ex-その後(ちょっとした事件)
学生の一人が神隠しに遭ったと言う事で、学校内はざわざわと騒いだ。
「ボク達は答えを知って居るんだけどね」
「奴は残る道を選んだからな」
ただし渡と紬はその答えを唯一知っているので二人でひっそりと密談。……と、まぁその行為が実に仲良く見えるので、周囲からはまたか……と言った反応が見られるのだが、今その事はさておき。
「一体何処へ行ったんだろうな」
「うーん……あいつって影が薄かったからなぁ」
「基本、一人で行動してたもんね」
そんな神隠しに遭った学生が居たはずのクラスメイト達は、いなくなった学生についてあれやこれやと話をするも……まぁ、ボッチで居たと言う事で他のクラスより目立った騒ぎ方をしていなかったりする。
どちらかと言うと、自分から何処かへ旅立ったんじゃね? 的な予想まで出てきていて。
「恐ろしい事に、聞こえてくる会話の内容には正解に掠ってるモノもあるな」
「だよね。目立たないタイプではあったけど、あそこまで予想と言うか想像ができるとか」
中には異世界に行ったんだ! 俺もそちらに呼んでくれなどなど、ネタなのだろうがノリノリでそんな話をしたりと、中々に想像豊と言うべきだろう。
そして、記憶は無いがこちらに戻って来た紬以外の二人もこのクラスに居る訳で。
そんな二人は何も覚えていないのだが、何処か「ん?」と感じる程度のモノがあり……。
「んー……あいつって何処かで見た気がするんだよなぁ」
「だよなぁ。何処だっけ何か忘れてる気がするけど」
と、頭を傾げながら、しかし渡の使った魔法による封印が外れる事が無いのか、疑惑程度の疑問で終わり、直ぐに違う会話へと切り替えた様だ。
どうやら彼等には、渡の改変した記憶による意気投合した内容の方が重要の様だ。
そんな訳で、渡達を覗き思い出せば答えを出せるであろう者達は、興味を無くした事で神隠しの秘密にたどり着く道が遠のいてしまった様だ。まぁ、渡の魔法が解けない限りは答えへと行き着く事は無理なのだが。
渡はそんな二人を遠目に見て、魔法が解ける事が無さそうで安堵した。
封印術を施したとは言え、界渡りによって不具合が起きていないかと言う不安はあった。かといって魔法を重ね掛けなどしてしまえば、彼等にどんな不具合が起きるか予想も出来ない。
そんな訳で、渡はこっそり彼等の様子を観察していたりする。
「大丈夫そう?」
「今のところはな。何やら違和感を覚えはしたようだが、直ぐに違う会話へと変更したようだ」
「そっか、でも思い出した処で封印したと言う記憶も思い出すわけだから、何かあればあっちから相談すると思うよ」
「だと良いけどな」
そんな会話をぺったりとくっつきながらする二人。
そんな二人が答えを知っているなどとは、誰も知る事の無い事実で……その事を考えると、思わず苦笑してしまう渡であった。
普通に考えて、色々と騒ぐよねって事で。




