっちゃけ仕方ないよね。
「とは言え、俺がこの世界に戻って来た場所を調べると言うのは基本だろうに……」
既に半年近く経って居るんじゃないか? 全く一体なにをしていたのやら……と頭を抱えてしまう。
これでは何の痕跡も残っては無いのでは? そう考えるも、ほんの少しで良いので何かしらの情報が手に入るのなら……と足を運んでみるのは山の中。
「だいたいここら辺か? いや、もう少し左の方だろうか」
そう言えば戻って来た時も、何だ此処!? と驚愕した為に自分の出現地点を詳しく調べて無かったな……と苦笑。そして、そう考えてみると割と自分は戦闘以外だと冷静じゃなくなる事もあるのかと理解し、気を付けねば! と決心する。
ただ、今はそんな事は後回しで良い。今は何より転移の痕跡の方が大切だ。
「しっかし……薄っすらと記憶して居る内容からだと、魔力の反応は無かったはずだが」
であれば、魔力反応をサーチして帰還ポイントを探すのは無理だろう。
薄っすらとでも魔力反応があれば……この世界には魔力など無いのだ。当然、微量な魔力だとしてもそれを逃すなどありえない。
「となると俺がこっちに戻った瞬間、魔力は消え去ったのか……元々俺が送られて来ただけなのか……もし後者なら頭が痛いな」
自分は門を潜り此方の世界に戻って来た。そして、その門はと言えば豪華であったがよくよく思い出すと、地面にも門自体にも大量の魔法文字やら魔法陣が描かれていた。
そして、そんな門が開いたとなれば、此方の世界にも何かしら影響が残っているはずだ。
例えばそう……。
「地面に魔法陣が薄っすらと描かれているとか……」
そして、渡のその様な期待はどうやら正しかったようで、渡の少し左前といった場所にミステリーサークルか? と思ってしまうような何かが描かれていた。
「よし! まだ残ってたか。とは言え、結構読めなくなっている部分もあるか」
地面に棒で描いたかのような魔法陣だ。それ故に風やら雨やら獣の足跡などでかき消されていたりする。
とは言え、魔力的な何かがあった為だろうか? 今の今まで完全に消える事無く残って居た様だ。
そして渡は、そんな魔法陣をリードの魔法で記録。その後ノートにその魔法陣を書き写し、読めなくなっている部分を自分の知識を使い埋めていくのだが……その完成をするのは結構先の話だったりする。
現場百回なんて言葉があるぐらいなのに……渡は一度も帰還地点に足を運んでいませんでした。
本当、なにやってるの! と言いたくなる話です。




