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ex-その後(弟君の受難)

 武は現在、受験勉強中だ。

 そして、その勉強はと言うと、一進一退と言っても良い状況だろう。


 なぜなら……。


「武、そこ間違っているぞ」

「えっと、何処かな?」

「此処とこの問題もだね」


 渡と紬に勉強を見て貰っている。

 これはこれで実に勉強が捗っているのだが……逆にその事が問題ともなって居た。


(……この二人の教え方は的確だから良いんだけど、少し距離が近くないか?)


 その距離は武との距離では無く二人の間の話。

 以前にも二人に勉強を見て貰った事があったのだが、その時は武からみて机を中心に左右に分かれていた。


 では今は?


 二人とも武の前の位置を取っている。


(なんで並んでるのやら……実にうらやまだ)


 受験勉強中兼彼女無しの武としては、この状況は実に毒だ。

 どう考えても、勉強を出しに渡と紬がいちゃついている様にしか見えない。


(いや、まじめに教えてくれているのは分かっているんだけど……)


 そう考えるものの、目の前の光景は……。


「武、手が止まってるぞ?」

「ほら、次の問題! コレを解いてみてよ」


 前も息は合っていたが、今回は更にバージョンアップしているように感じる武。


「ん、あぁ、コレね」


 しかし、ソレに文句を言えるはずも無く。

 武はただただ言われたように問題を解くしかなかった。


 それにしても渡と紬は、家の中だと外に居る時よりもその距離が縮まるらしく、その被害に遭うのは……可哀そうな弟君と言う事なのだろう。

 とは言え、流石に勉強中にはもう少し自重するべきだと思うのだが、二人はその様な事を意識している訳でなく、家の中でも外でも自然体のつもりであり……。


「武? 何故ノートに〝妬ましい〟と言う文字を連続で書いているんだ? 何か悩みでもあるのか?」

「大丈夫? 少し勉強に集中しすぎたかな。休憩を入れた方が良いかも」


 無自覚な分、それは強烈な刃となって武を襲い……武は何時の間にかに正気度をガンガン削られていた様だ。


「ん? あ、あぁ。少し冷たい飲み物でも飲んで頭を冷やして来る」

「あ、ならボクがジュースでも取って来るよ!」

「いやいや! 紬姉は兄さんとゆっくりしてて! 自分で取りに行くから! ほら、少しは動いた方がリセット出来るって言うし!」

「ん? そうなの? まぁ、それで気分転換出来るなら良いけど」

「出来る出来る! それじゃちょっと行ってくるね!」


 前よりも甘い雰囲気。しかもそれは無自覚と……武は遂にその場から逃げ出してしまった。それらしい理由を付けて。

 とは言え、撤退は責められる様な行為では無い。

 何故ならこの後も、正気度を削りながら勉強をすると言う時間が彼を待って居るのだから。

武頑張れとしか言えない環境である。

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