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ヌルリと避ける。

 神隠しに遭った子が戻って来た。

 普通に考えればこれほどのニュースは無い。ご近所さんが騒いだり親戚一同が集まったりするのは当然だ。


 だが、世の中そんな面白ニュースをネタにする存在だって居るし、国は国で騒ぐハズだ。


 しかし、渡が戻って来てからと言うもの、彼等の家の傍で何等かの動きが有ったと言うのは……全く以て聞くことが無い。

 実はこの事について、修一も奈々も、そして紬の両親も疑問に思っていたりする。


 本来であれば、その情報を何処からか手にしたマスコミなどが、隙あらばと押しかけ訪問をしそうなものだ。

 警察などもまた、なんやかんやと事情を聴きに来たり、事件性の事も考え何処かで張り込みをしていても可笑しくないというもの。


 だと言うのに、一切彼等の姿どころか影すら見る事が無い! これは何かの陰謀では? そう考えたくなるのも当然だろう。


 しかし、その答えは意外な場所から……いや、ある意味当然と言える人間の口から飛び出して来た。


「あぁ……色々と煩わしいのも嫌だったのでな。魔法で認識をずらさせて貰った」


 渡の魔法使いました宣言である。

 あれほど魔法を表で使うなと言ったにも拘らず。渡は息を吐くかの様に魔法を使った。


「ねぇ、僕達は言ったよね? 魔法を簡単に使うなって」

「うむ。だが、コレは必要な事だと思うぞ」


 必要が有るから使った。ソレは解るが、この世界に魔法は無いのだから必要だと思っても使わないで欲しい。

 寧ろ、どうしても使う必要があるなら、まずは相談してくれと思うのは、彼の身を案じる者達からすれば当然だろう。


「本当に、本当に気を付けてよ? で、如何して使ったのさ」

「少し前まで四六時中監視されていたからな。奴等は俺の事を獲物か何かだと勘違いしてないか?」


 勘違いでは無い。ある意味獲物であると言う事は間違いないだろう。

 国からしてみたら、凶悪な犯罪組織の関与も考え餌的な意味で。

 マスコミなどからすれば、神隠しの被害者と言う美味しいネタとして。

 他にも色々動いている者がいるかもしれないが……大抵の場合において、良い意味など持ち合わせて無いだろう。なので、二度目だがあえて言おう、獲物であると言うのは間違いが無いと。


「俺はそう言った場所で生きて来たからな。その手の視線や気配は良く解るんだ。ただまぁ、俺にだけソレが向けられているのであればどうと言う事も無いが、家族や近所の人にまでだからな」


 慣れているから問題無いと言う渡。

 言ってしまえば、猛獣が蔓延る中で就寝したり、狩ったり狩られそうになったりとするのが日常だったのだ。こんな、平和な世界で命のやり取りでもないハンターの目など、虫などよりも気にならないと言うもの。


 だが、周りの人間はそうでもないだろう。日々の生活で必ず違和感や恐怖を覚えるような事になるはずだ。

 そして、ソレは彼等の生活リズムを脅かし、精神を疲労させ、何処かのタイミングで事故が起きたり病気になったりする。そんな可能性があった。

 渡はと言えば、そんな可能性を直ぐに理解し、早急に手を打った。ただそれだけの事だったりする。


「はぁ……それは僕達の事を考えてって事だったんだ」

「そう言う事になるか」


 自分達の為にやった。そう聞かされてしまっては厳しく注意する事など出来るはずもない。

 だがしかし、言わなくてはならない事でもある……と、嬉しい反面、心を鬼にしてでも言わねばと何だか良く解らない顔になる紬。


「とりあえずさ。魔法は使わないでってのは大前提。必要なら使う前におじさんやおばさんに相談して。あ、僕でも良いよ」

「ふむ……理解した」


 とは言ったものの、この認識障害の魔法のお陰で、彼等の生活が脅かされる事が無い。

 それについては、本当に良くやったと言うべき魔法の使い方だろう。

魔法超便利! ただ、こういう魔法を使って居たため周囲は静かだったと言う訳ですね。

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